Ku Too。ヒールや外見の強制からの解放
いま #Ku Tooが話題。
職場でヒールやパンプスを強制されるのは嫌だ、長時間ヒールで足腰を痛めた人も多い。強制するのはやめてほしい、という嘆願。署名が集まりニュースになった。
1万人を超えました!
— 石川優実@#KuToo署名中👞👠 (@ishikawa_yumi) February 21, 2019
メールアドレスとお名前だけで署名ができます。
問題点:
①性別によって同じ職場で強制される服装が違うこと
②健康を害してまで強制されるマナーとは?
「厚生労働省宛: #KuToo 職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!」 https://t.co/q61K5E2TVw @change_jpより
しかし厚労相がヒールの強制は「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲」「それぞれの業務の特性がありますから」 とヒールを容認。
ヒールが業務上必要な職業ってなんなんだ、という声がネットであがった。これしか思いつかないとSMの女王様の写真がUPされてた。確かにヒールが業務上必要な仕事ってこれくらいしか思いつかない 笑。
このニュースが出た時に男性からかなり多かった反応が「え、ヒールって職場で強制だったの?」だった。
つまり女性がヒールやパンプスを強制されていたのを知らなかったんだね。就職活動の学生の恰好を見れば会社が女性に求めるスタイルがわかるのでは。学生達は皆一様にヒールがあるパンプスをはいてるよね。
日本ではもし会社の規則に明記されてなかったとしても、職場の上司や人事や先輩から外見について注意される事が多い。
女性は服装も注意されるし、ヒールをはかなかったり、白髪を染めなかったりメイクをしないと「社会人としてのみだしなみがなってない」と怒られてしまう。
だから立ち仕事でもヒールをはいている女性が多いよね。
ヒールを全面禁止しろというのではない。ヒールをはきたい人ははけばいい。でもヒールで健康を害した人にまで強制をしないでほしい、靴の選択肢がほしい、という嘆願なのだ。
ヒールやパンプスは足に悪い。外反母趾になったり、膝を痛めたり腰を痛める女性はかなり多い。若い頃は我慢できても中年になった時に一挙に身体に出てくることも。膝を痛めても職場ではパンプスをはかなきゃいけないし。
足は第二の心臓といわれる大事な部分なのに、なぜ苦痛に耐えながら仕事をしなければならないのか。ぺったんこの靴、ローファーのような甲が深いシューズ、男性のシューズみたいな皮のひも靴でもスーツにもあうのに。なぜそれではいけないのか。靴の選択肢がほしいと願っている女性は昔から多かった。
kutooの前からネットでよくこの話はでていた。なぜ男性はOKな事でも女性はダメなのか、日本の会社はなぜ外見のルールが多いのか。それで健康を害した場合でも「社会人のマナー」だからと強制するのはもうやめてほしい、という願いは何十年も前からあった。私もネットに何度も書いてきた。
けれど今回はインフルエンサーが立ち上がってムーブメントをおこした。バッシングがすごかったが、18000以上の署名を集めた。だからTVなどのニュースになり、厚労相までその件について野党から質問されて回答せざるをえないはめになり、海外にも報道されて大きな話題になった。
また、なぜ白髪のある男性社員は多いのに、女性は白髪を染めないと「社会人としての身だしなみがなってない」と言われるんだろうと私は思っていた。染料のアレルギーで肌がかぶれたり薄毛になる人が多いのが問題になっているのに。
さらに女性はすっぴんではダメで、社会人としてふさわしいメイクをしなければならない、といわれる。アトピーやアレルギーで化粧をしないように医者から言われてる人もいるのに。
会社に規則がなくても、上司から「女子力がない」「女を捨ててる」「社会人としてなってない」としかられる事も多い。
電通で過労自殺したまつりさんも徹夜が続いてるときに上司から、髪がぼさぼさだし女子力がない、など暴言をはかれていて、そういう上司のパラハラやセクハラも自殺の原因になったと言われている。
なぜ女性は男性以上に外見を強制されなきゃいけないのか? 強制しないほうが、仕事もはかどるだろうに。仕事に関係ないし不必要な強制が多すぎるのではと思っていた。
ヒールで踏まれた時の圧は1トンなのだそう。電車や混んだクラブでヒールで踏まれてケガしたり骨折した人いるでしょう。満員電車の中でヒールって凶器だよ。長時間の出勤にヒールは向かない。
厚労相が業務上必要と言ったけど、なんで必要なのか理解できない。ちゃんと理由を教えてほしい。それに厚労相は業務上必要と主張されるならご自分がヒールをはいて1か月働くのを体験してみるとかどうでしょうか。
カナダの男性議員達が毎年女性へのバイオレンス反対のチャリティの為にピンクのヒールをはいてデモ行進してるんだけど、日本の男性の大臣や議員達もヒールをはいて歩くのを一回やってみてはどうでしょうか?
