ラテンのクラブでかける1曲の長さ
日本のサルサバーやサルサのイベントでかかる1曲の長さはほとんどが5分まで、といわれています
MAXで5分半まで。
6分以上は長すぎ。
5分を過ぎると踊ってるお客さんたちが「曲が長い」と感じ始めるからだそう。
なので6分台の曲は最初からかけないか、途中で次の曲につなぐか、もしくは編集して短くするか。
でも6分台の長い曲だけど最初から最後まで盛り上がるので曲の途中でぶったぎれないし、全部かけないと曲が完結しないものもあります。
たとえば、
東京のサルサバーでよくかかる6分以上の曲は、メレンゲのproyecto uno の「latinos」。
以前リクエストされて、pantera mambo (LA 33) (ピンクパンサーのサルサバージョンの曲)をかけたら、「あーこの曲好きだけど、長いんだよねー」という声がきこえました。
確かに長いです。 6分ちょっと。
なので5分過ぎのきりのいいところで次の曲につなぎました。
ちなみに、他のジャンルのクラブミュージック、たとえばハウスとかテクノなどでは1曲が8分とか9分です。
だから他のジャンルのDJたちからは、「ラテンは短いね」と言われます。
日本のクラブでも、中南米人が大半のラテンディスコでDJも中南米人(特にペルー人)のお店は、だいたい2分半くらいごとに曲をつなぐことが多いです。
どんな曲でも2分半たったら次の曲にノンストップでつなぐ。
レゲトン→ サルサ → メレンゲ→ ラテンダンスミュージック→サルサ
みたいな。
短時間でどんどん変わっていくのでめまぐるしいし、短い時間のなかでつなぐからDJも超忙しい~。
ラテンってDJで一番難しいジャンルだって知ってましたか?
MIXする技術を一番求められるんで、ラテンDJって実は一番難易度高いんです。
なかでもサルサが一番MIXするのが難しいです。
サルサ、 バチャータ、 メレンゲ、ヒップホップみたいなレゲトン、ピットブルとかのダンスミュージック、みんな違うタイプでしょ。オールミックスに近いわけです。
(中南米人ばかりの)ラテンディスコの中南米人のDJは、次にかける曲の速度を変えて同じ速度にそろえてからつないでます。それによってサルサの曲の速度も変えてしまうんです(MIXする)。
確かにDJ理論でいったらそれでいいんだけど、でもオリジナルの曲の速さを知っててそのスピードが体にしみこんだ私にとっては、「あれ? いつもより速い… 」と踊ってて違和感があります。
※ペルー人のDJといっても、日本人が多いサルサバーやイベントでプレーしてるDJの方たちは違いますよ。
これは中南米人ばかりのラテンディスコでプレーしてるDJの話です。
ラテンディスコに来る中南米人は、中南米(本国)のようにカップルやグループで来て同じ相手と何曲も踊ることが多いです。
なので、2分半ごとにノンストップで曲が変わってもOK。
私は日本で、中南米人が多いラテンディスコや中南米人ばかりのイベントでもDJしています。
ペルー人が特に曲を2分半でつなぐ傾向が強いと思います。そういえばペルー旅行でディスコに行ったときにオールミックスでどんどん曲がつながってたような記憶が。
(日本のスペイン語圏の在住者で一番多いのがペルー人でなので、ラテンディスコの客もDJもペルー人が多い。)
ラテンディスコでDJやってるDJたちは、 「MIXしないDJ=技術がないDJ」 だとみなす人が多いです。
だから、ラテンディスコでDJするときには2分半ごとに曲をノンストップでつなぐことを求められがちです。
ラテンディスコでプレイしてるペルー人のDJ(友人)を六本木のサルサバーあちこちに連れて行ったら
「なんでここのDJたちは曲を1曲通しで全部かけるの? MIXしないなんてDJに技術がないんじゃない? 」ときかれました。
「DJの技術の問題じゃなくて、日本人は1曲ごとに相手を替えて踊るしレッスンで習ったサルサを踊るので、1曲の最後の音まで踊りたいからもし曲をMIXしたら客が怒る。それに1曲終わったところで、ありがとうございましたと挨拶して次の相手を探しに行かなきゃいけないのでその時間も必要。ノンストップでつないでいったら、相手を替えたくてもそのタイミングを失うでしょ」
と説明したらビックリしてました。
日本人で他のジャンルのDJがサルサバーにきたときも、同じことをきかれました。
