Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

レゲトン界の女性リスペクトの方向に逆らうmaluma

レゲトンはエロいといわれることがよくあります。

中南米ではレゲトンのコアのファン層がティーンエイジャーなので、子供の教育上よろしくないと思う親達もいます。
また中南米では誕生会とか15歳の誕生会(成人式パーティ)などでレゲトンがかかるので子供からお年寄りまでが耳にしてしまう。
スペイン語圏ではもちろんスペイン語の歌詞はわかっちゃいますので。

なかにはテレビやラジオ放送の検閲にひっかかって放送されない曲もあります。
だからエッチな意味を隠語や比喩表現などで隠して歌う場合も多いです。

もちろんあいかわらずエッチなレゲトンの曲もまだ存在してますが、レゲトンが世界で初めてブレイクした10数年前に比べたらエッチな曲やビデオはかなり減ったように思います。

レゲトンのエッチな歌についてはこの前この記事書きました →  「下品なレゲトンの曲あるのになぜmalumaだけがバッシング?」 



やっぱエッチな歌ではリスナーやマーケットが限られてしまうからかな。
ラテングラミーなどの音楽アワードも受賞したいし、売り上げを拡大したいとやっぱアーティストたちは思うでしょう。
もっとファン層やマーケットを広げるためには、レゲトンはもっと進化していかなきゃいけないとレゲトン界が考えているように思います。

子供達や女性が楽しんで踊れる、彼女とデートの時にもBGMできける音楽、ズンバなどのダンス教室やフィットネスでも使える曲が世界でヒットするようになりましたからね。

たとえば世界的にヒットしたドン・オマールの「Danza Kuduro」。
あれは世界中のフィエスタでかかりまくりでした。
老若男女で踊れる健康的な歌だからね。

ラテングラミー賞を受賞したレゲトンはyandelの「encantadora」というロマンチックなレゲトン



レゲトンといえばプエルトリコがずっと帝国だったのに、このごろはJ BalvinやMalumaなどのコロンビア勢が大人気。
コロンビアのアーティストの曲がラテングラミーなどの音楽アワードで大きな賞を獲得するようになりました。

コロンビアの曲はメロディがおしゃれだったり、バジェナートなどのコロンビアの伝統音楽を取り入れたり、ロマンチックなレゲトンが多いし声もソフトなことが多いですです。

プエルトリコ系の爆音でがつがつしたハードなレゲトンとは違う傾向。


それにこのごろの音楽賞の受賞者やアルバムを見てると、下品じゃない曲のほうが受賞してるような気がする。

ちなみにいま一番大賞を受賞してる曲はコロンビアのCalros Vivesとシャキーラの「bicicleta」。
コロンビアのレゲトン歌手のJ Balvinもいくつも賞を獲得しています。



そういうレゲトン界の変化の中で、最近バッシングうけたレゲトン歌手がいることをこのブログで書きました。


いま世界で大人気のコロンビアのレゲトンシンガーのmalumaです。

malumaがリリースした「Cuatro Babies」というレゲトンの曲が女性差別だとスペイン語圏で非難されているという話をこのブログでしました。

歌詞は

4人の愛人がいて(女性のうち2人は既婚者)その女4人とエッチやりまくりという内容でした。

詳しい解説と歌詞の和訳は以前書いた記事を読んで下さい。

→  「malumaのcuatro babysの歌詞が女性蔑視と批判される」



「Cuatro Babys」 maluma






歌詞が女性を性的なモノ扱いしてるし言葉が下劣すぎると大批判されて、ニュースで報道されたときも歌詞にピー音が入りました。
それに対してmalumaが逆ギレして、コンサートでわざとこの曲を大合唱したりしてましたが。

先輩歌手たちからも怒られたので少しは反省したかなと思ったんですが。


いやいや。。。。




malumaは今月、初めての全米ツアーを開始しました。

全米ビルボードにmalumaのインタビュー記事がのってました。

英語の記事ですので、英語から要約しますね。



malumaは初の全米ツアーを開始しました。
全米ツアーでは、論議をよんでる「Cuatro Babys」を歌うと明言しました。
「cuatro babys」は女性蔑視のミソジニーの曲だとして、音楽プラットフォームから削除要請があった曲です。

malumaが言うには

「みんなドラマティックに騒ぎすぎだよ。
いろんな人があの曲についていろいろ自分にきいてくるけど、自分が作詞作曲したんじゃないし。
この曲はもちろん全米ツアーで歌うよ。
だってこういうトラップミュージックはストリートでいま非常に人気があるからみんな聴きたがってるんだもん」




