ブルーノ・マーズ(プエルトリコ系)が黒人音楽の盗用と非難される
日本でも大人気のBRUNO MARSが、アメリカの黒人の一部から「「非黒人が黒人音楽をやるのは文化の盗用!」と非難されて論争がわきおこっている。
BRUNO MARSがグラミー賞で大きな賞を総なめにして、R&Bの部門まであったので、黒人のブロガーたちが激怒し炎上した。
けどスティービー・ワンダーなど黒人の大御所の歌手達から反論がきた。
それがこの動画
彼女のしゃべってるのきいてたら、怖くなってきた。
あちこちでこの件についてニュースになってるが、こちらの記事をリンクしておくね。
http://wezz-y.com/archives/53198
グラミー賞で受賞した曲
「24K MAGIC」 BRUNO MARS
BRUNO MARSを初めて知ったのはディスコ音楽ファンから教えてもらったとき。
昔のディスコミュージックみたいと思った。
70年代から80年頭のディスコ音楽っぽいから、ディスコ音楽ファンがとても好きな曲。
ここ数年日本では、ディスコクラシックをかけるディスコが盛り上がってるんだけど、そこでもかかってたよ。彼の曲。
前にこのブログで書いたけど、BRUNO MARSはプエルトリコ系でラティーノなんだよ。
スペイン語も話せる。
ミュージシャンのプエルトリコ系のお父さんと一緒に、プエルトリコの国旗の前でスペイン語で歌を歌ってるビデオをここにUPしたでしょう。
この動画。
BRUNOがスペイン語話してるビデオ
プエルトリコのハリケーンのチャリティコンサートにも参加した。
自分のことをボリクア(プエルトリコ人)といってる。
プエルトリコは米領土。
BRUNOはハワイ出身。
人種的にはお父さんがNY出身のプエルトリコ系なんだが、ユダヤ系の血が入ってるそう。
お母さんはフィリピン人でハワイに住んでた。
二人がハワイで知り合って結婚。
http://wezz-y.com/archives/53198 の記事では、プエルトリコ人はタイノ族と白人と黒人の混血と書かれてるけど、必ずしもそうではない。
先住民のタイノ族とかの血が入った人もいれば、白人だけの人もいれば、黒人もいれば、白人と黒人の混血とか、移民も含めていろいろ。
一見白人に見える人でも黒人の血が入ってることもある。
seren senseiは、「BRUNO MARSは100%黒人じゃないくせに」と言い切ってたが、彼が100%黒人じゃないってどうやってわかるんだろうか?
BRUNO MARSだって、DNAを調べないとわからないし、DNA調べたら黒人の血が入ってるかもしれないよ。
もし入ってた場合、seren senseiはどう釈明するんだろうか?
けどBRUNO MARSは言われたからといってDNA調べる必要はないけどね。
こんなあおりにのって。
それからBRUNOは本名はヘルナンデスというスペイン系の苗字でとリンクの記事にあるが、HERNANDEZは エルナンデス と読むよ。
このseren senseiという黒人ブロガーたちは、「黒人以外の有色人種」が黒人音楽を歌うのは盗用だ と非難していた。
黒人の人種差別反対を叫ぶ活動家には極端になってしまって、あまりに黒人黒人言いすぎて、逆差別になることがあると思う。
オバマ大統領は黒人の大統領といわれてるが、彼は黒人と白人のハーフなので、米の黒人たちからは白人といわれることもあるそう。
米では黒人と白人のハーフはそういう微妙な位置にいるという記事をNEWSWEEKだと思ったが読んだことがある。
間違えちゃいけないことは、黒人はアフリカとアメリカだけにいるわけじゃない。
奴隷として連れてこられた黒人もアメリカだけにいたわけじゃない。
中南米にも多数の黒人奴隷がいた。
今も黒人や黒人との混血が非常に多い。
アフロカルチャーが色濃い国や地域がある。
プエルトリコを含む中南米の多くの国はスペインに植民地支配されていたが、コロンビアのカルタヘナにはスペイン人がアフリカから連れてきたアフリカ人達が売られる奴隷市場があった。
コロンビアのさとうきびプランテーションなどでもたくさんのアフリカ系奴隷が働かされたし、カリブのキューバやドミニカやハイチやプエルトリコなどにも黒人奴隷が非常に多かった。
イギリス領だったジャマイカとかポルトガル領だったブラジルも。
だから、今でもそういった国には黒人が多い。黒人との混血もとても多い。
港に黒人奴隷が多かったから、今でもコロンビアやプエルトリコには沿岸部に黒人が多い。
コロンビアもチョコ県みたいに黒人率がとても高い地域もある。
