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コロンビアのカリ市の最新の治安 (2015-17年)

前回はコロンビアのカリ市のエリア別の治安について書きましたが、今度はカリ市の「最新の」治安について書きます。

カリに行く予定のある方はぜひ読んでください。


※注
私がカリに一番最近いたのは、2015年 ー 2016年の夏です。
日本に帰国後もコロンビア全国とカリのローカルニュースは毎日読んでので最新情報はだいたい把握できてるんじゃないかなと思います。

カリではコロンビア人だけの中でスペイン語で生活してたので、ジモティから情報を得てました。
(だから日本人情報と違う点もあると思います)

最新情報では最新のニュースも合わせてお伝えします。





● エクアドル国境近辺の県の治安が悪化

バックパッカーでカリに滞在する人は、エクアドルに行くための中継地点としてだと思います。
しかし今エクアドル国境近くの県が危険になってるので入らないようにしてください。
カリを経由して陸路でエクアドルに行くのではなくて、飛行機で行きましょう。

コロンビアからエクアドルに陸路行く場合、エクアドルのそばにあるナリーニョ県を通らなければなりません。
ナリーニョ県にはバックパッカーが行きたがる有名なイビアレスにあるラスラハス教会があり、これを目的に陸路にこだわるバックパッカーが多いようです。

しかし現在(2017年3月)、コロンビアのエクアドルに近い県が危険になっています。
チョコ県、ナリーニョ県、カウカ県。
この3県には入らないようにしてください。

この3県はもともと日本の外務省の渡航情報では渡航中止勧告が出ているエリアです。ゲリラと麻薬畑と麻薬マフィアの本拠地だからです。
しかし、今はゲリラELNの活動が活発化して事件がおきており、危険レベルがあがっています。外務省の渡航情報では書いてないかもしれないので、以下の最新情報を読んでください。

去年、最大のゲリラFARCと政府が和平締結してプロセスが進んでますが、ナリーニョやカウカ県がゲリラの本拠地であり麻薬の生産地でもあるので、政府が麻薬畑をつぶしたり武装解除などでごたごたしています。

でも問題は第二のゲリラELNです。今年に入って政府が和平交渉していましたが、ELNボゴタで2月にテロをおこしました。
今月(3月)に入ってからELNはチョコ県で市民を殺害したり、チョコやナリーニョなどにいる住民を追放したり、記者や市民を誘拐した事件もおこっています。
(一方逆側のベネズエラ国境付近では、ELNがコロンビアの警官や国軍の兵士を殺傷する事件もおきています。)

エクアドルに近い方にあるチョコ県などにいる市民たちがELNの襲撃を受けてバジェ県に逃げて避難民になっており、さらに避難民が増えるだろうとバジェが困っています。
バジェがカリ市がある県です。
チョコ県ではELNにより市民殺害事件もおきていて、ELN対策のために軍隊が送られました。

これらはここ1−2ヶ月の間にコロンビアで報道された最新のニュースです。
だから他のバックパッカーが以前行って大丈夫だったから今も大丈夫だろうと思わないでください。「以前行ったとき」というのはもう古い情報で、もう状況が変わってますので。
強盗にあうのとゲリラにあうのではまったく違うし、もし誘拐でもされたら国際問題になります。

ゲリラに誘拐や襲撃されたら大変ですので、カリを経由してエクアドルへ陸路で行くことはあきらめましょう。




●カリの治安の推移


コロンビア全体の殺人件数は以前に比べてかなり減っています。
カリ市も毎年どんどん殺人率は減っています。

とはいえ、カリ市は2015年は世界殺人ランキングの10位でした。
2016年は殺人件数が減ったとニュースで言ってたので、たぶんランキングが下がるのではないかと思います。


先日書いた、 「コロンビアのカリのエリア別治安まとめ<保存版>」 の記事の中で、カリのエリアでcomunaという行政区について説明しました。

カリ市は22のcomunaという地区に分かれていて、そのcomunaごとの殺人件数が毎年発表されます。


カリ市のデータからお借りした資料によると  2014年の殺人件数のmapがこれです(以前見せたのと同じ)。

comunaごとの殺人件数が書かれていて、「C」で書かれているのがcomunaの番号です。
C2なら、comuna2 のこと。
数字が殺人件数。
殺人件数が高いほど色が濃くなっています。





(※この年はcomuna22が殺人件数が多かったのですが、ふだんはcomuna22は殺人件数がカリの中でも一番低いエリアです。)


