「El Japones」Naoto, Joey Montana 歌詞和訳
日本の歌手ナオト・インティライミがラテン歌手のJoey Montanaとコラボした曲を先月リリースしました。
「El Japonés」というレゲトンの曲です。
”El Japonés”
ジャンルは今世界の音楽界で一番人気のレゲトン。ラテン音楽で、スペイン語のラップです。
この曲はレゲトンに三味線や太鼓の和風のサウンドが入ってます。 JOEY MONATANAはパナマの歌手で、数年前に「Picky」という曲がラテンで流行りました。 ちなみにパナマはレゲトンの発祥国です。
Naotoはナオト・インティライミで、日本で紅白にも出た歌手。 音楽記事によると、2017年にアーティスト活動を休止し、ギター1本で世界を旅して出会った人たちと歌い曲作りをし、自ら現地スタッフへ売り込みをかけたそう。その売り込みによりJoey Montanaが受けて、今回の曲のコラボとなったとのこと。
この曲がリリースされた時にレゲトンファンの人からこの曲についてどう思うかきかれたんですが。
私は正直言うとこの曲にむっときました。歌詞もなんですが、ビデオが好きじゃない。
NAOTOのファンの方すみません。私は日本の音楽はほとんどきかないし、NAOTOについてしらないです。名前だけは聞いた事あるけどどんな曲歌ってるのかもしれないし。私はラテン音楽界なので自分の視点でばりばりレビュー書かせていただきます。
この歌の歌詞を和訳してほしいという要望がブログの読者さんからきたので、リクエストに応えて歌詞を和訳しました。
この曲のタイトルは「日本男」です。
ビデオは、フジヤマ、ゲイシャ、サムライ、みたいな昔からの日本のステレオタイプなイメージ。
出だしから富士山の絵をバックに能舞台に白塗りしたバカ殿みたい日本人男性3人が並んで合掌して挨拶。 仏像の前で踊る。 naotoもJoeyも着物姿で歌う。 ゲームセンターにゲイシャガールみたいな女性。 相撲の力士。
「あーあ、これで私が次にラテンアメリカ行った時に、これをネタにラティーノ(ラテンアメリカ人)達からいじられるな、また日本のことバカにされる、やだなー」と思いました。
Joey Montanaは米などでも人気だし、レゲトンは世界中で人気。ラテンアメリカで一番人気の音楽はレゲトンです。だからレゲトンリリースすれば世界各国の人が見る。特にアメリカ大陸では。
ラテンアメリカでは日本の事を知ってる人があまりいないのです。日系人が多いペルーやブラジルは別ですが、それ以外の国では日本の事を理解してる人は少ないです。日本の事をちょっとでも知ってる人はこういうステレオタイプなイメージかアニメかゲーム。一部に熱狂的なアニメファンもいますが。
おおかたはラテンアメリカでは「中国、日本、韓国 みな同じ」と言われる事が多いです。「中国の首都は東京でしょ?」「日本は一人っ子政策でしょ?」「日本といえばジャッキー・チェーン」とかよく言われましたよ。日本のこの曲のビデオが日本のイメージづけになるのではと不安になりました。
タイトルの意味は「日本男」です。でも歌詞は日本人男がラティーナ(ラテンアメリカ人女性)をナンパしお持ち帰りする話。
Joeyが日本で日本人女性をナンパする設定なので、日本人女性が出てきます。その日本人女性がゲイシャガールみたいで着物にブーツでエロっぽくしてるし、しぐさが外国人が思うステレオタイプな芸者みたいな感じで、上目遣いでこびてしなつくって色気だそうとしてるのは日本女性として見てて嫌な感じ。
ビデオの最後は二人ともナンパが成功して、naotoはラテン女性を、Joeyは日本人女性をホテルにお持ち帰りです。
ユーチューバーみたいなビデオ、という印象を受けました。 よくありがちな世界周遊バックパッカーでユーチューバーが作ったビデオみたいな感じがします。ファンの方にはすみませんが、私にはそう見えます。
日本のステレオタイプを全面に押し出してくるところがユーチューバーっぽい。ユーチューバーがビュー数稼ぎの受け狙いをしたみたいな笑いのポイント。
この曲とビデオでよかったのは、三味線の部分です。レゲトンに三味線などの和風のサウンドを入れたのはいままでなかったような気がするのでそれはよかったと思います。日本の伝統文化だし。それにビデオ内で三味線が並んで演奏してたのも、ビデオの中で唯一よい点だと思います。
ラップを歌うのってかなり難しい。 他のジャンルのプロ歌手でもラップを歌うのは難しい。 ラップでもレゲトンはラテンのリズムがあるし、スペイン語なのでかなり難易度が高い。 naotoがスペイン語でレゲトン歌ったのはすばらしいと思います。発音も悪くないかと。
けどnaotoの歌い方はラッパーやレゲトン歌手の歌い方とはやっぱ違います。 Joeyはレゲトンも歌うけどポップスとかも歌うし。レゲトン・キングのダディ・ヤンキー※のレゲトンのラップをきけば違いがわかると思います。
※Daddy Yankeeは世界中で流行った「デスパシート」でも歌ってたし、レゲトン界ではレゲトン・キングといわれる大御所です。レゲトンを確立したのは彼。
