Life and Dance in Latino Style

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MALUMA 「MALA MIA」の歌詞和訳。 中南米で議論沸騰中のわけ

コロンビア人のレゲトン歌手、Malumaが新しいレゲトンの曲をリリースしました。

「MALA MIA」という曲です。



「MALA MIA」 MALUMA





曲は単調なレゲトンです。
音楽だけきいてたら、すぐ飽きるかなという感じ。


でもビデオみると、冒頭からいきなりホテルの一室に下着姿の女性達が20人ほど寝ていて、ベッドに寝ているたくさんの女性の下からMALUMAが顔を出して首に女性のパンティがかかっている。

つまりMALUMAが、自分のホテルの部屋で女性数十人を連れ込んで乱交した翌朝ということですよね。




この曲は、彼氏がいるとわかっていながら女性に手を出してエッチしその彼氏にお前の女とヤッたという歌です。




歌詞和訳もしました。
(原語はスペイン語で、それを日本語に翻訳)。
動画化したので見て下さい。






たぶん、この中の 君が飲みたいものをあげる、っていうのは、飲みたいものはドリンクじゃなくてエッチな意味だと思います。
そのために待ってるってことで。

彼氏がそばにいなかったから、もう入ったというのは、割り込んだ と訳しといたけど、この「入る」も「入った」→「入れた」というエッチな意味の可能性があると思います。




さて、この「MALA MIA」のビデオがリリースされる前から、スペイン語圏の中南米ではすでにニュースになっていたので私は知ってました。


MALUMAの新曲の歌詞とビデオがまたわいせつな内容なので大議論にといういうニュースでした。


これはMalumaの出身であるコロンビアのニュース。

https://www.elpais.com.co/entretenimiento/musica/mala-mia-maluma-vuelve-a-despertar-polemica-por-el-mas-candente-de-sus-videos.html






malumaファンたちは、malumaかっこいいー、この曲もすてきー、ビデオもすてきー  とほめています。

日本ではいまMalumaのファンが多い。
彼はイケメンということで女性ファンが多い。
日本人の多くはスペイン語の歌詞がわからないし、日本は女性の性的な写真や画像にあふれてセクハラが多いといわれてる国なのであんまり性的な事に抵抗がないからか、Malumaも新曲も日本では絶賛されています。


MALUMAって”ラテンのチョイ悪プリンス”って日本のれこーと会社では宣伝されてるんだね。

ちなみにコロンビアのレゲトンのJ BALVINは「ラテンの貴公子」と宣伝されてて、J BALVINのどこが貴公子なんだ?とびっくりしました。
今までラテンの貴公子といわれたのは、エンリケ・イグレシアスフリオ・イグレシアスの息子で、日本でも有名なイケメン歌手)。





しかーし、
「MALA MIA」のビデオがリリースされてまだ数日なのに、アメリカや中南米からはmalumaの新曲に批判の声が相次いでます。




スペイン語圏の人達の反応を翻訳しますね。







ニュースでは、MALUMAの新曲に大批判。 「マチスタ(男尊女卑野郎)という批判の声がたくさんあがっている」。







「malumaはなんでこんなにマチスタ(男尊女卑の男)なんだろう。こんな歌詞を女性がきいたらなんと思うだろうか。理解できない。」









「Malumaのビデオみたけどグロいし、あいつはアホのマチスタ(男尊女卑)だと思う」







「Malumaが2018年もまたやってくれた。Malumaがリリースする曲ってすべて、自分がやりちんで下品ということがあふれた歌ばかりだよね」




まあ、こんなのばかり。


もちろんファンはmaluma絶賛なんだけど。
世論的にはこんな感じです。




Malumaへの批判は今に始まった事ではないです。

コロンビアだけで有名だった時はロマンチックな曲が多かったのに、アメリカや世界デビューした頃から下品な歌が増えたように思います。


大問題になったのが「CUATRO BABYS」で、歌詞が4人の女性を性奴隷にしており、女性差別であるとともに、女性への暴力を助長するということで、スペイン語圏で放送禁止になりました。

Malumaはコロンビアの行政からも怒られて会見もコロンビアで開いたし、コロンビアの音楽界の上にいる有名ミュージシャン達からかなり怒られました。


だけどSNSやコンサートなどで「そんな批判なんてくそくらえだ」と逆ギレしました。

だから今もコンサートでは放送禁止になった「CUATRO BABYS」を歌い続けています。

Malumaのコンサートの動画がUPされると、MALUMAはその「Cuatro Babys」を大声でわざと歌ってしかもファンに合唱させます。
それを合唱してる女性ファン達に対して、スペイン語圏では「こいつらビッチだな」とか批判されてますが。


スペインでは、大きなイベントにMalumaがゲストとして招待されると告知されたら、女性達の反対デモもおきました。Malumaの招待をキャンセルしろ、あのマチスタをスペインに入れるな、というデモです。


Malumaのこういう問題については今までも何回かこのブログで書いてきました。

こちらを見て下さい。



「レゲトン界の女性リスペクトの方向に逆らうmaluma」

「 malumaの「cuatro babys」の歌詞が女性蔑視と批判される」





なぜスペイン語圏の人はそんなに怒るんだろう?
いいメロディなんだし別にいいじゃん、って思うでしょう?

