Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

ダンス全般が風営法対象だって。公民館レッスンさえ

※私は風営法関係の専門家ではないので、風営法とダンスの問題について詳しくは(風営法からダンスを削除する署名運動をしている)Let's dance 委員会 http://www.letsdance.jp/や番組を見て、問い合わせや疑問などはそちらにお願いします。法的なことは風営法関連の弁護士さんに確認してください。
なおサルサ風営法関連については、サルサの団体サルサホットラインの「サルサホットラインのダンス規制法改正の署名活動」をご覧ください。サルサホットラインにはサルサ愛好家の弁護士さんでこの件について協力していらっしゃる方がいます。



クラブの取り締まりが激化してるので、風俗営業法を改正しようという運動が広がっていて、サルサ最大の団体(サルホ)も参加してます。

no dance

しかしサルサ愛好家には「クラブなんていかがわしいところはなくなったほうがいい」、「自分は公民館イベント行くから別にいいよ」、「クラブ行っても終電前に帰るから関係ない」、と言っている人たちもいます。

しかし、サルサのレッスンも、場所が公民館も、クラブを終電前で帰ろうと、昼間にイベント行こうが、風営法の規制対象に入ってるという話をききました。

風営法改正運動って深夜にクラブで踊りたい不良がやってるんだろう、と思ってる方結構いるみたいですが風営法の規制対象はダンス全体の問題であって、クラブだけの問題じゃないようです。

「俺はサルサ好きだけど風営法の問題は関心がない」「私には関係ない」んじゃなくて、サルサ好きな人、ダンス好きな人なら、風営法の問題を知っておいた方がいいかもしれません。

だいいち、”ダンス踊るから”、”ダンス踊らせたから”、ということで取り締まられるなんておかしいと思いませんか?
なんで性風俗といっしょくたにダンス全般が法律で規制されるんだろう。
そんな法律、独裁政権とか戦争中で娯楽禁止という国くらいにしかないのかもしれない(軍事政権の国でもそんな法律ないかも)おかしな法律ですよね。

ダンス好きの人のなかに、風営法のダンス規制の反対に対して批判的な人が結構いるので、このトピックを書くことにしました。

この風営法にダンス項目があるかぎり、どのダンスがいつ攻撃対象になるかわからないという不安をずっと抱えていかなければないです。


私は6年前から風営法の取り締まりについて書いてきました。


以前ブログで、社交ダンスは改正により風営法の規制からはずれた、と書いちゃったのですが、社交ダンスはまだ風営法規制下にあることがわかりました。
改正されたのは社交ダンスだけなので、社交ダンスと風営法の関係を知らないと他のダンスの風営法規制についても分からないですよね。
私がいろいろ調べたところでは。。。



映画shall we danceによる社交ダンスブームに伴って改正運動がおき、国会議員何人かに社交ダンスをしてる議員がいたのでその議員達に社交ダンスが働きかけ動いたくれたので、社交ダンスに関してのみ1998年に改正された。
しかし改正後も  社交ダンスは「ダンススクール以外での場所(ダンスホール、クラブ、公民館等)での、ダンス教習やパーティーは、未だもって風営法の対象に含まれたまま」 。

しかも風営法が改正されたら、公安委員会が政令で監督する社団法人全日本ダンス協会連合会(ANAD)及び財団法人日本ボールルームダンス連盟(JBDF)の二つの団体が実施する教師試験を修了した教師がいるダンス教室だけが風営法でOKになった。
ダンス教室をするにはその2団体の先生がいなければならなくなってしまった。

風営法の改正により「国家の規制の枠内でのみ運用が許されてるようになったので、かえって国家から干渉を受けるようになり、規制緩和に逆行するものだった」、と社交ダンスのサイトに書かれていました。
(社交ダンスと風営法については、「社交ダンス関係法令案」 など参照)






風営法でダンスに関しては、

” 客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く“

とあります。

政令で定めるダンス講習を受けて認可された者というのは
社団法人全日本ダンス協会連合会 
または 
財団法人日本ボールルームダンス連盟の2団体によるダンス講習を履修して認定された先生、ということです。

