Life and Dance in Latino Style

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J BALVINが、バイオレンスやドラッグ賛美のラッパーやミュージシャンを批判

世界で大人気のレゲトン歌手 J BALVIN。

J BALVINが自分のSNSで、レゲトンやヒップホップのラッパー達にはバイオレンスとドラッグ賞賛の歌が多いが、そんなのミュージシャンとして最悪だと非難しました。




2日前に、彼が自身のインスタグラムにUPした文章と写真です。
(もとは、写真と文章で一つの投稿)


j balvin medellin 1



j balvin medellin 2




スペイン語で書かれているので和訳します。





「最近僕がいるレゲトンやヒップホップ等のアーバン系のジャンルでは、犯罪行為や麻薬や麻薬ディーラーに焦点をあてた曲が増えたと思う。

僕は1985年にコロンビアのメデジンで生まれた。
コロンビアのメデジンは(注:パブロ・エスコバルが君臨していた。1993年に死ぬまで)最大の麻薬カルテルがあったところだ。
その時代ににそんな都市にいたことを僕は”誇りに感じてはいない”。

あの頃、ストリートは非常に危険で、危険を避けようとしても避けられなかった。
気軽に外出もできず、誰かの家族や親族や友達や知り合いが非道で残忍な形で殺害されてしまうこともあった。それがあの頃のメデジンの現実であり過去におきたことは消すことはできない。

僕はレゲトン界の代表者として、他のレゲトン歌手やヒップホップのラッパー達がやってる行動が、コロンビアの国を傷つけ、また世界の文化に対して悪影響を与えていると批判したい。

メデジン出身のコロンビア人として、メデジンの麻薬マフィア抗争を描いた映画も大嫌いだ。

僕はあらゆる社会階級に友達がいる。
真の悪人は沈黙して決してしゃべらない。自分が悪人であることを誇りにも思ってないし、自分が他かららうらやましがられるような存在だとも思ってない。それに彼らはSNSなんかやらない。

僕はこのごろ心に浮かぶことがあるんだ。
「もう俺ら 音楽やめたほうがいいんじゃね!」。

パブロ・エスコバルの映画やドラマの関係者や映画やドラマのファン達を、僕の故郷のメデジンに連れていきたい。
今のメデジンが映画で見たイメージとまったく違うことに驚くだろう。
(※注:今のメデジンは安全で静かな観光都市だから)

あの時代を体験したメデジン市民にとっては、映画のようなフィクションではなくて現実だったのだ。
メデジン市民があまりに辛すぎて口を閉ざし、心の痛みに耐えていることをリスペクトしてあげてほしい。
あんな映画などは相手にしないほうがいいと思ってる人が多いのが現実なのだ。

しかし自分と同じラッパーには、そういう辛い経験をしてきた人達に対するリスペクトがまったくないアホ達がいる。
あのピエロたちにはファンはたくさんいるし、みんなを躍らせハッピーにできる音楽のバイブはある。
でもあいつらが誇れるのはそれだけだ。 あんなのクソだ!」







このメッセージにJ BALVINが添付した血だらけの子供の写真は、たぶんパブロ・エスコバルの麻薬抗争時代に犠牲になった市民の写真だと思います。







このJ BALVINのメッセージが話題になって、今日の米のビルボードのサイトに関連の記事がでました。



ビルボードの記事はこちらです。

原文は英語なので日本語で要訳します。


https://www.billboard.com/articles/columns/latin/8470269/j-balvin-urban-violence-drug-culture-instagram-note?utm_source=t.co&utm_medium=referral



「J BALVINがアーバン系の歌手に、バイオレンスやドラッグカルチャーではなくて音楽にフォーカスしろ、と頼んだ」

J BALVINがレゲトンやヒップホップのラッパー達に、犯罪を美化するような傾向はやめ、みんなをハッピーにできるような音楽を作ろうよとよびかけた。
他のラッパー達が書く歌詞はバイオレントすぎて、ファンを誤った方向に導いてしまう可能性がある。だからもうバイオレンスとドラッグの歌をつくるのはやめてほしいと頼んだ。
J BALVINは麻薬マフィアの本拠地のメデジン出身だ。レゲトンやヒップホップの曲が犯罪者やバイオレンスに手を染める悪影響も与えてきたと言った。
J BALVINは、特にトラップ・ラティーノ(※注:スペイン語のヒップホップ)が流行りだしてから、セックスやドラッグなどの歌が増え、自分の国コロンビアでバイオレンスと闘う人達に逆行する状況を作り出してると批判。








