Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

中南米全体で女性差別反対を訴えるデモ。男女差別変革の時がきたと

3月8日は国際女性デー。

世界の170か国で女性によるデモがおきたそうです。

中南米各国でも女性デモがありました。
中南米は、女性が被害者の殺人事件が増加し、女性への暴力が問題になっており、中南米に昔からあるマチスタの文化(男尊女卑)がその理由だといわれています。

しかしもう我慢はしないで声をあげなきゃいけない、マチスタ文化に変革の時がきたと、ラティーナ達がたちあがりました。

 

 

前からブログにも書いてますが、このムーブメントは去年からおきていてデモもあちこちでおきていました。
国際女性デーで大規模デモがあったということです。

 

 

世界170か国による女性デモの報道。

 

 

これを和訳すると

国際女性デーで、世界170か国で女性のデモがおきた。

男女差別
男女の賃金格差
女性への暴力
女性だからという理由で殺される殺人事件
性虐待やレイプ
社会での女性の機会の不平等

などに反対し改善を叫びました。

 

世界で一番大きかったのがスペインとフランスで、全国各都市で大規模デモがおきました。
スペインではデモに参加した女性政治家もおり、「今までの不平等な社会を自然で当然の状態に戻すため」と話しました。

スペイン語では「8M」という名前です。
8 de marzo (3月8日)からかな。

 

トルコやインドネシアなどのイスラム圏でもデモがおき、女性差別反対を訴えました。
インドネシアは国会前につめかけたそうです。

インドでは性暴力反対の声が大きかった。
ブラジルでは兵士達が女性に花を贈りました。女性を応援するためだそうです。

昨日は東京でもあったんですよ。
東京ウィメンズマーチという名前で。

さて、中南米はスペインやフランスほどの大規模デモではなかったけれど、各国でデモがありました。

 

 

 

アルゼンチン、メキシコ、ペルー、ブラジルなどのデモの様子の動画です。
男性も参加してます。
「子供達の代にはいい世の中になってほしいと願う」と赤ちゃん連れのママが話してます。

メキシコなどの中南米ではfeminicidio(女性だからという理由による殺人事件)が増加しているのが大問題になっています。

メキシコで2016年に殺人事件にあった女性は2746人。殺された女性の墓標のモニュメントをつくって抗議したそうです。

 

 

メキシコではこんなデータもテレビが出してました。

 

和訳すると、

「国際女性デー。メキシコでは女性への暴力被害について問題提起された。
メキシコの女性は

66.1% が暴力を受けたことがある
49% がモラルハラスメント(言葉や行動による暴力)を受けた
41% が性暴力にあったことがある
しかし
9.4% しか暴力被害を相談したり告訴してない」

あまりの暴力被害者率にびっくりしたけど、1割にも満たない人しか相談も告訴もしてないんですね。

 

 

 

コロンビアのカリ市では、女性デーにこんなメッセージが流れました。

 

和訳すると


「女性に暴力ふるうな
言葉にモラルハラスメントするな(暴言や行動での虐待)
女性をリスペクトするよう子供を教育しよう
女性を虐待するな
性暴力するな
セクハラをこれ以上我慢させるな
労働条件を男女平等にせよ

この世に命を与えてくれたのは女性だよ
もうこれ以上、女性に迷惑をかけるのを今すぐやめろ」

 

 

アルゼンチンは中南米での女性平等運動で先端にいます。

このデモンストレーションは、女性が被害になる殺人事件が多いことに抗議するダイインです。

 

このアルゼンチンのニュースを和訳すると、


「国際女性デーで中南米各国では大規模な女性デモがおきた。
中南米マチスタ文化(男尊女卑)に大きな変革の時がきた”と政治家達もいう。

 

中南米で女性運動の先頭にいるのがアルゼンチン。
大規模デモで男女平等を訴え。
有名サッカー選手も女性応援声明したそう。
アルゼンチンの大統領はプレイボーイだったが、女性差別反対運動の盛り上がりを受けて、女性支援の政策をとらざるをなくなった。男女の賃金格差の是正する法律をつくるそうだ。」

 

 

やっぱり声をあげて、動くことには意味があるんですね。
だって大統領を動かして法律まで変えちゃえたんだから。

 

 

これは元ミスコロンビアで、ミスユニバースで優勝したパウリナ・ヴェガ。
彼女は国際女性デーにメッセージを発信していました。

 