あーあ、またmaluma君やらかしちゃいましたね。

せっかくのレゲトン界の努力に水をさすような。

アメリカは英語圏だからスペイン語の歌詞わかんないだろと思う方もいるかもしれませんが、アメリカは人口の5分の1はヒスパニック系だしそれ以外でもスペイン語話者が多い国なのです。

若いからまだ許されてるのかもしれないけど、世界的なスターになったからといってビッグマウスになるには早いような。

ちなみにfacebookにmalumaのcuatro babysが批判されたニュースのyou tubeリンクを貼ろうとしたら、不適切な映像なのでのせられないと拒否されましたよ。
cuatro babysのミュージックビデオじゃなくて、malumaの批判のニュースなのに。
facebookからもブロックされてるんだ、「cuatro babys」。


「Cuatro Babys」はレゲトンではなくてトラップミュージックなんだけど、レゲトンシンガーが歌ってるから結局レゲトンレゲトン界が批判されちゃうんです。

トラップミュージックがトレンドだからって言うんだったら、女性への考え方もトレンドにのったほうがいいんでは。


クラブやライブハウスで歌うんだったら、過激な内容とかエッチなストリートミュージックでもいいと思うんです。
けど世界のマーケットで売っていこうというんだったら、社会責任も出てくるからねえ。



確かに「Cuatro babys」はメロディがとてもよくて私も気に入ってるので、歌詞を変えればいいんじゃないかと思います。


オリジナルの歌詞が



4人の愛人
2人は既婚者
2人は独身
4人とも違う国籍
4人とも違う性格
でもひとたびエッチがはじまって叫びはじめれば皆同じ


↓ ↓


(をたとえば)



4人の猫
2匹は三毛猫
2匹は白猫
4匹とも違う種類
4匹とも違う性格
でも餌をあげるときに鳴く声はみな同じ




みたいな 笑。

あ、でもレゲトンでは gata(メス猫)という言葉もよくセクシーな女性とかビッチーな女というときに使うか。。。




一方、最近コロンビアのレゲトン歌手のJ Balvinがリリースした新曲「Sigo Extrañandote」は、失った恋人をまだ想い続けてるという歌詞の歌です。

その歌詞について書いたこのブログの記事は →  「J BalvinのSigo Extrañandoteの歌詞和訳と泣けるビデオ」


その歌に関してJ Balvinがインタビューで

「僕の歌の歌詞はどれもとてもセクシーではあるけれど、下品ではない。音楽を下品で卑俗にする必要はない」

と言っていたと前に書いた記事で紹介しました。

これはmalumaとか下品な歌詞のレゲトンを歌うシンガー達へちくりと皮肉を言ったのかもしれませんね。

J Balvinはレゲトン界のchico bueno(いい子)って言われてるそうです。
先日のラテン音楽賞では、今年のアーティスト賞を受賞してましたよ。
daddy yankeeやmalumaじゃなくてJ Balvinばかり大きな賞を受賞するのはそういうのも関係あるかもしれない…。



そういえば先月、メキシコの大人気のグループ cafe tacubaが代表曲の「La Ingrata」は女性に対して失礼な歌なので今後コンサートなどでは歌わない、と宣言したというニュースもありました。

「La Ingrata」の歌詞は、裏切った恩知らずの元彼女へのうらみの内容。
このくらいならラテンの歌にはよくありがちだし、サルサでもmujer ingrataとかよくあるんですけどね。



中南米は伝統的にはマッチョな男、マチスタな男という男尊女卑的な考え方があるんだけど、逆に一般生活では女性をリスペクトしたり、レディファーストだったり、お母さんが一番強い家庭が多いという面もあります。

時代は変わってるし女性が社会進出し、女性差別への反対デモがあったり、女性をリスペクトすべきという世論も強いし、男女平等の精神が中南米社会にも強くなっています。

この流れはきっとラテン音楽界にも影響を与えていくんでしょうね。


今日3月8日は国際女性デーです。