Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

ビーチサルサの危機

あーあ、8月とともにビーチサルサ終わっちゃいましたね~。

もう今月からないんだ…とせつなくなってしまいます。
夏のビーチのサルサやダンスパーティを毎年楽しみにしているので。


今年のビーチサルサイベントは8時や8時半でいきなり音楽切られ、店じまいしてしまったので、「もう終わり?」「なんで急に音楽とめるの?」「まだ早いよ」とびっくりしてる人たちがいました。
閉店後に自分達で砂浜で音楽かけてると、パトロール隊や警察がきて音を強制的に消されます。
前はもっと遅くまで音楽かかってたんだけど、年々終了時刻が早まってますよね。


なんで音楽消されちゃうか知ってますか?

ビーチサルサイベントをよくやっててラテンの海の家がある「海岸の名前」 +「騒音」でネット検索かけてみてください。
周辺住民の抗議や市議会への陳情などがたくさんでてくるでしょう。
サルサイベントで人気の某ラテンの海の家は、ネットで名指しで批判されています。
この市だけではなく、ビーチがある近隣都市も同様の問題で論争になっています。


時間がどんどん早くなってきて8時台になったのは、あのエリアは海の前にマンションが建ち並んでいて、ファミリーや高齢者が比較的多いため早く寝る人がいるからでしょう。

海側に住むなら海岸沿いの道路の騒音や夏のビーチからの騒音は避けられません。騒音が嫌なら海側じゃなくて山側にするか、海の前ではなくてちょっと離れたところにすればいいのに、とは思います。道一本入れば音はかなりきこえなくなります。海がまんまえの家やマンションは景色はいいけど暴走族や夏の海水浴場の騒音はうるさい、というハイリスクハイリターンだから。


でも住民がこれだけ海の家のライブにヒステリックに怒るのは、騒音問題だけじゃないのです。
その証拠に海側の住民だけではなくて、海から遠くに住む市民たちも怒っています。
花火の音、深夜に酔っぱらって騒ぐ人たちの声、空き缶などのゴミやたばこのポイ捨て、歩きタバコによるやけど、バーベキュー用具の放置、違法駐車、治安悪化…などなど、付随したいろんな問題が起きているからです。

バス停にポイ捨てされたゴミやたばこは周辺住民が掃除しているんですよ。
ビーチのゴミを毎朝拾って歩いてる住民もいます。


あの県には禁煙条例があるのに、海水浴客たちは無視してたばこをポイ捨て、トイレの洗面所で体を洗って砂がつまってトイレが壊れる。
ビーチの清掃やトイレなど夏のビーチ維持にかかるお金は市民の税金から千万円単位(高額!)で出されているんです(ビーチがある近隣都市も同じ)。
だから市民にとっては損害のほうが大きいのかも。


ビーチに観光客がたくさん来れば観光産業や市の活性化になるじゃん、と反論する人もいるでしょう。
しかし、もう前から全国に知名度高いし、あのエリアの人たちは観光で食べてる人は少ないし、裕福な人が多いし、閑静な生活や治安のいい環境を好んでわざわざあのエリアに静かに住んでるから、海水浴客増加による市の経済活性化なんかべつに関係ないという住民が多いと思う。
もともと観光客を好きじゃない住民が多いです。


ライブやDJが入ったり音楽ががんがんかかる海の家はどれも騒音苦情のターゲットになっています。
ライブで海岸の人気があがり他県からも多くの海水浴客が来るようになったため問題が悪化した、と非難されています。

ビーチサルサも攻撃ターゲットのひとつで、ラテン音楽をかけてたくさんの人が踊りまくってる、と批判されてました。

同ビーチで、去年DJがまわすビーチパーティ(ダンスミュージック系)で繁盛してた大きな海の家が今年はありませんでした。なんでだろうと思ってたら、騒音規制に違反したので出店禁止になったそうです。

市議会には、ライブハウス型の海の家の禁止や、夏のビーチのために税金を使うことに反対する、という陳情が出されています。
隣接都市では、ライブをやっていた海の家が周辺住民と対立して、警察沙汰になったり閉店騒ぎになりました。

他の季節に毎年行われていたJAZZフェスティバルさえ、住民苦情で中止に追い込まれています。

風紀が乱れたのはライブハウス形式の海の家のせいだと批判されてますが、そのせいだけじゃないと思うけどなぁ。


住民のなかにもビーチでのバーやライブが好きな人もいるのです。あのエリアは海岸沿いに車道をつくってしまったし、オーシャンフロント(海の前)って他の国ではレストランやホテルが並んでいるのにあのあたりの都市はマンションや住宅が多いので、海を正面に見ながらゆったり楽しめる場所がほとんどありません。ビーチで飲んだりまったりできるところがほとんどないので、海岸でビール飲んだり音楽をきける夏を楽しみにしている。
「騒音、音楽禁止とヒステリックになってないで音楽たのしませてよ…」 と思ってても、住民に抗議する側の声が大きいとなかなか言いづらい。。。。