そのメッセージがよかったので和訳します。

 


「今日3月8日は国際女性デーです。
この日は昔の女性達が革命をおこし女性の権利を勝ち得た日であるということを忘れてはいけません。
私達は誇りに思い、闘い続け、歴史をつくりつづけるために一緒にがんばらないといけません。

そして私達女性一人一人にその変革の責任があるのです。
ぜひ選挙に行ってください。
どの政党でもそれは個人の自由です。
選挙すらない、投票権もない国だってあるのです。
でもコロンビアは大統領を選挙で選べる国です。
先人の女性達が女性の選挙権を勝ち得てくれたのです。
だからその権利を行使すべきです。
この国の将来のためを思って考えましょう。

この国の半分、52%は女性です。
決断は私達の手にある。
女性が投票できる意義を見せてあげましょう。
一票一票に価値がある。
私達女性も、もっといい世になるように変えましょう」

 

 

 

 

私が2010年から13年の間に中南米にいた時は、 国際女性デーは、「国際女性デーおめでとう」と言われたり、お祝いの電子カードがラティーノの友達から送られてきたり、友達がメッセくれたり、お祝いムードでした。

今年もカードもらったけど。

 

 

でも急に去年あたりから急にラテンアメリカの女性の日が一変しました。

 

去年のミスコンテストも、ただの美女コンテストに終わらず。

 

ミスペルーを選ぶコンテストでは参加者たちは、ペルーでどのくらいの女性が暴力や殺人被害にあってるかをいい、女性の暴力反対や女性の権利を参加者たちが叫びました。

 

 

 

 

ブラジルのミスブンブンというヒップコンテスト。ヒップの大きさと形のよさを競うヒップが大きい方が美人というラテン、特にブラジルならではのコンテスト。

でもそこで参加者が女性差別反対を訴え、メッセージTシャツを着たり、女性の体は肉ではないからモノ扱いするなというデモンストレーションもしました。
ヒップコンテストのステージで、観覧してた男が優勝者の体を触ったら、その優勝者の女性がその男をぶんなぐって「私の体はおまえに触らせるためじゃない。女性をモノ扱いするなといっただろ」と激怒しました。

またブラジルのそのミスブンブンでは、候補者が肉でつくった服を着て女性へのセクハラに抗議しました。これは女性を「肉」「性的なモノ扱い」してセクハラする男性へ抗議したものです。

 

 

 

 

さて、もともと中南米でなぜこれだけ女性差別や暴力が多いのでしょうか。

それは中南米には昔からマチスタ文化が強いからといわれています。

マチスタというのは男尊女卑の男のこと。
ラテンのカルチャーにはマチスタ文化が根強いです。

社会でもそうだし、前に書いたように音楽にもそれが反映されています。

サルサ界もレゲトン界もラテン音楽界は圧倒的に男性社会。

中南米では女性が家事をし子育てをする家庭が多い。
マチスモが強いので。

なかには父親から家庭内暴力にあったり、家族から性暴行される子もいる。
彼氏に暴力をふるわれれる。

結婚したらだんなに暴力をふるわれる人も多いです。

彼氏や夫とやっと別れたら、今度は元だんなや元彼氏からストーカーされた上に殺された女性が多いのも社会問題になってます。

ラテンアメリカでは第三者の女性に対してはリスペクトします。
だからレディファーストだし、女性には優しい男性が多いし、電車やお店でも女性に親切。痴漢もほぼありません。
性暴力犯罪者への罪も重いです。

だけどカップルになった時に、男女ともお互いに嫉妬心が非常に強い。
セローソ(celoso)というんだけど、結婚しても年取った夫婦でも嫉妬心が強いです。

それはラテンのドラマや音楽を見てればわかると思うんだけど。
嫉妬心と束縛がすごい。

それはラブラブの時は愛と思う。
でもエスカレートして束縛が監視になったり暴力化していき、嫉妬心や束縛が暴力事件や殺人に発展することもなかにはあります。

たとえばミスボリビアが、お姉さんとフィエスタに行って、お姉さんが別の男と踊ってるのをお姉さんの彼氏が見て激怒して、姉妹を撃ち殺した事件が前にありました。
ミスボリビアは世界ミスコンテストに出発する直前に亡くなりました。