このビルボードの英訳と解説には、私はうなずけません。
スペイン語の原文を読むと、J BALVINが言ってたこととちょっと違うような気がする。
それに解説も、彼が言いたかったこととずれてるのでは?
アメリカの音楽雑誌編集者には、コロンビアのメデジンに住んでた人の気持ちは理解できないのかもしれない。

J BALVINのスペイン語の原文は他の歌手達への非難がかなり強い調子で書かれてたので、ビルボードは彼らに配慮して「もっとみんながハッピーになれる歌をつくろうよ、とよびかけた」という感じできれいにまとめたのかもしれません。
そんなこと原文に書かれてないと思うけどね 笑。







J BALVINはコロンビアのメデジン出身のレゲトン歌手。

「AY VAMOS」で世界的に大ヒットして日本でも有名に。
去年リリースした「MI GENTE」は あの世界的な超ヒット曲「デスパシート」を抜くかといわれたほどの勢いでした。






今もヒット曲がどんどんでており、彼が共演した曲がビルボードの1位に(現在2位)。
世界の大スターです。


いまサマーソニックに出演するために来日中。
東京に昨日から滞在中です。



プライベートでは、J BALVINは半年ほど前に鬱病に苦しんでることを告白しました。

曲が大ヒットして世界的なスターになったのはいいけれど、あまりに仕事が多忙すぎて鬱になってしまったそう。
アメリカでのツアー中に体調が悪くなって入院したこともあるそう。
レゲトンが悪いわけじゃなくて、自分が仕事をたくさん引き受けすぎてしまったから自分のせいなんだと自分を責めていました。

今は抗うつ剤を飲みながら、仕事しています。



日本に来る前、先週コロンビアでラジオに出演して、J BALVINは自分の鬱病について長いインタビューに答えていました。


J BALVINが日本に来てくれたのはうれしいけど、鬱病が心配です。
あんまりがんばらないでほしい。






それで2日前にあの長いメッセージ。
日本に来る道中で書いたのでしょうか?



J BALVINが批判した対象には2つあります。

1つがメデジンの辛い歴史をエンターテイメントにした映画界やテレビ界。

2つめがバイオレンスやドラッグのことを歌うレゲトンやヒップホップの歌手達です。


その2点について解説します。







メデジンとドラッグ



以前私はこのブログなどに何度も書いたけど、コロンビア人にパブロ・エスコバルの話をするのはタブーです。
「NARCOS」や「LOVING PABLO」のようなパブロ・エスコバルの映画やドラマにもうコロンビア人はうんざりしています。


それについては、前に私は何度か書いたのでこれを読んで下さい。

「netflixの「narcos」のパブロ・エスコバルのドラマにうんざりするコロンビア人」


パブロ・エスコバルは1993年に警察に殺害されて、メデジン・カルテルもなくなりました。

コロンビアはそれから劇的に変わって、今やラテンアメリカ第3位の経済国。
私がいた数年前はバブル景気のようにすごい活気がありました。
その何年か前に住んでた時より急激に変わり、大都市は開発されて国外からの投資も増えました。
外国人観光客も増え、欧米人移民が増え、「世界行くべき旅行先の2位」に選ばれました。

なかでも一番欧米人移民や観光客が多いのがメデジンです。
メデジンが一番劇的に変化した都市で、パブロ・エスコバルの危険都市というイメージがある人にはメデジンの現在の姿にはびっくりだと思います。
私はメデジンに長期滞在しましたが、メデジンなら住んでもいいかなと思うくらい過ごしやすい街だと思います。


だけどエスコバルの時代は血塗られた時代だったし、多数の市民が殺されました。

「NARCOS」にコロンビア人がうんざりしてるとか、パブロ・エスコバルのグッズをコロンビア人が嫌がると書くと、「なぜ嫌がるんだ。だってコロンビアはほんとにドラッグとバイオレンスの国というのはほんとじゃないか。エスコバルだって現実にいたのに、なぜ歴史から目をそむけるんだ。コロンビア人はずるい」と言われることがあります。

でもコロンビアは内戦で、国内問題です。
(ドラッグはアメリカが消費者だからアメリカがらみだけど)。
内戦は国内問題で他国を侵略したわけではない。
コロンビア人がコロンビア人を殺したんです。
自分の家族を殺した人が国内でまだ生きてるんです。

J BALVINは33歳。
エスコバルは1993年に死んだから、30歳以上の人だったらパブロ・エスコバルの時代の記憶がまだあるわけですよ。


でももうコロンビアは変わった。
新しく変わったコロンビアで、みんな一生懸命楽しく生きてる。
なのに外国人は、コロンビアといえば「コカインと美人売春婦の危険国」と嘲笑する。


自分達がやった歴史を直視しろよ、とコロンビア人に言う日本人達がいるけど、じゃ日本軍による南洋やアジアでの残虐行為を指摘されたらそういう人はなんと答えるのでしょうか? 残虐行為をTシャツにされたら着ますか?