私のヒール強制体験
私の自分の経験を話そう。
新卒で入った会社は業界的に服装規定はわりとゆるかった。でも男性はスーツで女性もスーツやワンピースにヒールが基本。
私が真夏に半そでのブラウスで出社すると同期の男性達が「女はいいなー。そんな恰好で出社できて。俺らは暑くてもネクタイにスーツなのに」と文句言われた。なら上着脱げばいいのに、と思ったんだけどね。
また、正月明けに自分の部署の部長達と取引先に挨拶まわりするときに「コートは持っていくな。コートを持ってたら相手に失礼だろ」と部長が言ったので驚いた。正月明けの厳寒にコートなしで丸一日あちこち歩きまわった。私だけ女性一人でスカートにストッキングにヒールだったので、身体が冷えきってしまった。
そうかと思えば取引先の大規模パーティに、私がスーツを着て行ったら同じ会社の上の人から「なぜおまえはそんな地味な格好をしてるんだ?」と怒られた。「取引先なので失礼にならないように」と言ったら「他の会社の女性社員達を見てみろ。みんなパーティだから華やかな格好をしてるじゃないか。うちだけそんな地味じゃ目立たない。これじゃ他社に負けるだろ。もっと派手な色で丈が短めのワンピースにハイヒールはくとか相応な服装を考えるべきだったのでは?」って言われた。
違う部署のクライアントの接待にもよくかり出されたし、総合職で男性と同じ仕事をして業績をあげていても女性は平等な扱いではないのだなと痛感した。ストレスで女性の先輩達が身体を壊してどんどん辞めていき、私も辞めたけど。
次に働いた仕事もヒールで、通勤時間も長かったためヒールで膝を痛めてしまった。通院していたがヒールをはかないといけないので痛い足をひきずって仕事をしていた。男性社員は会社の机の下にあるサンダルにはきかえていたのに。
私はその時にこわした膝がいまだに治ってない。
2010年代に都心にある有名な外資企業で働いた時は、会社の人事から渡されたルールに女性はヒールのあるパンプスで服はワンピースかスカートのスーツと服装の規定が細かく書いてあった。世界的に有名な外資で進んだイメージなので、日系より保守的なのに驚いた。日本オフィスでは日本人が総務や人事を管理してるからだろう。仕事で汚れるからワンピースを仕事の為にたくさん買った。
ある日仕事中にオフィス内で転んで負傷し、脚が腫れてヒールもスカートも無理になった。医者に行き人事と部長にケガでヒールとワンピースを着用できないと説明。しかもズボンをたくしあげて上司にそのケガを見させられた。すると上司が「わーーー、ひどい状態ー。じゃあケガが治るまではいいよ」と承諾してくれた。
けれど人事の目は冷たいし、会社の規定に沿わない格好を自分一人だけしているという後ろめたさと罪悪感を抱いて居づらくなってしまった。
また女性社員が部署により他の社員より早く出社が決まってるので、会社に着いてからメイクしてる会社もあった。私も家を出る時はファンデだけにして会社についてからメイクしていた。そこもパンプスだったので、ぺたんこの靴で出社して会社でパンプスにはきかえていた。
これが私が今まで仕事で受けてきた外見の強制だ。まだ一部しか書いてないけど。有名企業でもこれだけの強制があった。
ヒールの強制なんてほんとにあるのかよって批判してる人達がいるので、私の体験を書いてみた。
会社員になったらまた外見を強制されて、ヒールで満員電車に乗らなきゃいけないのかと思うと正直うんざりする。
ヒール靴の歴史
じゃそもそもヒールの靴って誰のために生まれたのか知ってる?
