Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

アリゾナ移民法にシャキーラたちも抗議

前回お話したアリゾナ州の新移民法 SB1070 のつづきです
「SB1070 人種差別法」で紹介 )


アリゾナの新移民法では、ある人を見て見た目でこの人は移民だと警察官が思ったら、IDを提示するように要求する義務がある。そしてIDや身分証明書を持ってなかったり不法移民だと思ったら、逮捕令状なしに即刻逮捕して投獄できる、という法律です。


これは肌の色による人種差別法であり、憲法違反であるという抗議と、将来的に人種差別意識アメリカに拡大するのではないかという懸念がアメリカ人にわきおこりました。
ラティーノだけではなくて、黒人やユダヤ人やアジア人など、そのうえ白人たちにも反対する人が多くなりました。
これはアメリカの社会の根本をゆるがす危機になるというのです。
オバマ大統領は移民の子なのに、なぜ人種差別法に強い態度を示せないのかというイライラもあるようです。


LAでの抗議デモ。
白人たちも抗議しています。
俳優のマイケル・シーンチャーリー・シーンの父)も参加してます。





アメリカのセレブたちも次々と抗議にたちあがりました。
アリゾナでのコンサートをボイコットするアーティストたちも続出しています。
hiphopレゲトンの人気歌手のPITBULLも移民法が取り消されるまでアリゾナでのコンサートを行わないそうです。



世界的に超人気の LADY GAGA(レディガガ)も抗議しました。
アリゾナでロックコンサートフェスがあったときに他の有名なアーティストたちはボイコットしたんだけど、LADY GAGA はライブを行ってそこでアリゾナの移民法に対してこんなメッセージを出しました。





彼女の言ったことを訳してみると、

SB1070に対してどうすればいいかってことを教えてあげる。私たちはアクティブに抗議しなきゃいけない。この音楽フェスティバルの根底にも、偏見や不正、私たちの社会にあるbullshit(汚いウソ)に対して行動的にプロテストするという意義があるの。
私たちが社会に属してないと感じさせるような人々や事柄や法律を拒絶してちょうだい!
フェニックス(アリゾナ)のみんな、私はアリゾナのショーをボイコットしないよ。 
あなたたちを抱きしめてあげる。そしてみんなでハグしあおう。そしてこのステージで平和的に抗議しよう。決して恐れないで! だってもしあなたたちすべてこのアメリカに住む移民たちのためじゃなかったら、この国はクソだってことなんだから。




他のラテン歌手たちも抗議してます。
多くの有名ラテン歌手たちには、アメリカの市民の人が多いです。


まず、ラテンの大御所、グロリア・エスティファン




グロリア・エスティファンはPOPSファンにも超有名。 彼女はキューバアメリカ人です。

これも訳してみます。

今日ここに来たのはみんなを応援するためです。私たちはこのアメリカという国を愛してる。愛してるからこそ、自由や正義を守るのです。私たちはみんな移民です。 移民だけど、犯罪者ではない。私たちは正直で働き者です。そして法律を尊重しています。私たちには憲法に保障された自由がある。アメリカを愛してるからこそ、その自由を守らなければならない。
人は間違いも犯すこともあります。その間違いを正すために私たちは防御しなきゃいけない。だから私たちは平和的に間違っていることを正す解決策を探しましょう。






最後に シャキーラ の 抗議スピーチです。
シャキーラは、この前のサッカーのW杯のテーマソング(waka waka) やhips don't lie などで日本でも大人気の歌手。コロンビア系です。






シャキーラが言ったことは、

ラティーノコミュニティをサポートするためと人権を守るために戦ってる人に敬意を表してやってきました。
憲法に書かれたようにすべての人は政府によって守られねばならない。
私たちはにんげんです。 ひととして扱わなければならない。
人々の社会生活に大きな影響を与える力を持つ国会議員の人たちにいいたい。
今回のこの法律は、非常に危険な要素となりうるし、インパクトは社会にネガティブに作用するでしょう。これは安全も進展も生まないのです。
そんなのアメリカじゃない。
アメリカという国はみんなが一生懸命働いてがんばった結果としてできあがった国です。
もしアメリカンドリームがおしつぶされてしまったら、どうやってがんばるというのか。

私は今日、免許証もIDも身分証明書も携帯してません。
ってことは、私は逮捕されて6カ月投獄されてもいいことになります。

アリゾナで差別的発言で論議をうんでる保安官)Joe Arpaioさん、ここにきてよ。 

 私を逮捕してちょうだい!!

だって私はIDを持ってないんだから!
ほんとにこれってcrazy 。 なんてcrazy な話!!!
アメリカ人はよい人たちです。
アメリカ合衆国の象徴は、自由と個人の自由と保護と機会の均等でしょう?






このことに対してメキシコ人がつくった映画

「Un dia sin mexicanos」 
(メキシコ人がいなくなった日)
(注: 40秒あたりから見てください)




内容を説明すると


最初は、ニュース。
ある日、アメリカからメキシコ人がすべていなくなった。。。
ホセがいなくなった、行方不明の人探しのビラ。
私の夫はメキシコ人だったのに、いなくなった…と泣く女性。
テレビ局は、ラテン系のレポーターがいなくなったので、ラティーナっぽく見える女性に「うちの局ではラテン系のレポーターを探してる。君はスペイン語話せる?」ときいている。
メイドさんがいなくなって朝のごはんの支度などができない、ジュースもないし、洗濯物もたまってると困ってる家族。
肌が浅黒い男性に「すみません、あなたはメキシコ人ですか」とインタビューするレポーター。男性が「なんでみんなそればかり俺に聞くんだ。俺はメキシコ人じゃなくてイスラエル人だよ」と怒ってる。
あちこちで大きな問題が出てる。
仕事をする人がいなくなって混乱してる。。。。
それにメキシコ人がいなくなったことで仕事がなくなって困ってる人達もでてきた。

たとえば国境警備隊
やることがなくなって、超ヒマ。
「仕事が減ったかだって???  ほら見てみなよ(と国境沿いの壁をさす)。 なんもやることなんてないだろう!」とどなる。

los gringos van a llorar ..... という字幕は、
アメリカ人たちは涙するだろう」という意味。
gringoは、アメリカの白人に対する蔑称で、よくラテンアメリカでつかいます。

最後に国境警備隊
国境越えしてきた移民に、「あなたはメキシコ人ですか?」と問う国境警備隊
「はい」と不安そうに答えるメキシコ人たち。
わーーーーーい!!! と喜んで駆け寄って胴上げする国境警備隊たち。



つまり、アメリカの日常や経済はメキシコ人なくしてはまわらない、ってことですね。
アメリカには4000万のラティーノがいます。
特にアメリカの白人がやりたがらない3Kの仕事は、メキシコ人たちがやってることが多い。庭師、建設現場、メイドさん、工場、掃除、軍隊などなど。。。 安い賃金でもよく働いてくれる。
彼らに頼ってる部分が大きい。
メキシコ人を追い出せって言ってるけど、もしほんとに追い出したらアメリカ経済の大打撃になると思う。


メキシコ人は、皮肉とか自分たちのことをちゃかしてジョークにするのが、すごく得意です。
この映画、おもしろそう。



アメリカは世界に嫌われるようなバカなことも次々にやりますが、必ず抗議する反対勢力が出てくるところがすごい。
そうやってバランスをとれるんだなー。
そこがアメリカのいいところだと思います。


移民は悪いっていうけど、アメリカって移民の国です。
ほんとのネイティブのアメリカ人は、ネイティブアメリカンとメキシコ人です。
アメリカの西部や南部はもともとメキシコの領土だったから)