これがダディ・ヤンキー
それからNaotoとJoeyのライブの動画見たのですが
やっぱnaotoの歌い方とか踊り方がレゲトンじゃないですね。
ラテンの人からしてみたら踊り方がちょっと「え」って感じ。レゲトン界ってマッチョだし。
ラテンの歌手との歌唱力の違いですが、J-POPの歌手は喉でちょっと苦しそうに歌ってる人が多い感じがして彼もその傾向があるような。
世界デビューと日本で宣伝してますが、この1か月でyou tubeの動画は200万ビューで、レゲトンとしては少ない方。大手のユニバーサルレコードからリリースだし、Joey Montanaの公式アカウントでyou tubeにミュージックビデオ出したにしては。 レゲトンはいま世界で一番トレンドなので、レゲトンでヒットする曲はリリース即日で何千万。その後すぐ何億ビューいくし、「デスパシート」みたいな世界的大ヒットだと何十億ビューなので。レゲトンにしては少ないかなという印象です。
歌詞の和訳
歌詞の和訳は別のブログにUPしましたので、下をクリックしてください。
http://diafeliz.jugem.jp/?eid=74
歌詞を見たら私の気持ちがわかるかもしれませんが。
歌詞の内容は、日本人の男がラティーナ(ラテンの女)をナンパ。ラテンの男が日本人女性をナンパ。レゲトンで激しく腰を振って男性の腰に自分の腰をすりつけるように踊れと言い、そのあとお持ち帰りしてエッチする話です。
naotoは、ラティーナ(ラテンの女)を口説いて、レゲトンで密着して踊り、もっと腰ふって腰すりつけて踊れよ、この日本人の男を(ベッドで)味わってみないか、とナンパしてるんです。
で、Joeyが日本人女性をナンパして、同じくレゲトンで腰ふって躍らせて、ラテン男の俺があとで(ベッドで)腰ふらせてやるぜ
と言い、そのあとでnaotoが「日本人の男を味わってみなよ」といってます。
Baila reggaeton. Pegate masと言ってますが、レゲトンを密着して踊れ、もっともっと密着して、と言ってます。
レゲトンにはぺレオという踊り方があり、perroが犬で、ぺレオは犬の交尾みたいな踊り方です。人でいうとバック。
そういうスタイルでレゲトンを踊る。下品なのでラテンアメリカではフィエスタでジョークでたまーにやる人が1組いるかどうかで、クラブでそれやるとセキュリティが飛んできて怒る事もあります。日本のラテンクラブではときどき見たことありますが。
naotoやJoeyが言ってるのは、ぺレオみたいに密着してレゲトン踊れ、それをあとで(ベッド)実際にやってやるから、という感じです。
こういう感じの踊り方。
ぺレオはさらに激しくもっとエッチぽいですが、今回は動画UPしません。
probarというスペイン語は ためしてみる という意味です。例えば、和食を食べた事がない外国人が和食をprobarしてみたいと言ったら和食を試しに食べてみたいということです。
普通のラテンアメリカ人の会話やサルサならprobarを人に使う場合は、彼を一回試してみないか、みたいな普通の感じかもしれませんが、レゲトンはだいたいエッチな内容が多いので、レゲトンでProbarをこういうふうに人に使う場合は、俺をためしてみる→ 俺と一回エッチやってみる、という感じでしょうね。
なかに Tu eres bombon latino という部分があるんですが、latinoは男なので男性をナンパしてるのかと思っちゃいました。latinaの間違いかと。
スペイン語はだいたい男性がOで女性はAが語尾になります。latinoだったらラテンアメリカ人の男、latinaだったらラテンアメリカ人の女です。
latino, contigo, bonitoで韻を踏みたかったのはわかるんですがlatinoだと男になるんで、ここは女性形のlatinaに変えてAで韻を踏むようにした方がいいですね。じゃないと男をナンパしてる話になっちゃうんで。
歌詞によみがなつけました。スペイン語なので読めないファンの方多いでしょうし。これならカラオケ風に歌えるかと。よみがなは、こちらのリンクをクリックしてください。
http://diafeliz.jugem.jp/?eid=76
それで、そんなエッチ目的のナンパの歌に「El Japonés (日本男)」ってつけられたら、他の日本人男性はどうなるの?って思いました。
タイトルのつけかたがよくないのでは。
「日本男」ってタイトルなら世界で興味持って聞く人いますよね。レゲトンは世界的に流行ってるし、ラテンアメリカではレゲトンが一番人気。それに日本のアニメが好きな人は多いすよ。しかもJoey Montanaはラテン界で有名だし。
そしたらこれですよ。ラテンアメリカは日本がそんなに知られてないし、なかには日本に偏見を持ってる人もいます。この歌とビデオで日本人のよくないイメージがついちゃうのではと心配になりました。
今度日本人男性がスぺイン語圏にいって、「日本人です」っていったら、あー、みたいな。もしくはこの曲をラティーナのナンパに使うのか!?