これのリンクの動画を見てみて。
https://twitter.com/i/status/1068723866560692224
この動画はスペイン語なので解説する。
ハイヒールは最初はトルコ(オスマントルコ帝国)の兵士が軍馬に乗る時に足を固定する為だった。
オスマントルコが欧州の各国を侵略しトルコの文化が欧州に伝播。欧州の男性の王様が、自分の権力の象徴としてヒールをはきはじめた。
時代が下って今度は男性の貴族が特権階級の象徴としてヒールをはきはじめた。また時代が下って次は女性の貴族もハイヒールをはきはじめた。王族や貴族たちはまわりにおつきのものがたくさんいて世話してくれるし仕事もしないし、歩くこともあまりない。だからヒールをはくことで自分達の特権を誇示したのだ。
だがフランス革命で王族や貴族が滅ぼされた時に、男性達はヒールを捨てた。
つまりハイヒールは最初は男性のものだった。しかも特権階級だけのものだった。
それがなぜ一般人にきたのか? それは現代になって欧米のピンナップガール(セクシーなモデルさんや女優さん)達にヒールをはかせたら写真うつりがセクシーということではかせたことに始まる。例えばマリリン・モンローはタイトスカートにハイヒールだったので、歩くたびにヒップが揺れてセックスシンボルと世界で賞賛されたよね。
けど彼らは芸能人だ。ヒールで長く歩くこともほとんどない。
そういう芸能人をメディアが、セクシーできれい、女性の美はヒールにあり、と賞賛。一般の女性達が影響されてはくように。日本も50年代や60年代はハイヒールが流行った。しかも60年代の初頭は細いピンヒールで、足先がとんがった型が流行ったそうだ。それをはいて通勤し脚を痛めた日本人女性達もいる。
つまりヒールはほぼ歩かなくていいし仕事もしなくていい特権階級の象徴だったのだから、まったく庶民向けの実用のものではない。
なぜ実用的じゃないものを、しかもアメリカみたいに車社会ではない日本で、しかも通勤時間が長く長時間労働の職場で強制するんだろう?
東京は通勤時間が平均で1時間半、しかも満員電車や、労働時間が長くて過労死が多いと世界で悪名高い国だ。接客業も賃金に見合わない過剰なサービスを要求され、客がいなくてもずっと立ちっぱなし。
そんな国で女性がヒールを強要されてるのは変では?
ルッキズムのプレッシャー
今欧米ではグレイヘアといって白髪を染めないのがファッション界や芸能界でトレンド。一般の人にも染めない人が増えてきたそうだ。
前にブログで書いたように数年前に米のファッションと美容雑誌がもう「この雑誌ではアンチエイジングという言葉をもう使わない。なぜ若さにこだわるのか? 私達メディアやファッションや美容業界は、外見を変えないとダメだと一般人にプレッシャーを与えてきたが、それは自分達の利益のためだった。そんなことはもうやめるべきだと業界に進言する」と発表した。
https://diafelizlatin.com/blog-entry-1161.html
でもいまだに日本では、TVや電車の中吊りや雑誌やネットでも、ルッキズムによるプレッシャーが強い。
若見えするように努力しろ、ダイエットしろ、ハゲはかくせ、白髪は染めろ、愛されるメイクにしろ、しわとりの為にボトックス注射しろ、外見が流行に合わないなら整形しろ、というのにあふれている。
SNSでは一般人のプライベート写真がたくさんあり、外見を見比べられてしまう。
メディアでは、ぶさいく、デブ、BBAなどの言葉でいじられて嘲笑される。メディアでは芸能人だけではなく一般人すら年齢が書かれて「~歳のくせに」とか言われる。あなたは今のままではだめ、外見を変えよう、きれいになろう、若くなろう、というCMがたくさん。
そういう外見を重視するルッキズムと、それによるプレッシャーが性別を問わずものすごい。
TVでもネットでもリアルでも、「若く見えるね」が誉め言葉。「三十路が何言うか」「BBAのくせにふざけんな」とか「しわがあって老けて見えるね、ボトックス注射で若がえりしたら?」などなど言われるでしょ。
人間は生まれた時からどんどん老いていくものなのに、なぜそんなに老いを怖れるのか。日本はもともと長寿を喜ぶ文化だったのに。若さ追求の風潮になったのは米の占領時代からなのかな??
