「Despacito」ってなんのジャンル? 歌ができたプロセス
「Despacito」はついにyou tubeの再生回数が30億回を越え、you tube史上最高の閲覧数になったそうです。
世界中で歌われるスーパーヒットに。
まだリリースされて半年なのにすごい快挙。
なぜこの曲がここまでヒットしたのか。
曲がキャッチーだったから、ビデオがいい、歌詞のリズムがいい、とかいろいろいわれてますが。
スペイン語のラテンの曲がここまで世界中でヒットしたのは、96年のマカレナ以来だそうで。
この曲はレゲトンに分類されることが多いんで、いちおうこのブログでもレゲトンに入れてますが、レゲトンって感じはしない。私はラテンポップスだと思います。
レゲトンのリズムも少し入ってるしレゲトンキングのダディ・ヤンキーが参加してるけど、やっぱポップスだよね。
「Despacito」を歌ったLuis Fonsiがこの曲が生まれたプロセスとジャンルについて、インタビューで説明してました。
ただし、このインタビューはまだ今年の1月18日だから曲がリリースされた月のものです。
ビルボードに語った彼のインタビューを和訳しますね。
質問 『今年初頭にこんなキャッチーな歌をリリースし、リリースしてすぐにこんなにヒットするとは思ってましたか?』
長いこと歌手生活をやってると、自分が思ってもなかった曲がヒットすることがある。
なにがあたるか予想ができない。
「Despacito」は曲を書いてるときから、パワフルでキャッチーな曲だけどメロディはとってもシンプルだと思ってた。
歌詞がとってもセクシャルで、きいてると自然と体が動くようなリズム。
ラテンのメロディで、楽しい曲で、自分が歌ってて心地よくなるような歌で、みんながきいてると体が動いてダンスしちゃうような曲。
そういうのを作りたかったんだけど、まさにこの曲がそれ。
レゲトンのダディ・ヤンキーが参加したことは、この曲にとって大きなプラスとなった。
ダディ・ヤンキーが、爆発するようなエネルギーをこの曲に与えてくれた。
ダディと一緒にスタジオに入った時に、もうこの曲はスペシャルなものになるってわかったよ。
でもその時はまさかこんなに大ヒットするとは思ってなかったけどね。
この曲の(レゲトンとポップスの融合という)新しいアプローチ法をみんなが受け入れてくれ、大ヒットしてとってもハッピーだよ。
質問
『この曲は「レゲトン」ではないけど、ポップス歌手のあなたとレゲトンの歌手Daddyがコラボしましたね。レゲトンとポップスという違うジャンルの間でどのようにバランスをとったのでしょうか?』
「Despacito」は(2年もかかって)つくりあげてきた曲なので、最初のバージョンと最終バージョンでは随分違うんだ。
最初は僕がギターを弾きながらソロで歌うアコースティックなバラードの曲だったんだよ。
メロディに歌詞をつけたあとにビートを加えたんだ。
そのあとにクンビアのバージョンにしてみた。
それを友達の Erika Enderにギターでひいてきかせ、一緒にセッションしてる時にアイディアが急にわいたんだ。曲をつくってる過程のセッションでそういうアイディアがでてくることってあるよね。
それでEricaに、
「ねえ、これはバラードだけど、もっと楽しくてセクシャルでアッパーなダンスミュージックにアレンジしてみたらどうだろう」と言ったんだ。
それでEricaと一緒にクンビア・ポップのバージョンをつくってみたんだけど、このままクンビアポップバージョンのままにするか、それともアーバンなのもの(レゲトンとか)を取り入れるか悩んだんだ。
僕は「despacito」をレゲトンとは思ってないよ。
でも、レゲトンが持つエネルギーをポップスにミックスさせることで、新しいポップスの形を生み出そうと思ったんだ。
質問『レゲトンのダディ・ヤンキーとコラボすることで、あなたのファンがナーバスになるんじゃないかと思いましたか?」
レゲトン歌手のダディ・ヤンキーに話を持ちかけたら、ダディはすぐ話に乗ってアイディアを速攻でまとめてくれたよ。
ダディとのコラボは極めて重要で、ダディの参加がこの曲を決定づけたと思ってる。
これは自分にとっては新しいジャンルの曲への挑戦だったけど、自然に受け入れられたんだ。
自分のファンの反応はとても心配だったよ。
もしかしてLuis Fonsiが変わっちゃったんじゃないかと思われるんじゃないかと。
でも、僕はこの曲をリリースしたあとも変わってないよ、同じだよ。
ただマイクの前に立って歌うだけ。
これをもともとのバラードで歌うことだってできるよ。
けど僕はダンスが大好きなんだ。
ダンスはラテンのアイデンティティでしょ。
だって、僕はプエルトリコ人だから!
