Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

大泣きしちゃうサルサ

今日は私の大事にしている曲の話をします。前からもうこの原稿書いてたんですけど、大切に思ってるのでいつブログにUPしようかと思っていて、ようやくUPすることにしました。



私が好きなサルサ歌手に、TITO NIEVES (ティト・ニィエベス)がいます。太っててやさしいかんじのおじさん。見た目と違って、歌うと少し高めの甘いロマンチックな声で、ロマンチックなサルサにぴったり。サルサだけじゃなくてサルサトンやレゲトンなど幅広く歌ってます。



彼の曲のなかでもサルサの「Fabricando Fantasias」は、サルサを始めた頃から大好きな曲です。








なかなかいい曲でしょう。たまにクラブでもかかりますよね。


さて、ここで質問です。

あなたなら、この曲でどう踊りますか?

私は、明るくてさわやかで気持ちがいい曲だから、朝よく聴いてたし、クラブでかかったら楽しく踊ってました




この「Fabricando Fantasias 」が好きなので、PVを探して見てました。




すると、男の子の写真が次々に出てくるんです。

あれ、なんで男の子の写真?



あれ…、もしかしてこれ。。。。




以前、サルサクラブで踊ってるときにTITO NIEVESの曲がかかったら、一緒に踊ってたラティーノが、「彼ね、おととし、息子を亡くしたんだよ」と教えてくれました。それをふと思い出しちゃったんです。もしかして、PVに出てくるこの男の子、TITOの息子さんなんでは???



PVには、笑ってる小さい男の子の古い写真、そして男の子が大きくなって成人したときの写真が何枚も何枚も出てきます。

歌ってるTITOの顔はとても悲しげ。



ああ、これはきっと息子の死を悲しんでる歌なんだ… って思った。何度か見てたらやっぱりそうだと分かって、涙がポロポロ出てしまいました。



気になったのでアメリカのサイトを調べてみました。



Fabricando Fantasias, his new record label home.

"I feel that this new album is one of the most important in my career because it comes at a very crucial time for me” says an emotional Nieves, referring to the track “Fabricando Fantasias”allowed him to heal from the pain he suffered after his son passed away. "On this song I talk about the feelings I had as I lost my son and it is in his memory that I recorded it" he explains



とありました。翻訳すると、(「新作アルバムのFabricando Fantasiasは、自分のキャリアの中で一番重要な作品です。私の人生において一番重大なときにできた作品だからです」 なかでも『Fabricando Fantasias』の曲は、息子の死のこころの痛みを癒してくれたそうです。「私はこの曲で、息子を失った自分の気持ちと息子との思い出を語ったんです」とTITOが感情をこめて答えました) ってかんじかな。



やっぱりそうだったんですね…。
TITOは2年前に息子さんをガンで亡くしたそうです。TITOみたいに有名な歌手で、名声もお金があっても、息子を病や死から救うことはできなかった。息子がいなければすてきな家や高級車があっても何もない、空しいだけ。。。という悲しみがPVから伝わってきます。



「Fabricando Fantasias 」は、空想をつくりあげる、という意味ですよね。

歌詞に、Vivo en un mundo de mentiras (I live in the world of lies  ウソ(虚構)の世界で私は生きている)とあります。






歌詞をのちに和訳しました。

こちらをクリックすると歌詞の和訳を見れます

http://diafeliz.jugem.jp/?eid=56






私の親の知り合いには、子供を亡くした人が何人かいます。「子供を失ったときに自分のいのちも終わった。自分の肉体は生きてるけど、こころは死んだまま」と言っていました。

きっとTITOも息子を失ってから、すべての世界が灰色になって虚構の世界で生きてるような気持ちだったんでしょうか。特にラテンアメリカ人は、FAMILIAいのち、で、家族をほんとうに大事にしています。そのFamiliaを失うのは耐えられないこと。この歌とアルバムで自分の気持ちをみんなに吐露することでこころが少し癒された、とTITOが言ったので、それはよかったしそういう意味ではこのアルバムは大きな意味を持っていると思います。




これがそのPVです。

見たらまた泣いちゃいました。 わたしは涙なしには見られません…。
















ジャケ写にあるようにほんとに苦悩しながらこのアルバムをつくったんですね。このアルバムには、レゲトンの有名歌手と歌ったサルサトンの曲、「Ya No Queda Nada」っていう曲もあって、その曲も売れてます

<br?
このアルバム、今年のラテングラミー賞にノミネートされてたけど、授賞にはいたりませんでした。私はこのアルバムが一番だと思ったんですけどね~。



ちなみに、前のTITOのアルバムはファンキーなんです。変わりようが分かるでしょ?










前回、サルサは明るくてファンキーな曲ばかりじゃなく、ロマンチックな曲、悲しい曲、失恋の曲、いろいろあるんだから、どれも楽しく激しく踊るのはちょっと…っていう話をしました (前回のサルサロマンチカについての話はこれ → 「サルサロマンチカ」 

それは、実は、今日紹介した曲のように、息子の死を悼む歌だってあるからだったんです



私もこの話を知ってからは、この曲を以前のように明るく楽しくは踊れなくなりました。胸がきゅーっとしめつけられるような思いがします