先日の結婚報道で、山ちゃんはブサイク、美女と野獣カップルだとかメディアに言われてたけど、私は山ちゃんをぶさいくと思った事ないしお笑いの中では感じがいいなと思ってたけどね。渡辺直美にもデブとかブスとかよくTVがいじるけど、彼女はそんなの気にせず一蹴するから女性ファンが多い。
日本にいるとジロジロ人の外見を見る人が確かに多い。こそこそ他人の外見について悪口言ったり、「キモイ」と知らない人に言って笑う人達もいる。
日本はルッキズムが強すぎると思うし、外見によるいじめも強い。
「こいつ、キモイ」と知らない通りすがりの人から言われたり、背が低いからと学校でいじめられたり、会社で「あなたの身なりに対して社内で噂が出てるから改めた方がいい」と上司に怒られたり、飲み会で「そのブス顔を整形したら嫁にいけるんじゃない?」と言われたりする。
それでも、以前に比べたらだいぶ日本人は外見について言わなくなったと思う。ラテンアメリカにいた時は初対面から年齢をきかれるのが普通だった、ラテンアメリカ人は年齢をすぐきくから欧米人からうざがられてる。
でも日本にいても、私はまわりから年齢きかれたり外見についてネガティブな事を言われることはあまりない。多分日本人も意識が変わりつつあるのかなと思った。マナーとか、多様性を重視するとか、人への思いやりとか。しかもこのルッキズムや若さ追求社会の中で自分がいろんな事を言われてつづけてきてうんざりしてる人もかなりいるのかもしれない。
SNSでは一般人でも写真によるアピールがすごい。SNSで自撮り写真をUPしすぎる人は醜形恐怖症になりやすい、という統計も欧米にある。外見の不安感から整形を重ね、整形手術中に命を落としそうになった海外の有名インタグラマーもいる。
それにボトックス注射やヒアレイン注射で表情がかたまったり顔がでこぼこになったり、ボトックスで顔や身体がマヒしたケースも増えてきた。整形崩れしてしまった人も世界で多い。有名人の整形崩れを見て怯えてる人も。
SNSにUPした写真から外見の悪口をネットに書かれ自殺した子もいる。
だから一般人にはだんだんルッキズムにうんざりしてきた人がでてきたのかもしれないね。
でも日本のテレビなどでのメディアは、いまだにルッキズムや年齢や性差別やセクハラにあふれている。だからメディアやネットを見ると嫌な気持ちになってしまう人が多いんだろう。TVが言ってる事を子供達がマネして学校でいじめに使うこともあるし。私もテレビや雑誌を見てるとうんざりしてしまう。ネットもそうだ。
キモいとかブスとかいわれて醜形恐怖症になったり、「太った?」といわれて摂食障害になったり、対人恐怖症になってひきこもりになった人達だっているのに。
ヒールに関しても最近はあまり言われなくなったような気がする。
前はヒールはかないと「なぜヒールはいてこないの? スカートにはヒールでしょ」とか「今日はヒールはいてないから背がちっちゃいね」とか「やっぱ女はヒールはかないとセクシーじゃないでしょ」とかいう人かなりいた。でもこの2010年代はかなり減ったような気がする。今はプライベートではカジュアルな服が人気だし、スカートやワンピースにスニーカー合わせる女性も増えたと思う。
台湾に行ったら台湾の女の子達は服がワンピースやスカートでも、靴はスニーカーの子が目立った。スニーカーとリュック姿の子をたくさん見たよ。
しかし例え会社の規則になく強制されてなくても、悪口言われたり、まわりの目を気にしたり、SNSに自分の写真が出た時に何を言われるかわからないという不安で、嫌だけど慣習を変えられない人は多いと思う。まわりから浮かないことが日本では重要だからだ。
グレイヘア
でも日本でも最近ようやく、40代でも白髪を染めない有名人が出て来た。グレイヘアという言葉が去年の流行語候補にも選ばれたほど話題に。
近藤サトさんは東日本大震災の後に防災用品のリュックに物をつめてたら真っ先に白髪染めを入れてしまい、自分はいったい何をしてるんだとはっと気づいた。毎月毎月白髪を染めなきゃいけない、根本が白くなってきたからやばい、というプレッシャーに追い回されてきたが、震災をきっかけに白髪染めをやめようと思い立ったんだそうだ。