日本人は意味をわからずメロデイだけできいてるだけだけど、スペイン語圏の人は歌詞の意味も、歌詞に隠された裏の意味もわかってしまうからなんですね。それに曲だけじゃなくて人格も見てる。




しかも、いま中南米では暴力による女性の死傷者が過去最高になりました。
特に夫からのDV、または恋人からの暴力、元夫や元彼氏からの暴力が多いです。


男性から女性への暴力が多いのは、中南米マチスモ思想(男尊女卑)が大きな原因です。
中南米には昔からマチスタ(男尊女卑の男)が多くて、昔よりは減ったと思いますが、まだ中高年や地方には根強いです。

コロンビアでも男性から女性への暴力による死者が過去最高になって国際的にも問題視されています。
なので、コロンビアの政府は女性への偏見やバイオレンスをやめるようにと、法改正や社会への啓蒙と子供達の教育に力を入れています。


そんなときに、コロンビア出身で世界で成功したMALUMAが逆行したことをする。

彼は世界のティーンエイジャーを中心に大人気で、青少年に影響力が強いです。

なのにあんなに女性を性的なモノ扱いし、性奴隷のようにするような歌ばかり歌っていたら、青少年の健全によくない影響を及ぼすとして、コロンビアの行政からも注意されました。




でもMALUMAは逆ギレしてさらにエスカレートするだけで、やめない。

「CUATRO BABYS」が社会に非難された時は、MALUMAの家族はげらげら笑い飛ばしてお母さんも下品な事いってたのでどんびき。


彼の母国コロンビアでは、MALUMAはもともと育ち悪いし(コロンビアのメデジンのスラム出身で、家族も品が悪い)、社会への影響も考えないし、マチスタ(男尊女卑)だ、有名になってリッチになったからといい気になりすぎている、と批判されています。



今回「MALA MIA」の歌詞を和訳しながら思ったんだけど、エッチな曲であるだけじゃなく、最後の方を見てもわかるように、これは自分に対する世間からの批判への反論の歌ですよね。
俺はこういうやつだし、俺への批判はウソだし、俺の知ったこっちゃない、と。

MALUMAは社会に対する挑戦か、とスペイン語のニュースでは書かれてましたよ。

MALUMAはこういう形で行政や社会や世論と闘うつもりらしいけど、そこまでがんばるならもう少しいいことに目を向けたらいいのになと思います。

プライベートジェット持つほど金持ちになったんだから、プライベートジェットでW杯だけ見にいかずに、コロンビアの被災者に支援したりとか、そういうことはできないのかな? 
(クリスマスにメデジンの貧しい地域の子にクリスマスプレゼントをあげたニュースしか見た事ない)。
貧困層出身なのに冷たいな。


世界の音楽マーケットでヒットチャートに入ってるんだし、もう世界的なスターとしては世界の社会情勢や世論も考えないといけない。

もう君はメデジンのスラムcomuna13の小僧じゃないんだよ。
ローカルではOKだった理論は世界の音楽市場では通用しない。
そんなに言われるのが嫌ならコロンビアのローカル歌手に戻ればよい。




今は特に世界中で男女差別が大問題になっており、me tooがおきる前から中南米では女性差別への大規模な抗議デモが各国でおきていました。特にメキシコ、アルゼンチン、コロンビアなど。


前にブログで説明したようにコロンビアでは数年前に、ストーカーから顔に酸をかけられて全身やけどを負った女性が、暴力反対の活動家となってコロンビアで有名になり、女性への差別反対やマチスタ反対の機運が前から高まってました。






malumaは、 ”レゲトンなんてそういう歌じゃないか、昔からビキニのセクシー女性とエッチな歌詞というのがセットだろ”、と反論します。
確かに昔はそうでした。レゲトンが世界にブレイクした頃の15年位前ね。
けどレゲトンは歌詞もビデオも下品すぎるとスペイン語圏で批判を受け、放送禁止処分や、検閲も厳しくなった。
レゲトンが世界の市場で売られるようになり、レゲトン歌手達も世界のマーケットで売れるように、みんなで踊れる歌をリリースするようになりました。

例えばダディ・ヤンキーも昔は「ガソリーナ」とかエッチなのも歌ってたけど、いまは「DURA」とか「HULA HOOP」のようなズンバ(ラテン系フィットネス)で踊れる曲や、老若男女が踊れる曲を出すようになりましたよね。



malumaは私はコロンビアにいた時からきいてて、彼の曲には好きな曲が何曲もあるしCDも買ったし、レゲトンだけではなくてPOPS系やfeaturing系もいいと思うんだけど、考えがまだ昔の時代のレゲトンの歌手っていう感じがします。

時代の流れについていけてない、そこがダサいことを本人が分かってないのが残念。。。




5月にリリースされたばかりのMALUMAのアルバム