コロンビア人は歴史をちゃんと直視しています。
危険だった頃の記憶がある人がまだたくさん生きていますし。

けど、関係ない人が、映画やドラマでエンターテイメント化したり、グッズにしたりして、おもしろがられるのは嫌なのです。まだ犠牲者の遺族も加害者もあちこちにいるし、ドラマや映画が話題になると嫌な記憶がよみがえってくるからです。


J BALVINもアメリカや世界に出て、きっとメデジン出身といわれるたびに、「あーパブロ・エスコバルの街か」、「エスコバルの遺族と友達?」 「上質のコカイン手に入らないかな?」などこころないことを言われてきたにちがいありません。

コロンビアはコカインの国といわれてるけど、コロンビアではほとんど消費されてません。消費者はアメリカが主で、あとはカナダとか欧州等です。コロンビア国内でコカインやってる人には外国人旅行者や滞在者が多い。

コロンビア人は麻薬の恐ろしさを知ってる。
麻薬カルテルの恐ろしさも(メデジンカルテルはなくなったが、他の麻薬組織は今もまだある)。

それに麻薬中毒者がホームレスになって路上に寝ている。
コロンビアでトップのサルサのグループGRUPO NICHEのヴォーカルだったのに、麻薬中毒になり転落してホームレスになった人もいます。


でも外国人はコロンビアに麻薬と女めあてで旅行にきて、気軽にコカインに手を出しそれがらみで殺された人もいるし、最近は若い欧米人にはコカインの密輸をしようとして空港で捕まった人もいます(コロンビアの空港は麻薬犬いるのに)。



世界では、一般人もラッパーも、ドラッグやバイオレンスをかっこいいと勘違いしてる人が多いみたい。だけどコロンビア人にとってからしてみたら「おまえらバイオレンスやドラッグの本当の恐ろしさを知ってるのか?」と言うでしょう。
その恐ろしさを知ってるから。


だから私も、ドラッグについていきがって書く人や、「クラブ界にいるならドラッグくらい当然でしょ」とか言う人は苦手です。
私はドラッグやらないし、コロンビアやメキシコに住んでたからあの2か国がアメリカが消費するためのドラッグのせいでどれだけ苦しんできたか知ってるからです。麻薬抗争で人が殺されて続け、今も麻薬抗争があり、世界からは「ドラッグと麻薬抗争の国」というレッテルを貼られていじめられています。米からは「おまえら、早く麻薬問題をなんとか解決しろ」と言われてますが、米は被害者面がうまいなと思いますよ。








レゲトンとヒップホップ界


J BALVINはレゲトンとtrap latino(スペイン語のヒップホップ)の歌手です。

中南米スペイン語圏の若い世代に一番人気があるのがレゲトン


レゲトンは80年代初期からあるんですけど、レゲトンが世界的にブレイクしたのは2004年のダディ・ヤンキーの「ガソリーナ」です。

2000年代のレゲトンは、ビデオはビキニの女性達がセクシーダンスし、プールサイドにたくさんのビキニの美女とかで、歌詞の内容はずばりエッチというのが主流でした。

そうじゃないのもあるけど、でもエッチなのが大半でした。
「ガソリーナ」だってエッチの曲ですよ。


レゲトンが好きなのはティーン・エイジャーが多かったし、中南米ではホームパーティや誕生日や成人式などのフィエスタでレゲトンがかかるので、歌詞がエロ過ぎて子供の教育によくないと親世代が怒り、レゲトンは社会からの批判が強かったです。

放送で歌詞を検閲されるようになりました。

それでフィエスタでもかけられて検閲も通るような曲が2010年頃からヒットするようになりました。DON OMARの「ダンサ・クドゥーロ」とか流行りましたよね。

レゲトン歌手も世界のマーケットで売れる曲にシフトしていったので、だんだん変わった大御所が増えたんですよ。

レゲトンは一番盛んなのがプエルトリコですが、何年か前にコロンビアのメデジンからJ BALVINやMALUMAがロマンチックでゆったりしたレゲトンをヒットさせて、レゲトンのトレンドを変えました。