日本は繁華街のクラブも風営法で深夜営業の取り締まりが激しいし、屋外ダンスパーティもRaveパーティも規制でほぼできない。
音楽もダンスもなんでもダメダメっていうのは厳しすぎるし週末ストレス発散する場を奪ってしまうから、あの場所にかぎらず夏の週末くらい楽しく発散させてあげる場があったほうがいいんじゃないかと思います。



けれど、限度を越えた行動が多いのは本当。
マナーの悪さを目のあたりにすると楽しい気分も冷めます。

海の家側は以前よりかなり自主規制するようになりましたが、海水浴客のマナーは改善していません。
このまま悪化すると、ライブハウス式の海の家への風あたりはもっと強くなります。
ラテン以外の音楽ジャンルの人たちも、海に遊びに来てるだけの人も、ビーチで今後も楽しみたいならマナーについて考えた方がいいと思います。

ときーどき来て遊んで去っていく人たちや、単発イベントやる人たちが「このくらいいいじゃん」と思ってやり逃げすることでも、生活している住民にとっては大きな迷惑やストレスになることがあります。

近所迷惑だけではなく、ゴミやタバコを海や砂浜に捨てると海が汚染されて、海で泳いだり魚を食べてる自分自身にかえってくることになります。


ビーチサルサ愛する人たちも、ビーチサルサがなくならないためにはマナーを守っていきたいですね。


このブログはラテンブログのため、ラテン以上に議論をあまり広げたくないので、ビーチの名前は書かないでおきます。

※ 海岸での騒音やライブ禁止派(住民など)のなかには反論や批判したい方もいらっしゃるかもしれませんが、私は海岸での騒音や環境問題などに関してはかなり理解してるつもりです。騒音問題だけではなく、もっと幅広い観点からこの問題を提起したいと思ってるし、なるべく双方の立場にたって考えているつもりです。 
顔見知りの人が海岸でタバコやゴミを捨てたり音楽を夜かけたりしたらやめるように注意して、そのときは住んでる人たちが困ってることやどういう理由で迷惑してるかも言ってます。なぜいけないのか、という理由を説明せずに、ただ「ダメ」だけでは相手には伝わらないからです。
対立してるままではなかなか先には進めないと思います。お互いの理解や思いやりにつながればいいな… と願っております

(注:上記は2011年の記事)



<追記: 2012年>

2012年の夏に、江の島海岸のライブパーティやってた(ダンス)海の家に警察の手入れが入りました。
「江の島の海の家に警察来襲」
客を踊らせたら経営者逮捕ってことで海の家の組合から営業停止くらうとか。

いま風営法で全国のクラブがたくさん取り締まわれています。
これを受けて、風営法で海の家のライブやダンスを取り締まってもらおうという市民や議員の動きがあるようです。(それについては 「海の家 風営法」で検索かけてみてください)


<追記: 2013年8月24日>

海の家というよりは、ビーチのライブハウスで有名アーティストやDJたちが来るので人気だった音霊(OTODAMA)が今年で(つまり今月)閉店するそうです。
神奈川の逗子ビーチはこの音霊で有名になり、県外からたくさん海水浴客が来るようになりました。ビーチサルサのイベントをやるラテン系の海の家も何軒もでき、サルサファンやラテンアメリカ人客が多くなりました。逗子の海水浴客のマナーの悪さと治安悪化と騒音に怒った住民たちが市議会に陳情しました。
このOTODAMAをもっていたキマグレン(J-POPアーティスト)は逗子出身なので、逗子の市議会で以前弁明していました。
あの有名な音霊がクローズということは、他のビーチサルサも今年いっぱいかも。

毎年恒例だった最大規模のサルサイベント、由比ヶ浜のビーチサルサも今年はなくなりました。
由比ヶ浜は一番の観光ビーチだし、住宅地にも離れてるので大丈夫と思っていたのに。
観光ビーチとして大人気の藤沢の片瀬西浜海水浴場もビーチでのライブが全面禁止になりました。

神奈川県が県条例で動き出したので、もうだめかも。
風営法を海の家に適用しろと市議会に陳情してる住民団体もいますし。

何年も前からこのブログで書いてずっと警告してきたのに…。
まったくマナーは改善しませんでした。
そして最悪の結果となりました。

ビーチサルサ今年でもう終わりかも…涙。
夏の楽しみだったのに。