しかしリアルでは女性が白髪を染めないと、社会人としてのみだしなみがなってないとかと職場で怒られるし、まわりから老けて見えるとかだらしないとかいわれるし、染めない選択肢へのプレッシャーはまだまだ強い。
私は自分が通う美容院の店長に客の白髪染めの傾向をきいてみたが「男性は染めない人が多いし最近さらに染めない人が増えた。でも女性は高齢者以外はほぼみんな白髪染めするよ」ということだった。
私は白髪が数年前から出てきて美容師に染めようか相談したら、地毛がきれいなので染めない方がいいと思うと言われたので染めなかった。今もナチュラルなままにしてる。
白髪を染めないとネガティブな事をまわりに言われるかなってちょっと心配だったが、今のところまだ言われてない。街でジロジロ見る人もほとんどいない事が分かった。白髪を染めない事は心配してたほど勇気がいることでもなかったんだな… と思った。まあ、それに私も年相応の外見になってきたんだろう。
こんなことをいちいち気にしなくてもいい世の中になってほしい。ありのままで、ナチュラルでいいじゃん。どんなにあがいてもアンチエイジングにお金かけても日々どんどん老いていくものなのだ。でも老いていくというより、成長や成熟していくと考えればいいのではないだろうか。
マチスモとルッキズムの強かったラテンアメリカの変化
先日、日本在住のメキシコ人女性が「あなたの髪、すごいステキ~。私は白髪染めしてるんだけど、あなたみたいに染めないナチュラルなヘアに変えたいと思ってるのよ。でもすでに染めちゃってるから移行が難しくて。」とほめまくられた。「初めてほめられた。うれしい」って私が答えたら「なぜ? 他の人から何か言われたの? ナチュラルが一番、自分らしさが一番よ。私はナチュラルが好きだし、私はあなたのヘアが好きだわ」と言われた。
ラテンアメリカのスペイン語圏やブラジルはマチスモ(男尊女卑)が根づよい。男性が「女性は髪が長くて、胸とヒップが大きいグラマラス体型で、セクシーな服でヒールをはくのがイイ女」という考えが強い。
ラテンアメリカのスペイン語圏で今まで私が行った国は中年まではロングヘア―の女性ばかり。大きいヒップが美人のシンボルなのでヒップを強調する服を着る。
私がいたメキシコは朝からメイクばっちりの人が多かったし。コロンビアはラテンアメリカの中でも外見重視が非常に強い。ミスユニバース優勝常連でもともと美人で有名な国。でも実は整形大国でもあり世界最高レベルの美容整形技術がある。
ラテンで一番多い整形はヒップを大きくする整形だ。大きいヒップの女性が一番もてるし美の象徴だから。コロンビアにいた時はコロンビア女性達から「あなた豊胸手術したら? 私ももうすぐ体の整形するのよ」と言われたことも。コロンビアではコロンビア人から外見についていろいろ言われるしネイルサロンに行けだの服はこうしろだの言われるので、近所に行く時でも外見に手を抜けなかった。私はラテンのファッション好きだしおしゃれも好きだからラテンではめいっぱいおしゃれできるのはうれしかったが、自分達が思う美の価値観を他人に押し付けるコロンビア人のうるささには閉口した。
理想の美人女性像に合わせてるラティーナ(ラテン女性)が大半だった。でもそれは女性として美しくありたいから当然だ、と思ってるんだと思う。自分がそうなりたいと思ってるのが強いのはわかる。でもラテンアメリカのスペイン語圏はどこの国に行っても似たようなスタイルの人が多い。だからこれはラテンの男性が求める美人像ではないかと思った。
でも今回の #Ku Tooの話が出た時にコロンビア在住のコロンビア人から「日本って変なの。コロンビアは職場で靴の強制とかないよ。確かにプライベートでは女性の間でヒールは流行ってるけど、それはその人が好きではいてるだけで規則による強制ではないので」と感想を言った。
確かにコロンビアで職場の靴の強制は聞いた事がない。コロンビア女性は平日は社会人でもノーメイクや薄化粧の人が大半。でも週末にクラブやパーティに行くとなると、ばりばりに気合を入れてばっちり化粧もし美容院に行って、セクシーな服を着て10㎝や12㎝のヒールをはく人が多い。それは特別な機会に個人が好きでやってる事だ。
