メキシコの女性ラッパーが政治を叫ぶ
前回の
「ラテン音楽界の女性差別と人種差別に変革のムーブメント」 の中で紹介したメキシコの女性ラッパー Niña Dioz。
Niña Diozはメキシコの北部、モンテレイ出身のヒップホッパー。
現在はアメリカに住んでいます。
Niña Diozは数少ない女の子のスペイン語のヒップホップ歌手で、しかも政治や社会批判のラップも作ってる。
歌詞もするどいけど、発言もクールなんですよ。
Niña Diozへのインタビュー記事から抜粋して和訳してみます。
私がヒップホップを始めた時代は、ヒップホップ界は男社会で性差別がひどかった。
ラッパーの9割が男性。
ヒップホップのステージにあがるときに、女だからといじめられるんじゃないかと不安だったが、いじめられたことはない。
男性ラッパーには私の才能を称賛する人もいたし、歓迎してくれる人たちもいた。
でも私が女のヒップホッパーということで、ドアを閉めるような人たちもいた。
「OUT」だと言われることは、私がここにいるという証だ。
「おまえは違う」ということが、ムーブメントの一部だと感じさせてくれる。
みんなが安心して安全に過ごせる居場所を自分が創ってるのだと思ってる。
それに今のところ、メキシコで同性愛をカミングアウトしたラッパーは私一人だし(多様性や個性は大事だ)。
私は自分にとって真実であることを大事にしてる。
ヘイター達(差別主義者)や誹謗中傷を書くネット民達に立ち向かうときは、自分のためだけじゃない。世間の片隅にいる声なき人のために立ち向かってる。
そして自分の仕事に集中してる。
私はメキシコ出身だ。メキシコでは、女だからということで殺される事件も(DVや性暴力など)おきている。
だから平等を求めて闘い続けるために、私は自分の音楽をツールとして使ってるのだ。
ヒップホップや音楽をやりたいと思ってる若い世代の女性達にアドバイスするとしたら、
自分にとってリアルである音楽だけをやること。
人と「違う」というを恐れないで。
他の人になんといわれようが気にしないこと。
夢は大きく持つこと。だって強く願えば実現は可能だと私は思ってるから。
あなたが音楽を愛してれば、それは必要なものになるだろう。
言うことがかっこいいでしょ。
Niña Diozは、同性愛者だと告白した最初の女性のヒップホッパーでもあるそう。
ちなみにメキシコシティは同性結婚は合法。
メキシコシティの繁華街のあるエリアでは、私は男性のゲイカップルはたくさん見たけど女性のカップルは見た事ないです。
彼女はいろいろなヒップホップをつくって歌ってるんだけど、
この曲。
「LIBRE」 (自由)
これは政治的なテーマの曲。
メキシコの大統領と政治家の汚職や、警察とマフィアを批判し、
みんな 世の中に不満があるなら立ち上がれ! 自由の為に声をあげろ、 という曲。
歌詞の和訳は別のブログにのせました。
こちらをクリックしてください
http://diafeliz.jugem.jp/?eid=65
メキシコは、去年ジャーナリストが12人殺害されました。
政治家の汚職、政治家とマフィアのつながりなどを取材していたジャーナリスト達です。
脅迫されてノイローゼになった記者もいるし、子供と一緒のところを撃たれて負傷した人もいるけど。
でも脅しに負けずに書き続けたジャーナリスト達が命をおとしてしまった。
毎年ジャーナリストが殺されてます。
それでも書き続けるジャーナリスト精神を持ち続ける国でもあるんですよね、メキシコは。
メキシコのデモの先頭にはたいてい学生がたってる。
しかも有名国立大学の学生が多い。
メキシコは若い人でも政治の話をよくします。
SNSとかでもよく政権批判したり政治の風刺漫画のせたりする人も結構多いです。
メキシコはmotolovみたいに政府や政治家の名をあげて批判する有名ミュージシャンもいるし、政治風刺するコメディアンとかもいます。
前にこのブログに、メキシコの人気ユーチューバーが、リッキー・マーティンのヒット曲の替え歌で大統領の汚職について歌ってるのを紹介しましたが、そんなのもメキシコは大好き。
「Vente pa'caの替え歌。Ven a votar(私に投票しに来い)」
話を元に戻すと、前回書いたように、レゲトン界やヒップホップ界はまだ男社会のジャンルだし、しかもマチスタ(男尊女卑の男)が多い中南米で女性の若いヒップホッパーは珍しいです。
しかも歌詞の内容が鋭くておもしろい。
彼女は注目アーティスト!