コロンビアのレゲトンが世界で大ヒット。





ところがここ何年かで急にレゲトンより中南米の若者に人気になったのが、トラップ・ラティーノというジャンル。
スペイン語のヒップホップに電子音を加えた新しいジャンルです。

このトラップラティーノの歌には、レゲトンよりもバイオレンス、セックス、ドラッグの歌が多いということでスペイン語圏では問題視されています。


http://www.latribuna.hn/2017/05/08/trap-una-musica-violencia-sexo-denigra-mujeres/




そしていまは20代前半の若手歌手が世界的に人気になりました。

レゲトンやtrap latinoの歌手ですが、トラップ・ラティーノの歌手の方が多い。


MALUMA、OZUNA , BAD BUNNY, FARRUKO, ANUAL AA, BRYANT MYERS とかが大人気のアーティストです。


ところがこの若い世代は、ダディ・ヤンキーやドン・オマールやWISIN Y YANDELなどの大御所とはぜんぜん考えが違う。レゲトンを完成させたダディ・ヤンキーのように苦労もしてない。
彼らがレゲトンやりはじめた時にはすでにレゲトンが世界中で人気だったので、若い時からいきなり世界で大ヒットしてスターになっちゃったんですね。

なので高飛車だし、先輩の注意も無視するし、いいたいことをずけずけいうし、悪い事でもやりたいことをやるし、マナーが悪いアーティストが多い。




Malumaは昨日書いたように、女性を性奴隷化してモノ扱いするような歌をリリースし放送禁止になり、政府からも怒られたのに、逆ギレしてまた同じような曲を何曲もリリース。
コロンビアの大御所歌手も(共演したシャキーラも含め)注意したんだけど、無視。
中南米やスペインでは、MALUMAはマチスタ(男尊女卑) とかなり批判され、スペインでコンサートボイコット運動もおきました。


ANUAL AAは、銃の違法所持で逮捕され懲役刑になりました。
つい先日釈放されましたけど。
が、服役中もレゲトンやtrap latinoの仲間は釈放を嘆願し、銃の所持については本人もまわりもぜんぜん反省してないです。


BAD BUNNYも去年流行った曲は、ドラッグでハイになってラリる曲。
ラテンの女性歌手とfeaturingすることも多いけど、彼のラップの部分は女性を性的なモノ扱いしたりエッチな内容が多いです。


FARRUKOは、仲間が捕まるとドラッグや銃の所持くらいいいじゃないかと擁護するし、MALUMAの歌が放送禁止になったらあの曲のなにが悪いとか激怒しました。
farrukoは、飛行機で移動中に申請せずに多額の現金を持ってて空港で捕まりました。
しかも、farrukoは有名になる前は麻薬の売人で窃盗もやってたと告白しましたよ。



コロンビアの若手レゲトン歌手のKEVIN ROLDAN。
金色のランボルギーニをコロンビアのスーパーの身体障がい者用の駐車スペースに駐車してたので捕まりました。あんな派手な車にコロンビアで乗ってるのは彼だけなのに、笑える。
またKEVINはチリで、ファンの少女姉妹をホテルの部屋によびつけレイプしようとして逮捕されました。相手は中高生ですよ。


Ñengo Flowはドラッグ所持で去年逮捕されて懲役刑になりました。




最近のレゲトンやトラップラティーノのビデオを見たり歌詞きいてるとびっくりすることがあります。
銃を構えるしぐさしたり、ドラッグやってるシーンとか、銃でぶっぱなす、とかバイオレントなのが多いんですよね。歌詞もmatar(殺す)とか。



たとえばこれは最近出所した ANUAL AAと プエルトリコ人のレゲトン歌手のÑengo Flowの曲。


「Los Intocables」  Ñengo Flow Ft Anuel AA





武器がでてきてすごいバイオレントってわかりますかね。


Ñengo Flowのコンサートに私は行った事あります。レゲトン歌手としてはÑengo Flowは才能があるし好きな歌手ですよ。
ANUAL AAもトラップとしてはいい歌手。






またこれはいま流行ってるBAD BUNNYレゲトン歌手ARCANGELのトラップ・ラティーノの曲。






この曲がトラップ・ラティーノというジャンルの曲です。
スペイン語のヒップホップで電子音が多用されてるのがわかりますか?