ただし、コロンビアでは週末のクラブでコロンビア人しかいないところに行くと、女性はみなハイヒールだった。私がクラブでハイヒールはいてなかったので「なぜはかないのか?」とコロンビア人から何回もきかれた。グループでクラブに行った時に来たコロンビア人女性が珍しくハイヒールはいてなくて、男友達から「君もハイヒールはけばいいのに。もっとセクシーになるよ」と言われていた。3年前の話だけど。
でも数年前から女性へのDVや暴力に反対し男尊女卑に反対する抗議デモがラテンアメリカのスペイン語圏各地で大きくなった。ミスコン命の中南米なのに、コンテストでミス候補が女性差別反対や女性の権利を叫ぶようになった。今のミスコロンビアは女性への暴力反対運動をやってる人権活動家で弁護士。今までのミスコロンビアはプロモデルばかりだったのに。
ラテンアメリカでは国際女性デーは前は男性が花を贈る日だったが、今は大規模な女性抗議デモの日になった。それによりラテンアメリカでは急にマチスモ反対と言う人が増えたし、通りで知らない女性にピロポ(かわいこちゃんとか声をかけること)いうのはセクハラだとか言われるようになった。ニュースやメディアで特集が組まれたり、行政もバイオレンス防止やセクハラ反対を啓蒙するように。ここ数年で急激に人々の意識が変わってきた。あのマチスモ文化で外見主義が強かったラテンアメリカがだ。
ラテンアメリカが最近いきなり変わってきているのにびっくりした。
クラブでヒール
サルサバーなどラテンのクラブやイベントは、日本人はサルサシューズというダンスシューズをはく人が多い。サルサはターンやスピンが激しいので靴底がそれ仕様になってる。日本人はサルサのクラブやイベントに来るとまず靴を履き替える。
しかしラテンアメリカ人はクラブで靴をはきかえない。女性は10㎝から12㎝のヒールをはいてくる。
ラテンアメリカだと、男性が女性を車で迎えにきて、クラブにはグループごとにソファ席があって座れるし、帰りも車で送ってもらえるので12㎝ヒールでも脚は痛くならない。しかもその靴は普通のヒール。
一方、日本在住のラティーナは電車でクラブに行くのに、10㎝ヒールはいててすごいなと思う。前に日本でラティーナと一緒にクラブに行った時に電車で「脚が痛いから駅ではエレベーターに乗る」とかひいひい言って、脚が痛いからと男友達に電話して駅からクラブまで送らせていたけど。
ラテンアメリカでダンスシューズにはきかえるのは、プロダンサー達が競技会や仕事でショーに出る時だけ。でもプロダンサー達も、プライベートでクラブに行く時は普通の靴でいくよ。ダンサーとクラブに行く時に、私がダンスシューズを持ってたら「なんでクラブに靴持ってくの? 靴はおいてきな」って笑われた。
一方、日本のラテンのクラブは日本人が多い店でも南米人ばかりの店でも女性はヒールばかり。
だけど東京でハウス(ハウスミュージック)のクラブに行ったら、スニーカーの女の子が多いのに驚いた。今はハウスのイベントとか音箱(音楽好きな人が集まるクラブ)って女の子もスニーカーやぺたんこの靴が大半なんだね。
でもナンパ箱になると変わる。ナンパが多いクラブ(ディスコ)はヒールの女性が多いと思う。
私は若い頃からずっと週末はクラブに通うクラバーだった。クラブにヒールで行ってオールで踊って、他のクラブにもはしごして。始発で痛い足をひきずって家に帰ってた。あまりの痛さに家に帰る途中でヒール脱いでしばらく足を休ませた事もある。
でも米に以前住んでた友達と東京のクラブに行ったら、行く時はスニーカーでクラブのロッカーの前でヒールにはきかえていた。帰りまたスニーカーにはきかえてた。それを私もマネした。これでだいぶ楽になった。5時間や7時間ヒールで踊り続けるのは痛かったけど、帰宅時は楽。
サルサもそうだが、ヒールの方が踊りやすい(ヒールに慣れてる人は特に)事もある。
サルサ始めてからは、サルサシューズをたくさん買った。ヒールは5㎝。7㎝だと脚が痛かった。でもショーに出る人は9cmもはいてる。サルサシューズはデザインや足に合わないものや、ヒールが高いのは足が痛くなるのに。