⇒ そしてこの2団体は 社交ダンスの団体 なのです。

全日本ダンス協会” とあるから、他のダンスも含まれてるんだろうと誤解してる人がいるようですが、社交ダンスだけです。
社交ダンスのところで説明したように、社交ダンスの2団体から認可された先生のみ、風営法で認められてます。


日本最大のサルサ団体のサルサホットライン(SHJ)が、風営法からダンスを削除する署名を集めるLet's Dance委員会の活動に参加して署名集めしています。

サルホのサイト(
「サルサホットラインのダンス規制法改正の署名活動
)に、

「ダンススタジオでのサルサレッスンは風営法違反にあたるか?」  という質問に対して

政令による) “「認定ダンス講師」以外が行うダンス レッスンは基本的には「風俗営業」に該当する可能性があるということになります。” と弁護士さんが答えていました。



サルサの先生で、上記の2団体の認定教師である先生っていらっしゃるんでしょうか。
もしかしてもともと社交ダンス(社交のラテンなど)をやっていた方がサルサの先生になっている方のなかには社交ダンスの2団体に認定された教師もいらっしゃるかもしれません。
しかしほとんどの先生はそんな資格持ってらっしゃらないんじゃないかと思います。
ましてやキューバ人など外国人の先生なんて無理…。



公民館イベントの場合、サルサのレッスンはただじゃなくてお金をとってるところがほとんど(会費も含む)だし、イベントならレッスン料や入場料のほかにドリンク代も有料だったりするから、レッスンもイベントも「営業」に入ってしまう可能性が高いという専門家の話をききました。公民館イベントにはかなり収益あげてるところもあります。それだけの収益をあげてたらもう立派な営業とみられてしまう可能性があるとききました。

またサルサの先生たちによると、サルサバーやイベントでのライブやパフォーマンスも入場料をとってるので、風営法取り締まりへの風向きを心配してるとのこと。

またサルホの人によると、公にはなっていないけど、サルサバーなどのなかには自主的にもうレッスンをやらなくなったところもいくつもあるそうです(取り締まりが怖いから)。


それに社交ダンスでは2団体の認定教師がやってるダンススクールのみ風営法対象外なので、それ以外の場所でやるレッスンやイベントは今もって風営法対象なんだそうです。


新聞に、「社交ダンス教室違法?」という見出しでこんな記事がありました。

「参加者から会費を取る社交ダンスパーティーは、風営法の規制対象になる場合があります。施設を貸し出す際は注意して
高知市高齢者支援課が7月末、公民館などを所管する市役所内の部署に対し、そんな内容の文書を出した。

各施設では、お年寄りの愛好者らがダンスを楽しんでいる。それを風営法で規制? 突然の通知に関係者は「知らなかった」「社交ダンスは単なる趣味なのに」…。 (「公民館などの社交ダンス教室違法?」


公民館に警察が取り締まりに入って逮捕するとは思えないけど、公民館を貸す側が高知の例のように風営法上の理由で自主規制する、ことは他の県でもててくる可能性もないとはいえません。


社交ダンスでさえ規制を受けてるんだから、サルサなんてどうなることやら…。


ベルファーレのような大型ディスコはディスコとして営業許可とれるけど、店舗面積が大きくてダンスフロアも広くなければならないし、12時(地域によって1時)で閉店しなければならないし、だいいち許可とるのは大変です。
一方クラブは、バーやレストランとして許可とってるから、ダンスさせてればほんとは風営法的にはダメなのです。ディスコ並みの大きな店舗のクラブも摘発されて閉店させられてます。


風営法があっても以前はグレーゾーンで見逃されていたんですが、それがこのごろ取り締まりが激化しています。
しかもダンスはしてないけど、ライブハウスやライブやってる店も全国で手入れはいって閉店させられています。

今は大阪中心とした関西の取り締まりが激しくてもうすでに40軒以上のクラブやライブハウスが取り締まられて経営者がたくさん逮捕されたり店が閉鎖されてるそうです。
東京圏も取り締まりがどんどん広がっていてこのまえは渋谷のクラブにも取り締まり入ったし、東京も大阪みたいに拡大していくんじゃないかという心配があります。