この歌だと、日本男性がへらへらして女好きで、女のナンパに走るみたいなイメージなんで。
東南アジアには日本人男性にセクハラや買春する、エロいというイメージが強い国もあるそうですが。ラテンアメリカでは実際に買春しにくるのは欧米人、特に米人。日本人のイメージは、勤勉でまじめとかです。だからこんなビデオや歌で日本人男性のイメージをダウンさせるのはよくないのでは?と思いました。
特に今ラテンアメリカは女性の権利を主張し、セクハラや女性差別や女性への暴力に反対する女性の抗議デモが大規模化しており、法律や条例なども変わってきています。ラテンでは女性にきれいというのはマナーだというイメージが強いでしょうが、いまでは通りで知らない女性に「かわいこちゃん」と声かけるのはセクハラだといわれてきてます。急速に規制が厳しくなってるし、意識改革の為の啓蒙も政府がしてるところが多いので。
あんまこういう内容の歌はウケる風潮じゃないです。Naotoが「ラティーナのでかいでかいケツ」といいながら手でヒップの形を作って見せるのもやらしい。これは今のラテンアメリカではどんびきされそう。
世界的に大人気で日本でも人気があるコロンビアのレゲトン歌手Malumaは、彼のレゲトンの曲の歌詞が女性を性奴隷みたいな扱いをしてる内容だ(4人の女性を愛人にして囲う)ということで放送禁止になり、行政から怒られ、スペインなどではMalumaは男尊女卑者だとコンサートのボイコットデモがおきました。MalumaはDaddy Yankeやドン・オマールなどのレゲトン界の大御所達からも怒られました。
レゲトンといえば歌詞はエッチでビキニのねーちゃんが踊ってるビデオだったのは、もう10数年前の話。
レゲトン界で世界で大ヒットを出してるスター歌手のダディ・ヤンキー達はもうエッチな歌はほとんど歌わないですね。ダディ・ヤンキーは「Hula Hoop」とか「Con Calma」のようなズンバ(ラテンのエアロビクスみたいなの)で踊れる曲や子供も楽しく踊れる曲が多くなりました。世界マーケットで売れるためには、歌詞が重要なのをスター歌手は知ってるからです。
そんななかで日本人がこんなエッチな歌やビデオをラテンの歌手とスペイン語でアメリカ大陸でリリースしてしまったのは、時代遅れだと思います。
前回のブログの記事で、K-POPのBTSのメンバーがラテンの人気歌手Becky Gとヒップホップの曲「Chicken Noodle」をリリースして話題になったのを紹介しましたよね。
あの曲は韓国としての要素はK-POPと韓国語だけで、それをスペイン語とアメリカのヒップホップとうまくMIXしてかっこいいと思いました。
K-POPは韓国のステレオタイプなイメージを利用してこびる方法は使ってない。K-POPはK-POPのままで世界に進出のに、今世界中で大成功してますよね。
でも日本の今回の戦略は日本のステレオタイプなイメージを利用してこびてるような気が私にはするんです。外国人にもウケそうなステレオタイプな日本ぽさを出しとけばビュー数あがるだろ、みたいな。そこにユーチューバーぽさを感じるんですよね。
…って ちょっとそこに世界で大成功してるK-POPとの差を感じてます。
日系の南米人達には日本語やスペイン語でレゲトンをリリースしたことも過去にあります(国内でインディーズでリリース)。
でも日本人なのに、スペイン語でレゲトンを歌って海外でラテン歌手とコラボした曲をユニバーサルからリリースできたのはすごいです。他の日本のアーティストもがんばってほしいですね。