通常はカリで一番治安がいいといわれてたのが、そのcomuna 22と、comuna2、comuna 17、comuna 19。

逆に、一番治安が悪いといわれてたのが、comuna 13, 14, 15。



ここ何年かのcomunaごとの殺人件数の推移を調べてみました。

2010年代は2000年代に比べると格段に治安がよくなっています。

2011年から2016年までの殺人件数の全データを調べたのですが、
特に違いが顕著なのが2013年と2015年と2016年だと思ったのでそれで比較します。



数字は    2013年  → 2015年   → 2016年  です。



<治安がいいエリア>


comuna 2  :    29 →   11  →   29


comuna 17 :     46 →   12  →   20


comuna 19 :     30 →   14 →    9




<治安が悪いエリア>


comuna 13 :     215    →    63   →   84


comuna 14 :     208    →  75  →   84


comuna 15 :       199 →     65  →    78    



comuna2 は、日系人教会や米協会などがあるノルテ(北)の地区です。
2015年から16年にかけて殺人率が3倍近くになっています。

comuna 19は、san fernandoなど外国人も多いsur地区です。
ここは殺人件数が減少しています。

comuna 17はsurの南の方。
ここは殺人率が2倍近くなっています。

カリで治安が悪いcomuna13, 14, 15は、2014年以降に殺人件数が激減しています。
カリで一番治安が悪いといわれてる15でさえも、激減。




●安全といわれていたエリアの変化

comuna2,17, 19, 22が安全で、13,14,15が治安が悪いというのがずっと前からのカリの治安構図です。

けど2015 - 16年は、カリで治安がいいと言われていたエリアで新聞で報道されるような殺人事件がよくおきました。


単独の強盗殺人はもちろんですが、bandaというギャング団がお金持ちエリアを狙ってるという報道も去年ありました。

特にねらわれてたのがcomuna 17といわれてました。
comuna17は上のデータでは殺人件数が倍近く増えています。新聞報道されるような事件が一昨年と去年は多かったです。


例として、私がカリにいたおととしから去年にかけておきた事件の一部を紹介します。


comuna17にある高級住宅街エリアのingenioで連続の強盗殺傷事件。
ingenioがいまギャング団みたいのにねらわれてて危ないと新聞やテレビニュースで報道されてて、私はあの辺りに引っ越そうと思ってたのでショック受けました。

同じくsur(南)のcomuna17のスーパーの駐車場で銃撃事件があり数人の客が死亡しました。

同じくcomuna 17のvale de liliなどのエリアでも強盗殺人事件などがおきました。

comuna 17のcaneyで連続強盗殺人事件。


comuna 19では大病院そばの大通りで真昼間に歩道を歩いてた祖母と母親と赤ちゃんが強盗に殺傷される事件がありました。


norteのcomuna 2にある米人や日本人が多いgranadaエリアでは、スポーツジムインストラクター殺人事件。

最近ではnorteのcomuna2で治安がいいchipichapeのスーパーに駐車場に死体があったという事件。


comuna3にある外国人旅行者が多いサンアントニオで殺人事件。

comuna3にある el peñonという高級住宅街でホテルもあるエリアでは、配車サービスのUberの車がタクシー運転手たちに襲撃された(UBERにタクシー運転手たちが仕事をとられると怒って抗議デモなどがよくカリやボゴタでおきている)。


私が覚えている範囲でそういう事件がありました。
ただし、強盗殺人だけではなくて怨恨事件(うらみによる殺人)も含まれてるかと思います。
怨恨なら場所は関係ないので。

おととしから去年は、今まで安全で外国人が多く滞在してて比較的リッチな地域での事件の報道が多い印象でした。


高級住宅街でなぜ事件が多発してるかはカリっ子たちによると、閑静な住宅街で通行人が少ないので人目がなく空き巣や強盗をしやすいし、お金を持ってる人が多いからだそうです。
路上の強盗やひったくりに一番狙われやすいのがスマホで、お金がある人の方がスマホとか転売しやすい金目のものを持ち歩いてるし家にも金目のものがあるから。


カリは、中南米のなかでも安全エリアと治安が悪いエリアがわかりにくい都市だと思います。
自分はカリっ子の友達が多いから、ジモティがアドバイスしてくれる情報で自分で身を守る対策してたこともあり幸い犯罪にはあったことがありませんが。
まあ、もし犯罪にあっちゃったら運が悪かったと思うしかない、という感じもする…。


旅行者の治安情報に関わるのは強盗殺人事件ですね。
強盗殺人事件は治安のいいところでも発生しているので、治安がいいからと安心しないで身を守る対策をちゃんとしてください。

※(前回書いた、コロンビアのカリ市のエリア別治安についてはこちらの記事を →  「コロンビアのカリのエリア別治安まとめ<保存版>」 )

※(2017年3月に書いた、コロンビア全土の旅行安全情報についてはこちらの記事を →  「コロンビアの最新の旅行安全情報について<dia feliz版>」 )






他に過去に書いた記事のなかでコロンビアやカリの治安関連トピックのリスト:

「コロンビアの最新の旅行安全情報について<dia feliz版>」
「コロンビアのカリのエリア別治安まとめ<保存版>」
「コロンビアのカリの治安と注意事項」
「コロンビアのカリに観光に行きたいと思ってる方へ」
「 コロンビアでの日本人殺害事件と安全対策」
「 コロンビアは世界一の危険国じゃないよ、コロンビアへの誤解をとく」
「海外で身を守るために」
「コロンビア人がクラブに行くのは刹那的だから」