風営法って知れば知るほどおそろしいですね~。

社交ダンスの人たちが、「ダンスする人たちは一度 風俗営業法を読んでみたほうがいい」って書いてました。


クラブが深夜営業するからよくないとか、クラブは犯罪の温床みたいにイメージが悪いから風営法から外してもらえなんじゃないのかと言ってる人は多いです。

でもたいていのダンススクールやダンスイベントやクラブはダンス好きが集まってるだけです。

しかしいままでいろんなジャンルのクラブを見ていると、お金儲かるという理由だけでダンスなんてどうでもいいマフィアなどが経営してる一部のクラブや踊れるバーに、けんかとかドラッグとか問題を起こすところがあるように思えます。
ダンス好きのクラバーからしてみたら、そういう店と一緒にされるのは苦々しいです。
一部の違法行為を取り締まるために、ダンスがダメとダンスイベントやクラブをひとくくりにして一斉に取り締まるのは変だと思います。

違法行為は「刑法」で罰すればいいでしょう。
ドラッグとか暴力などの違法行為は警察がパトロール入って、セキュリティももっと厳しくしてどんどん取り締まってください。こちらもクラブ内や繁華街で安心して過ごしたいし。
警察が取り締まるべきは風営法によるダンスじゃなくて、市民の安全を守るために犯罪行為を取り締まることでは?


それに昭和23年に制定された古い風営法を異様に維持したがるし、たとえ改正してもかえって統制を強めたって変じゃない? 
クラブが近所迷惑とかそういうことなら条例で規制したり、セキュリティやパトロールを強めればいい話。
国がここまで風営法固執するのはもしかして国民の思想統制や行動統制のためでは?…という気がしてきます。

ダンスだけではなくて表現の自由までが国によって過剰規制されることに不安を感じてます。



戦前にも風営法にあたるものがあったか調べてみたら明治時代の初期から「風俗ヲ正シフスル事」と規定があったそう。「警務要書」は、「風俗警察 ハ浪遊、醜猥、妄誕等凡ソ風俗ヲ壊乱シ人身ヲ誑惑シ生業ヲ荒廃スルモノ ヲ監査防御スルニ在リ」とあるそうです。
風俗警察ってあったんだ。
その後昭和に入ってからの戦争前や戦争中はご存知のとおり、娯楽はほとんど禁止されてたんで。

お年寄りにきいてみたら、この風営法の問題は戦前の日本の暗い時代を思い出すって言ってました。戦前は娯楽や思想からどんどん禁止されていって、気がついたらがんじがらめになってた、って。


ダンスしてはいけない国 なんて世界も驚くだろう。
GNP3位の先進国がこんなことやってるなんて、世界のびっくりニュースだよ!


このダンス規制法改正運動も、「お上になんとかしていただく。。。」のではなくて、私たちは民主主義の国に住んでるんだからおかしい法律はみんなで変えていかなきゃいけないのかもしれません。
そして改正と引き換えの妥協でかえって規制を受けるようになってしまった社交ダンスのようなめにあわないようにする注意が必要だと思います。


日本人はもともと踊りが好きな国民。
世界の人も太古の時代からずっとダンスを踊ってきたのです。
日本のダンス文化やクラブカルチャーを守っていきましょう。
ダンスを堂々と踊って楽しめる国にしていきたいから。



<追記>
上記のトピックに対して、“警察は怖いから警察に逆らうなと言ってるのか、まるで警察のまわし者が書いた文章のようだ” という批判が1件来ました。私の一連の風営法ダンス規制について書いた記事を読めばそんなこと言ってないのはわかると思いますが。
私が言いたかったのは、

風営法性風俗店と一緒に公民館での高齢者の社交ダンス教室まで規制するナンセンスな法律。これは深夜のクラブ問題だけではないから、ダンスが好きな人には多かれ少なかれ関係がある。国の過剰規制はみんなで一緒に考えたほうがいい問題じゃないかと思う、ということです。