「なんでラテンのDJは曲をMIXしないの?」って。
それで上記のことを説明しました。
私は個人的には、レゲトンやラテンダンスミュージック(ピットブルなど)やサルサチョケ、またはメレンゲ(特にエレクトロニックなメレンゲ)はREMIXしていいと思うし自分でもしますが、サルサはしないです。
サルサは全部通しでかけたほうがいいと思っています。
国による違いですが、
海外でサルサに行った時、カナダやオセアニアなどの白人中心のクラブでレッスンで習ったサルサを踊ってるとこでは、日本と同じように1曲最後までかけて次の曲かけてました。
1曲ごとに相手を替えて踊り、踊ったあとは、ありがとうとあいさつして相手を替えます。
(でも中南米人がほとんどというクラブに行くと、日本のラテンディスコと同じようになります。)
中南米のなかではアルゼンチンが異色。レッスンで習った踊り方で1曲ごとに相手を替えて踊る人が多かったし、1曲通しでかけてから次の曲にいってましたね。
中南米でも国や地域によって違いがあると思います。
私が行った国では、キューバ、コロンビア、プエルトリコ、アルゼンチンなどは曲の最後までかけてました。
メキシコは、町やホームパーティなどのフィエスタや祭ではMIXしてたけど、サルサバーのようなクラブでは曲の最後までかけてました。
コロンビアのカリはサルサの都市なのでサルサには思い入れがあるため、サルサの曲は1曲最初から最後まで完璧にかけます。
レゲトンやメレンゲやchokeやエレクトロニック系などはDJたちはMIXしますが、そういうDJでもサルサだけはMIXしません。
カリには一晩中サルサしかかからないクラブも結構あります。
カリでは1曲かけて、1曲が終わったらすぐ次の曲につながないで一瞬間があくときもあります。
カリは1曲踊り終わると、自分のテーブルに戻ってきてお酒を飲む人が多いから、曲間をあけてもいいのかな?
私がカリでかけたときは、曲間あけずにつないでたけど。
コロンビアのカリで今すごい流行ってるサルサの曲があります。
その曲、なんと
7分40秒
しかも、曲のサビのあと曲が終わるまでの後奏が2分半もあるんです。
その後奏も最後までしっかりかけます。
そんな曲をもし日本でかけたら、お店からもお客さんからもめっちゃ苦情くる!!
もしかけるとするなら5分過ぎくらいで切る。
しかしカリではどこの店でもこの曲はコンプリートでかけないといけないのです。
途中で切ったらそれこそブーイングの嵐!!!
2分以上の後奏は単調でだらだらしてる感じがするので、普通の人には同じメロディがループしてるだけにきこえると思います。
途中で飽きて踊るのをやめてしまうでしょう。
DJのコントローラー(機材)にはループというのがあって同じ小節を繰り返す機能があるんですが、この曲はループボタンを押してるように繰り返してるわけじゃありません。
同じことを繰り返してるようだけど、実はだんだん演奏が激しくなって最後にがーーーーって盛り上がって、ダダンッ て終わるんです。
カリの人は楽器好きでサルサのバンドの演奏を重視してるし、カンパーナ(カウベルみたいのをたたく)とかグイロ(洗濯板みたいのをギーコギーコこする)などを家に持っててクラブに持参する人が多いです。
サルサがかかるクラブでは、カンパーナやグイロを持ってる客たちがじゃかじゃか鳴らして、どんどん盛り上がっていく。そしてクラブ全体がトランス状態になっていくんですよ。
楽器鳴らしてる人と踊ってる人とフロアが一体化して盛り上がっていくんですよね~。
こういうのは、サルサの国と言われるキューバやプエルトリコでも私は見たことがないです(私が行ったところでは)。
キューバのハバナで行ったサルサのクラブではどこもDJすらいなかったが…。
同じコロンビアでもメデジンやボゴタなどではそういうのなかったので、たぶんカリ特有じゃないかと思います。
カリの人たちは毎日サルサきいて曲覚えちゃってる人が多いんで、編集して短くしちゃったり、途中で切って次の曲につないだらブーイングおきます。
だからカリではどんなに長い曲でも最後までかけるし、途中で切ってはいけないわけです。
まあ、このようにクラブやイベント、国や地域、客層などによって、かける曲の長さやその背景も変わってくるという話でした。