ターンしやすいダンススニーカーも買ったが、ラテンのクラブはヒールの人ばかりでスニーカーの女性がいない為ほとんど使ってない。ラテン以外のクラブの方で使った。
サルサはダンス中のけがが多い。欧米人や日本人はくるくるスピンするし幅をとって踊るので、隣のカップルがどかんとぶつかってきたり、隣の人の足のヒールのかかとが私の脚にあたって脚が切り傷できたり。ヒールで踏まれて負傷するのはあるある。サルサのクラブやイベントでケガした人の話はよくきく。
でも中南米人の一般の人達もプロダンサーもクラブなどでは自分のスペースだけで踊ってるからケガは見た事がない。
私はラテンアメリカに住んだ後は、日本でもサルサに行く時に普通の靴で踊るようになった。ブーツとか普通の靴。中南米ではクラブやフィエスタで靴を履き替えることがなかったので。
今はぺたんこ靴やスニーカーで踊ってる。ぺたんこの靴を家からはいていくから、荷物が少ないし帰りも脚が楽。
まず自分から解放
私は白髪は染めないことにした。
クラブの受動喫煙のせいで喘息になったため、クラブに行かなくなり踊る機会が激減したら、20代にヒール通勤で痛めた膝がまた痛くなってきた。なので最近はヒールをはくのをやめた。
私はDJだしイベントをオーガナイズしてる。DJは長時間立ちっぱなしだし場合によっては自分のDJ機材を運んだり結構な肉体労働なので、長時間立てて動きやすくないといけないから、ヒールでは正直きつい。
けれど自分が雇われDJだった時は、店や主催者からセクシーな格好をしろ、セクシーな服で写真撮ってSNSでイベント宣伝しろとか言われたよ。やらなかったけどね 笑。
それに、メイクの件。
去年目の炎症がひどくて月に1度は眼医者に行くようになった。眼医者からアイラインで炎症がおきてるので、アイメイクはやめるようにいわれた。したまぶたのふちは涙腺があるのでアイラインをひくとそこがふさがれて炎症がおきやすいのだそうだ。
お出かけの時はコンタクトだけど、近所に行く時などはメガネに替えてほぼすっぴんに変えた。私はずっとコスメおたくでコスメを去年まで集めてたが、今はお出かけの時だけ化粧するようになってしまった。
それに、ワイヤーのブラをやめた。ワイヤーレスの楽なブラにしてる。これかなり解放感がある。しかも日本って胸の谷間が見えたらまずい国だし寄せ上げしない方がいいでしょ。
そういうことをやめると、日本では「女子力がない」と「社会人としてのみだしないがなってない」「だらしない」「女を捨ててる」とか言われるかもしれない。
でも自分的にはすごい楽になった。外見の為に健康も害してたから身体的にも楽になった。他人の価値観やメディアや美容業界やファッション業界の作った美の価値観に縛られて自分の外見がふりまわされることにももう疲れてたんだと思う。
だけどまったくおしゃれをしなくなったというわけではない。ちゃんとお出かけする時は、メイクして髪も巻いて、服やブラも変えてる。ただしヒールだけはほぼはいてない。
これでだいぶストレスフリーになったよ。
ヒールやパンプスの強制が嫌、足腰が痛いというあなた、明日からやめてみませんか?
もし会社で上司になぜヒールはかないんだとか、なぜ白髪染めないんだ、とか言われたら「じゃ部長はなぜ白髪なんですか? 社会人のみだしなみとしてどうなんでしょう?」って言ってみては?
「まず隗より始めよ」。自分がまずやった方が早いと思う。私は自分がまず実行してしまうタイプ。
束縛からの解放
#Ku Too のムーブメントはかなり非難されてるそうだ。
非難してるのは男性が多く、俺達だって真夏にスーツ着て出勤してるぞ、ヒールもメイクもやだとかいってたらしめしがつかない、だったら男の長髪やヒゲも許すのか? というような意見が多い。
先日、地下鉄の運転手のヒゲ禁止という規則があるのはおかしいという訴えがおきたよね。ヒゲがあった運転手が当時処分されたんだけど運転手にヒゲのあるなしを強制するのはおかしい、と訴えた。
地下鉄の運転手の外見なんて乗客には関係ないよね。安全に運転して乗客を無事に運んでくれればいいと思う。
男性の方、不必要な外見の強制はおかしいと思いませんか?