<さらに追記>
上記の高知県の役所の公民館ダンス教室への通達の記事について弁護士さんが後日書いてました。
「会費制ダンスパーティは風営法違反?」

<さらに追記>
9月12日に風営法のダンス規制撤廃を考えるイベントが行われて、サルサの有名インストラクターmitsue先生やサルサシンガーで早稲田大学の先生の岩村先生、サルホの代表ジョージ渡部氏、サルサを愛する弁護士の和知さんらが、パネラーとして参加してサルサの見地から風営法について発言されてました。
元sudadaのオーナーもインタビューに答えてました。
http://www.ustream.tv/channel/letsdancetv  を見てください (サルサの部は開始25分位から)


<追記>
2012年の夏に江の島のビーチの海の家に警察の手入れがはいったそうです。
理由は客にダンスさせてたから。
ダンスさせるなら逮捕するぞ、海の家組合で営業許可をはく奪するぞ、という。

今、全国で風営法によって取り締まわれてるクラブがたくさんありますが、この機に乗じて海の家を風営法で取り締まってもらおうという住民と市会議員の動きがあります。
海の家は風営法の許可をとってないし、風営法ではダンスさせていけないだろ、という主張らしい。
風営法で取りしまわれるのでダンスしないでください」という張り紙をはった海の家もあったとか。。。
海の家の場合は、住民が騒音と、ライブによって有名になって海水浴客が増えたけどその人たちのマナーが悪すぎる治安が悪化してる、と怒っているので、どっちかというとダンスよりもマナー悪さの問題のほうが大きいと思います。
それについてはブログ内過去記事の、「ビーチサルサの危機」 を参照してください。


<さらに追記>
まったくお金をとってない無料のダンスイベントとか、公園で踊るなら、風営法と関係ないだろうと言われたこともあります。
でも2000年に私は、すごい大きな公園でのテクノのイベントに参加しました。
毎回警察の手入れが入って中止させられ、どんどん場所が移って日時や場所を公表しないでやるゲリラ的になり、どんどん小規模になりました。
お金もとらないし音も低くしてるしゴミも自分たちで全部回収してるし、ドラッグもお酒もなくてジュースのペットボトル持ってきてたんに日暮れあとに公園の片隅で踊ってるだけです。
それでも取り締まりで消滅しちゃいましたよ。



この風営法問題について、「踊ってはいけない国 日本 --- 風営法問題と過剰規制される社会」という本が先週出版されました。


※ 追記

11月21日に警視庁から風営法のダンス項目に関するパブリックコメントの回答が出されました。それによって風営法のダンス規制一部が改正されました。

ただし、盆踊りやヒップホップのダンス教室のようなものは風営法の取り締まり対象とは考えてないが、
ペアダンスは「男女間の享楽的雰囲気が過度にわたり、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるから」取り締まりの対象とのこと。

つまり、社交ダンスやサルサなどのペアダンスがターゲットになってしまいました。
詳しくは私が書いた 「風営法の標的はペアダンスだった」 を参照のこと






<ブログ内関連過去記事>

「震災後、”元気を出せ”っていいながらダンスを奪う日本」
「風営法の標的はペアダンスだった」
「サルサのどこが善良な風俗を害するペアダンスなの?」
「ダンスはいくら弾圧しても死なない」
「サルサバーが閉まっていく 」
「ダンスは善良な風俗を害するもの
「ビーチサルサの危機」
「閑散…クラブではNo dancing」
「クラブの取り締まりに対抗するには」
「ビーチサルサの危機」
「閑散…クラブではNo dancing」
「あのクラブまでもがクローズ!」

2006年に私が書いたクラブ取り締まりに対する過去記事
「クラブ消滅の危機」
「六本木のクラブ、閉鎖」

ブログのカテゴリーとして 「クラブの取り締まり・閉店」 。 → 6年前からクラブの取り締まりと取り締まりによる閉店について何度も書いてます(ジャンルはラテンだけでなくテクノなどクラブ全般)