中南米人やラティーノ系とつきあったり結婚した人にはときどきこの問題があります。
いま困っている人も読者にいると思います。

間違ってはいけないのはラティーノみんながマチスタではありません。
マチスタじゃないラティーノはもちろんいます。

マチスタが家庭のしつけがあまりない人や貧困層出身とか田舎の人や上の世代に多い傾向もあるといわれてます。
また先住民族に、暴力被害者が多いという統計も出ています。暴力や性暴力を含み、家庭内での暴力もありますが、貧しい先住民族ということで差別されてる事も多いと思います。

でもメキシコの大統領も、奥さんに暴力をふるって奥さんは病院に行った事件もおこしたので。
人によると思いますけどね。

また日本に出稼ぎにきた人にはマチスタが多いという話もきいたことがあります。
お金の為に出稼ぎにきてる人が多いので、お金目的の人もいるかもしれないし。
つきあったり結婚するときはDV問題には気をつけてください。

もしあなたの相手がマチスタだった場合、しかも身の危険がある場合はDV相談に相談してください。
 (日本だと各市役所などの行政にあったり、男女平等参画センターなどにありますので、市役所に問合せしたりネットで検索してください。海外在住の方がDV相談は発達していてサポートセンターがあったりするし、警察も協力的なので相談しやすいと思います)

暴力は加害者が悪いので、自分が悪いと思って沈黙してないで専門家に相談した方がいいですよ。

 

 

私がメキシコやコロンビアにいたときも、まわりのメキシコ人やコロンビア人から家庭内暴力マチスタのことを告白されたり相談されたりしたことがあります。
仲良くしてた一族のおじいさんはとってもいい人だと思ってたのに、実は奥さんに長年DVしてて奥さんは心身症になってるときいてびっくりしたり。そのおばあさんもとっても優しくていい人。大好きな夫婦だったから。

メキシコでは深夜に病院の救急にいったら、DVで(夫に暴力をふるわれて)負傷した女性達がきていたという話もききました。

 

 

 

こう書くと、中南米ってやっぱ危険国なんだ。
中南米人ってやっぱヤバいんだって勘違いする人がいると思います。

でも、中南米だけがDVと女性差別がひどいわけじゃない。

日本も男尊女卑は根強く、セクハラもあるし女性差別もあります。

そして日本は最近DVが急増しています。
データにもDVの急増が出ていますが。
DV相談電話はあまりに相談電話が多いから10年前からパンク状態なのでカウントできた数が少ない。
どのくらいDV被害者がいるのか把握できないほど多いそうです。

日本では女性がセクハラや性犯罪や男女差別に声をあげると、魔女狩りかとか糞フェミとかいわれてバッシングされることもあります。
でも今までずっとこういう社会に女性が我慢してきただけです。
「ケツ触ったくらいで減るわけじゃないだろ」
「セクハラくらいでぎゃーぎゃーいうな」といわれて。

やっと今の#metooや#timesupのムーブメントで声をあげられた人は多い。
何十年も我慢してた世代の人達も、若い世代に負の遺産を残さないように、もっと生きやすい世の中になるようにと思って声をあげているんですよ。

男性 VS 女性ではない。
対立構造ではない。

女性は下等な生き物だとマウンティングすれば、人口の半分を下に落として自分がその上にはいあがれると思う人もいるのかな。

でも男性だって、性暴力の被害者になってるし(男児を含めて)、セクハラ被害者や、家庭内暴力被害者もいるんですよ。
パワハラだったら被害者はたくさんいるでしょう。

優しい男性だってたくさんいます。

ただ、この国の法律や社会の制度自体が男女差別なところが依然として多く、行政も警察も女性をあまり保護していない。女性へのサポート体制が整備されてない。
男女の平等では日本は世界で下位です。

この世は男だけでは成り立たない。

男女ともそしてLGBTQなど性別関係なく、いろんな人が一緒に生きてみんなで社会を形成してます。
だから、みんなが一緒にもっと生きやすい社会にしていかないといけないと思います。
みんなでともに。

誰かを抑圧して条件を厳しくすれば、自分にも厳しくしなきゃいけなくなる。
それじゃ自分もきつくなると思うよ。

暗くて息がつまりそうで我慢が多い社会よりも、
抑圧されないし、明るくて笑顔が多くて、優しくて、もっと楽しい方がいいよね?

私はそう思います。