これはドラッグの歌です。
マリワナっていうのはマリファナのこと。

ARCANGELのコンサートも私行った事があります。私が一番好きなレゲトン歌手です。





DADDY YANKEEやDON OMARの大御所達は最近の若いアーティスト達の傾向に懸念を示してはきたのですが。

もう若手はすでに暴走してます。
世界で売れて世界中の若者に人気だし、プライベートジェットや高級車を乗り回し、リッチになっていい気になってるし。
俺が売れてるからうらやんで批判してくるんだろとか言い出すし。





ラテンアメリカは大半の国は階級社会です。
特にコロンビアは階級差が激しいです。

レゲトンやトラップラティーノの歌手は貧困層の出身者が多い。
MALUMAもメデジンのスラム出身です。


貧困層から出て来て、歌で名声を得て、リッチになったけど、もともとは育ちがよくないからしょうがない、と中南米では言われてしまいます。
スラムでドラッグやバイオレンスにまみれてたから、いくらリッチになってもなかなかなおらないと、言われてますね。




彼らのプライベートな生活には口を出さないにしても、彼らは世界中の若者にいま大人気なので、彼らの曲や歌詞や発言が若者に与える影響は多大です。
バイオレンスや麻薬や、女性を性的モノ扱いするのがクールだとティーンエイジャーが思ってしまうと心配されています。


特にいま世界でラテンが大ブーム。

レゲトン歌手はもう自分の国のローカルのクラブでラップバトルしてるラッパーじゃない。
世界のスターなのです。


一昨日に私が書いた記事にあったように、MALUMAが「俺はこういうやつだからほっとけよ」とか言ってたけど、そんなにほっといてほしいなら、世界のスターをやめてメデジンのスラムに帰ってローカルで歌う歌手に戻ればいいのでは。



特に人気のミュージシャンは、自分の発言や生み出す音楽の影響力や責任を考えなきゃいけないのではないでしょうか。
売れればなにをしてもいい、というわけではないと思います。


それを J BALVINもきっと言いたかったんだと思います。




ラテンだけじゃなくて、アメリカ人のラッパーにもコロンビア人を大激怒させた人がいます。


ワイスピの曲「see you again」が日本でも大ヒットしたアメリカのラッパー Wiz Khalifa (ウィズ・カリファ)。

彼がコロンビアのメデジンで、パブロ・エスコバルの墓を訪れ、献花をして、墓の前でマリファナを吸ってマリファナエスコバルの墓に捧げてるところをSNSに投稿。

そしたらメデジン市長やメデジン市民、コロンビア国民が大激怒。

パブロ・エスコバルと麻薬カルテルのせいでどれだけのコロンビア市民が死んだのかわかってるのか、エスコバルを崇拝して墓にしかも大麻を捧げて大麻吸うとは、と超怒られました。
コロンビアのメディアでもたくさん報道されましたよ。
「NARCOS」でパブロ・エスコバルが人気になり、メデジンエスコバルツアーに参加して墓に行ったり、エスコバルの基地に行ったりする観光客が増えました。
ウィズ・カリファは軽い気持ちだったかもしれませんが、エスコバルとドラッグ関係はコロンビアではNGです。


images Wiz Khalifa




J BALVINは若い時にアメリカに住んでたし、今もアメリカでも音楽活動してるから、アメリカや他国のラッパーについても今回の件は言いたかったんだと思います。だってurbanoのジャンルと書いてた。アーバン系のジャンルということで、アーバン系というのは、レゲトン、ヒップホップ、トラップ・ラティーノ、ダンスミュージック、いろいろ入るからです。
スペイン語やラテンとも書いてなかった。
だからあれは世界中のアーバン系の音楽関係の人達へのメッセージでしょう。
日本のアーティストも含めてね。




私はレゲトンやトラップラティーノが好きで、ラッパーやMCの友達も結構いるし、レゲトンやヒップホップのDJ仲間達もいます。

音楽とダンスの為にコロンビアにも住んだから、コロンビア人達の嘆きや気持ちもよくわかる。


だからJ BALVINは、たんに 「みなをハッピーにさせる音楽を作ろうよ」、とよびかけたんじゃなくて、今のエンタメ界への怒りを爆発させたんだと思います。

音楽なんかやめちまえって言うくらい怒ってるし、真剣に音楽のことを考えてると思う。

その気持ちが私にはよくわかります。

私も彼の発言と似たようなことは今まで書いていて、それを書くと反論される。

だからJ BALVINにバシッと言ってもらってすっきりしました。


J BALVINの今回の話はスペイン語ラテン音楽界にとどまらず、世界中のラッパーやアーバン系の音楽のアーティスト達に向けて発したメッセージだと思います。