彼らはアメリカの黒人とは来たルートが違うが、アフリカルーツ。
けどメキシコやアルゼンチンなどは黒人が少ない。
だから今でもキューバはアフロ系の音楽であるルンバとか宗教的なアバクアやサンテリアなどが多い。
コロンビアもアフロ系の音楽がパシフィックやコスタには特に強くて、アフロのリズムは今コロンビアで流行りのチョケにも入ってる。
サルサ、メレンゲ、バチャータ、レゲトンなどは、アフロ音楽の影響が多かれ少なかれあるから、マニアックなラテン音楽ファンにはアフリカ音楽もかじる人もいるくらい。
コロンビアはボゴタやメデジンのような首都や第二の都市は白人系が多いけど、私がいたカリは黒人系やモレノ(肌が褐色)が多い。一見白人に見えても先住民や黒人の血が混ざってる人が少なくない。
カリにいると、どこからどこまでが黒人で、どこからどこまでが白人なのか混乱してわからなくなる。
何百年もかけて混血してきてるので。
ラテンカルチャーに関しては、アフロカルチャーは重要な要素なので切り離せない。
アメリカは白人と黒人の混血は、ラテンアメリカに比べると少ないと思う。
アメリカで一番多いラティーノは、メキシコ系。
メキシコは先住民系か、先住民と白人の混血(メスチーソ)と白人が大半で、黒人は少ない。
だからか、アメリカ人のメキシコ系と黒人系のギャンググループには争ってるところもあるそうだ。
黒人のカルチャーを非黒人が歌ったら文化の盗用というなら、ジャズも、ヒップホップも、R&Bも、ブルースも、ロックも、ポップスも、いろんな音楽ができなくなるじゃん。
それに中南米にある黒人の音楽も入れたら、サルサもメレンゲもバチャータもレゲトンもレゲエも、多かれ少なかれ、アフロのリズムが入ってる。
黒人の音楽は、100%黒人だけしかやっちゃいけないの?
日本人にだってヒップホップのグループ多いし、ジャズバンドも多いし、レゲエやラテンダンスやってる人もいるのに。
そういう黒人の理論は、プレスリーの時代からあったわけだけど。
でも中南米では、アフロのリズムや音楽を非黒人が歌ったり踊ったりするな、という話はきいたことない。
アフロのリズムをとったら、昔の先住民族の歌か、クラシックとかになっちゃうしね。
ジャマイカのレゲエのダンスコンテストは、日本人が優勝したこともあるよ。
それからもう一つseren sensei(黒人ブロガー)たちの理論は、ブルーノ・マーズはプエルトリコ系のラティーノのくせに、なぜラテン音楽を歌わないでアメリカの黒人音楽を歌うんだ、という点。
BRUNO MARSはプエルトリコ国旗の前でスペイン語で歌ってたじゃないかって。
これってすごいラティーノ差別と、プエルトリコ差別じゃない?
プエルトリコは米領なのに、ハリケーン被害の時に米政府が見捨てた。
トランプ大統領がプエルトリコの被害は自己責任だと見捨てた理由には、本土と米領の差別と、人種差別が大きいといわれている。
だから米に住むプエルトリコ系の歌手が中心になって寄付集めのコンサートをやったんだよ。
それにBRUNO MARSも参加したの。
だから黒人至上主義者のBRUNO MARS批判には、
プエルトリコを見下したり、黒人によるラティーノ差別も入ってると思う。
ラティーノはラテン音楽歌っとけ、マリアッチでも、みたいな。
(マリアッチはメキシコのだけど、彼らは全部いっしょくたにするから)
そんなにラティーノはラテン音楽やってろっていうなら、BRUNO MARSもラテンの歌手とコラボして曲出したら売れるかも。
プエルトリコ系のDaddy YankeeとかNicky Jamとか、リッキー・マーティン、レゲトンのJ BALVINとか、シャキーラとか、アメリカならピットブルとかいるし。英語でも歌えるから。
アメリカに住んでるラティーノがラテン音楽ばかりきいてるわけじゃなくて、アメリカの音楽で小さい頃から育っている。
中南米に住んでるラティーノだって、ラテン音楽が好きじゃない人だって結構いる。
メキシコ人はハードロック好きな人多いし、EDMは中南米の若者に大人気。
それは日本人だってそうでしょ。
アメリカのブラックミュージックのファンは多いし。
日本のアーティストだって黒人系の音楽やってる人はたくさんいる。
私だってラテンの血はないけど、こうやってラテンカルチャーについて書いてる。
ラテンの血がないやつは、ラテン音楽をきいたり踊ったりするな、なんてラティーノからいわれたことないよ。
むしろ、日本人なのにラテン音楽やダンスやカルチャーに興味を持ってくれる、と喜ばれることが多い。
「日本人は洋楽もラテンもきくな、雅楽や民謡だけきいてろ」っていわれたらどうする?