今は異常気象で夏は40度を越える日が多くなった。熱中症で亡くなる人も多い。なのになぜ日本は真夏でもスーツを強要するのか。なぜ大臣はアロハシャツ着てるのに、サラリーマンはなぜ真夏もスーツなの?
例えば、大正時代の日本のサラリーマンは開襟シャツで麻のズボンにパナマ帽のスタイルだったよね。ああいうほうが今の猛暑の日本にあってるのではないでは? エアコンの室温下げる為にもエコだし。
ドイツにいった時にスーツ着てない会社員が多いと思った。Googleなどの企業は服装は自由だという。
なのになぜ日本は「社会人の外見はこうじゃないといけない」と縛るのか?
どんな職業でも外見より、与えられた仕事をちゃんとこなしてくれるし、仕事ができる人の方がよくない?
なぜ日本は仕事ができるかどうかより、外見にこだわるんだろう?
猛暑なのに学校で運動会の行進を乱れなく何百回も練習させたりするのは明治時代に始まった軍隊方式だ。「ぜんたいとまれ」の「ぜんたい」は「全体」ではなくて「全隊」なんだそう。つまり軍隊の隊列の隊。
特別警報の台風がきても、台風くらい絶対に出社しろという圧力でみんな必死で仕事に向かう。高熱が出ても「熱くらいで休むな」といわれるから会社に行って社内にインフルをうつしてしまう。
こういうのって「心頭を滅却すれば火もまた涼し」みたいな戦前や戦中の精神論みたい。吐き気がする。
そして脚が痛いからヒールがない靴も許可してほしい、というだけの話なのに、俺達もスーツ着てるんだから服装の乱れはダメだというのも昭和の精神論みたい。
なぜ被害者同士でたたきあうのか? 男女でたたきあう問題じゃない。男性だってこういう不必要な強制やパワハラの被害者では。
男らしくしろ、メンタル病んでも前向きにがんばれ、とかいうのは、ほんとに戦中みたいな精神論でやばい。
「女らしく」をあまりに女性に追求しすぎると、逆に男は「男らしく」を求められる。つまり女性を追い込むことで、男性をも追い込んでしまう。男性達は自らの首をしめていってしまうことになるのではないだろうか。
日本は明治時代から学校から会社や社会までが「教化」が好き。学校から会社まで洗脳しようとする傾向が強い。
男性だって強制は辛いでしょう?
男性だって真夏のスーツが辛いなら、特に夏にスーツはやめようっていうムーブメント始めればいいのに。
上の人達も昔の古い価値観や体質や精神論をひきずるのは平成時代の終焉とともにもうやめてほしい。精神論による抑圧は社員の健康を害したり、仕事の効率が下がってしまう。仕事の業績が上がらなきゃ自分達の責任問題になるし、自分の会社が損するだけなのに。
政府は国益をあげたいし、企業は収益をあげたいんでしょ。ならば勤労者が健康的になって、仕事の効率が上がった方が自分達にとっても得だと思うんだけどね。
日本社会の体質や現政権はキューバ等に似てるところがあると私は思う。思想や言論や表現や外見などの自由を上が統制しようとするところがだ。
生まれつき髪が茶色い子はアレルギー体質だから嫌がってるのに学校や無理やり黒に染めさせていた件は世界に衝撃を与えた。世界では人権侵害だと驚かれていた。でも昔から学校では「茶髪証明」や「天然パーマ証明」を出させる学校は多いよね。
日本はヒールで膝や足を痛めた人にも社会人のみだしなみだとヒールはかせる。
外見まで上が強制するなんて軍隊か刑務所みたい。思想や報道の自由がなく国民のメールや手紙や言動を監視しているキューバですら、外見までは統制してないよ。
しかも日本は発言や表現などの自由が憲法で保障されている民主主義の国だ。
日本の憲法25条。
共産国で全体主義で思想統制で自由がないキューバとは違うはず。
性別を問わず、不必要な強制や束縛から逃れて身体的にも精神的にも楽になったほうがいいと私は思うんだけどね。