質問
『新しいアルバムについておきかせください』
今新しいアルバムを製作中で今年の半ばくらいにリリースするつもりなんだけど、今回のアルバムは自分にとっては革命的な作品だよ。昔はR&Bとか歌ってたけどね。今回のアルバムはポップスが主体で、EDMも取り入れてるよ。楽しみにしていてほしい
このインタビューをきいたら、「Despacito」ができたプロセスがよくわかりました。
Luis Fonsiって結構しっかりした人で、小児病院への寄付やサポートもしたりしてるし、remixバージョンに参加したジャスティンのスペイン語が下手だと嘲笑されたときもフォローしてあげて、大人な人なんですよ。
以前も、ルイスのインタビューで曲の説明について和訳してupしたけど、説明がわかりやすいでしょ。
彼はプエルトリコ人だし、同じプエルトリコ人のダディ・ヤンキーとコラボしたのはわかるような気がします。
プエルトリコはレゲトン大国でありサルサの国なので、サルサ歌手とレゲトン歌手がコラボすることもあります。
またプエルトリコ人やプエルトリコ系の米人とコラボすることが多い。
私は「Despacito」がLous Fonsiだけでバラードだったら、スペイン語圏のごく限られた範囲でしかヒットしなかったと思います。
でも世界の若者に人気のDaddyが入ったことで、ここまでヒットしたんでしょう。曲もノリがよくなって踊れるダンスミュージックになったし。
Luisはレゲトンとポップスやバラードをmix した新しい試み、新しいサウンドと言ってますが、レゲトンとポップスやレゲトンとバラードとか、レゲトンとサルサやバチャータなどをmixした曲は10数年前からかなりもうたくさんでてるので。
私は新しい試みとは思わないのですが。。。
例えば新しいところでいえば、エンリケ・イグレシアスとクバトンのgente de zonaの「bailando」とか、
リッキー・マーティンとレゲトンのmalumaの「Vente Pa'Ca」とか
ジェニファー・ロペスとレゲトンのwisin y yandelの「Follow the Leader」とか。
中南米でこの10数年一番人気の音楽のジャンルはレゲトンです。
キューバでさえ、一番人気はレゲトン。
若い世代は特にレゲトン大好き。
だからレゲトンとコラボしたほうが曲が流行るのは確か。
特に今イケメンで人気のコロンビア人レゲトンのmalumaとコラボしたがる歌手はアメリカでもかなり多いです。
コロンビア人のバジェナートとポップス歌手のcarlos vivesは最初は「bicicleta」をバジェナートバージョンでリリースするはずだったけど、同じコロンビア出身のポップス歌手シャキーラが歌いたいと言って、コラボしたところ大ヒットになりました。
中南米以外にアメリカなどでも大ヒットして、去年のラテン音楽大賞を獲得。
それにコロンビアのレゲトンのmalumaがレゲトンremixバージョンで参加して、それもヒット。
いま、アメリカとか英語圏でもラテンのサウンドがかなりキャッチーだそうで。
ラテンの音楽が全米ヒットチャートや世界のヒットチャートにかなりランク上位に入るようになりましたね。
「despacito」が1月にリリースされた時は、正直私はこの曲がそこまでのスーパーヒットになるとは思ってませんでした。最初はスペイン語圏と米で流行ってて、4月にジャスティンが参加した英語のremixバージョンが出てから世界にブレイクしたかんじ。
英語版が出るとやっぱ世界に伝わりやすいね。
まったりしたチルアウト系だからクラブで踊りやすい曲でもないし、クラブで盛り上がれるダンスミュージックならまだ
2010年に大ヒットしたDon Omarの「Danza Kuduro」の方がノリがいいと思うんですが。
今年流行ったし英語バージョンも出て映画ワイスピのアメリカ発の曲なら「Hey Ma」が個人的には好きだった。
と思ってたんだけど、ルイスが詳しく説明してくれたおかげで、この曲が流行った理由がわかったような気がします。
それに「Danza Kuduro」は歌詞もメロディも健康的すぎて、ズンバとかフィットネス系でたくさん使われたし、中南米ではお子ちゃまがフィエスタでよく踊ってました。
けど、「despacito」は歌詞もメロディもセクシーでアダルト。
まったりと好きな相手と踊ってみたいと思わせる曲。
私も最近クラブ行ってないしまだ「despacito」踊ってないんですよ。
この曲で踊ってみたくなりました。
「Depacito」の曲の解説と、歌詞の和訳と歌詞のよみがなは、以前このブログにupしたので過去記事みてください。
(ジャスティン・ビーバーの英語remix版もあるよ)
↓
「 Despacitoの歌詞の和訳とよみがな Luis Fonsi ft daddy yankee(ジャスティン・ビーバー版も)」
『Despacito』関連のブログ内の過去記事は :
「 Despacitoの歌詞の和訳とよみがな Luis Fonsi ft daddy yankee(ジャスティン・ビーバー版も)」
「 Despacitoのビデオのプエルトリコの撮影地が人気観光地に」
「 Despacitoってなんのジャンル?」
「Despacitoをどう踊るか (kizombaの場合) 」