アメリカのNYはいろんな人種やいろんな国からの移民、いろんなカルチャーが混在してる。
NYっ子はいろんなカルチャーが混在してる中で育ってきてる。
昔、NYにはプエルトリコ系のラテンのクラブがあって、その隣にはジャズのクラブがあった。
仕事がはけたあとに、ラテンのクラブとジャズのクラブのミュージシャンが一緒にセッションしたりしてたらしい。
そうやっていろんな音楽が混じって新しくつくられたのが、「サルサ」なんだよ。
サルサはスペイン語でソースという意味。
ソースみたいにいろんな音楽を混ぜてつくったものだから。
レゲトンだって、パナマ運河の建設にきてた出稼ぎのジャマイカ人のレゲエと、出稼ぎのスペイン語圏の中南米人達のスペイン語のヒップホップがMIXしてパナマで80年頭にできたのがレゲトンの始まり。
それがプエルトリコにいって、プエルトリコの伝統音楽が混じって、そこに英語のヒップホップが最後に入って完成したのがダディ・ヤンキーたちのレゲトン。
いろんな背景があっていろんな文化と音楽が混じって、新しいものができる。
伝統音楽も大事にする。
けれどその一方でどんどん新しいものを生み出していく。
たとえばコロンビアは伝統音楽も、コロンビア発祥のバジェナートやクンビアやPORROも大事にしてる。
けどその一方でサルサをコロンビア的に発展させたし、サルサをアーバン化してコロンビアの太平洋のアフロのリズムや伝統音楽を入れたCHOKEができて、それが若者に流行ってる。
そういうことを、ラティーノのほうがわかってると思うんだよね。
ラティーノなのに(ヒスパニックなのに)ラテンの音楽じゃないものを歌ってる歌手は他にも結構いるのに。
たとえばジェニファー・ロペスやリッキー・マーティンはプエルトリコ系だが英語のPOPSやダンスミュージックが多いし、
キューバとメキシコの混血のCAMILA CABELLOは fifth harmonyというアメリカのグループの出身で、英語のダンスミュージック多かったし(今はスペイン語の歌もリリース)、
キューバ系のピットブルはもともと英語のヒップホッパーで、レゲトンも歌ったが、今は圧倒的に英語のダンスミュージックが多い。
だけどなぜBRUNO MARSだけが攻撃された?
去年は世界中で「デスパシート」が席巻し、ビルボードの史上最高の連続1位を獲得したのに、
グラミー賞では「デスパシート」は1つも賞をもらえなかった。
そして BRUNO MARSが賞を総なめに。
そしたらブラックカルチャーのぱくりだとか盗用だと今回非難されたわけ。
「デスパシート」がグラミー賞を総なめにしてても、ラテンの音楽がグラミー賞をとるなんて許せんって怒ったかもしれないね。
人種差別はいけないし、差別に対抗して声をあげていくのは重要。
けどあんまり極端になりすぎると、逆差別になることもあるんだよ。
それにあんまり厳しくうるさくいうと、排外主義になってしまう。
それも怖いよね。。。。
私は「日本スゴイ」という日本称賛番組嫌いなんだけど。
日本のアニメやJ-POPやOTAKU文化(OTAKUとは海外では日本のサブカルチャーマニアのこと)が世界の人に流行ってて、それが世界で好まれてるっていう風にいいほうにとってる点では、黒人文化を非黒人がやるなって排外的になるよりずっといいと思う。
あのブロガーのseren sensei のハンドル名は、seren sensei aishiteru なんだよ。
つまり彼女はたぶん、日本のアニメとのファンだと思う。
彼女の理論でいうと、「日本人じゃないのに、日本語の名前つけていいのかよ」 って話になるよね。
自分も日本人じゃないのに日本カルチャーが好きでいいのか、アフロカルチャーだけにするべきでは、と自分の首をしめることになる。
アメリカはいま人種差別や対立やヘイトがすごいので、黒人差別に反対とか人種差別反対や黒人の文化を考えるのはいいことだと思う。
けど、アメリカのカルチャーはいろいろなものが混じってつくられたからすごいんだよ。
音楽だって。
多様性があるからこそ、カルチャーも発展してる。
アメリカの文化の重要な一環をアフロカルチャーがになっていて、アフロ文化なしにはアメリカの文化は語れない、とか。
話をそこに持って行った方がよかったんじゃないかと思う。
ブロガーでユーチューバーだから、炎上させてビュー数を稼ぎたかったから過激な発言になっちゃったのかもしれないけど。
いまは日本でもそうだけど、日本スゴイとか、日本人は素晴らしい、でも他の人種はダメとか対立構造を煽る人達がいます。そういうことを言ったり書いたりすれば売れる。
だけど、対立をあおるために音楽を使ってもらいたくなかったと思います。
黒人ルーツの音楽は非黒人がやるなとか。。。
音楽でそんなこと言われたら、音楽は発展しない。
新しいものが作れなくなってしまうし、ミュージシャンも委縮する。
音楽は音を楽しむのに、楽しめなくなってしまう。
音楽には排外主義はダメだよ。