ダンスは善良な風俗を害するもの
昨日、風営法によって全国のクラブやライブハウスやバーが大規模摘発により閉店させられている、という話を書きました。
風営法がなぜクラブやライブハウスを摘発するかという理由を警視庁が語った記事がありました。
「全国でクラブ摘発が急増。理由は「ダンスが善良な風俗を害する」 という記事です。
取り締まりをやってる警視庁によると、風営法に定めるダンスには、ワルツなどの社交ダンス、タップダンス、ジャズダンス、しかも盆踊りまで 踊りすべてが該当するとか。
なぜダンスがダメかというと、「ダンスが享楽的雰囲気を醸成するなど、善良な風俗を害する恐れがある」からだそうです。
ダンスは善良な風俗を害するものとして、盆踊りもワルツもすべてのダンスが入ってるとは。
風営法がつくられたのは終戦直後でバーに立ち入る売春婦規制のためだったらしいですが、そのころ日本を占領していた進駐軍は進駐軍向けの歓楽街をあちこちにつくって、売春婦やバーの女性をかこってあちこち出歩いたりダンスホールでダンスしてた。
そんな時代の法律で現代の先進国のクラブカルチャーが侵害されるとは。
進駐軍だったアメリカもいまだに日本がそんな時代錯誤な法律を持ってることにびっくりするでしょうが。六本木のクラブに来てるアメリカ兵が警察につかまったら、アメリカも動くかな。
6年前の2006年にも風営法によるクラブの取り締まりへの批判を2つ私はこのブログに書きました。
「クラブ消滅の危機」
「六本木のクラブ、閉鎖」
風営法は60年以上前からあるわけだけど今まで目をつぶっていたところもあったのに、急に去年から今年になって全国的に一斉に取り締まりして閉鎖させてるのはなぜでしょう。
今まで世界の歴史を思い起こしてみれば、政府が文化を規制したり、ダンスや娯楽を規制したときは
ソビエトの冷戦時代、ソ連や共産圏諸国はロックなどの音楽やジーンズなどを禁止しました。(ソ連が解放された象徴となったのが若者がロックを聴きジーンズを着たことでした。)
ナチス政権のドイツでは戦前に流行ってたスウィングジャズとダンスが禁止されました。
キューバ危機のあと、アメリカはキューバ音楽やダンスが禁止されて入ってこなくなりました。
中国の文化革命でも文化革命のプロパガンダ以外の音楽やダンスはダメで、芸術家たちがたくさん迫害されました。
NYのテロ、911のあと、ジョン・レノンの「イマジン」がラジオで放送禁止となりました。
日本では1925年に治安維持法ができ、自由な発言や表現ができなくなり、戦中は映画(戦意高揚以外)や音楽やダンスなどの娯楽はご法度でした。
歴史を見てもわかるように、民衆をコントロールしようとするときにまず文化や娯楽を禁止することからはじまってるでしょう。
法律だからしょうがないと譲歩しつづけていたら、どんどん侵害してくるんじゃないかと心配です。このままじゃ、クラブやバーやライブハウスがなくなっていくし、この不況時にどんどん店がつぶれていくのは日本経済にとってもよくないですよね。
欧米でもラテンアメリカでもクラブカルチャーというのは、現代のカルチャーの一部を形成しています。クラブだけではなく、音楽、ダンス、アート、いろんなものをつくってきました。
日本でもクラブカルチャーは日本の現代カルチャーの一部であるのです。
でも日本には風営法などの規制があるので、外でのパーティも警察が来てつぶしたり、屋外大規模イベントもできないし、ホームパーティもできないし、なんでもダメダメダメ。
ダンスは「享楽的雰囲気を醸成する」から害?
踊るのは害悪?
楽しむのも害悪?
なんかおかしいよね。
もともと日本は伝統的に踊りが好きな国じゃないですか。
ダンスが風紀を乱すからという理由は、理解しがたいです。
<ブログの関連過去記事>
「震災後、”元気を出せ”っていいながらダンスを奪う日本」
「風営法の標的はペアダンスだった」
「サルサのどこが善良な風俗を害するペアダンスなの?」
「ダンスはいくら弾圧しても死なない」
「サルサバーが閉まっていく」
「クラブ取り締まりに対抗するには 」
「ダンス全般が風営法違反だって。公民館さえ」
「ビーチサルサの危機」
「閑散…クラブではNo dancing」
「あのクラブまでもがクローズ!」
「クラブの取り締まりに対抗するには」
2006年に私が書いたクラブ取り締まりに対する過去記事
「クラブ消滅の危機」
「六本木のクラブ、閉鎖」
ブログのカテゴリーとして 「クラブの取り締まり・閉店」 で、6年前からクラブの取り締まりと取り締まりによる閉店について何度も書いてます(ジャンルはラテンに限らずクラブ全般)