なぜ日本のクラブやダンスイベントは排他的なんだろうか?
今週久しぶりにクラブミュージックのイベントに行ってきました。
私が昔から大ファンである、ハウスの大御所DJが来日。東京のAgehaでのMasters At Work。ハウスだからクラブ・ミュージックだし。Agehaは収容人数が2500人近い大箱です。
乳幼児含む子供も入場OKでした。客層の世代は乳幼児から児童、若者から中高年まで。そして人種や国籍もいろいろ。客層が非常に幅広かったです。
酔っぱらいのけんかもなく、ナンパも見なかったし、セクハラや痴漢もないイベントで過ごしやすかったです。
去年同じイベントに行った時にはフロアで加熱タバコはOKだったんです。息苦しくなり家に帰ってから喘息発作がおきました。だから今年は行くのをためらってましたが、告知に「全面禁煙」と書いてあり、吸いたい人は屋外の喫煙所でとのこと。だから行くことができてうれしかったです。(でも実際は、VIP席の方からタバコのにおいがかなりしてきたし、DJブース横の扉があいていてそこからタバコの煙が入ってきてたんでがっかりしましたが)
今回のイベントでは最寄駅からベビーカーや子連れの人が多かったです。屋上にも別のフロアがあり子供達は外で踊ってる子が多かったみたい。「子供が生まれてから一度も踊りに行けなかったので、久々に踊りに来れてうれしい」と言ってるお母さん達を見ました。
私は前から障碍者も楽しめるクラブがあったらいいのにと思ってました。
クラブによっては巨大スピーカーの爆音で床が振動してから、あのすごい振動なら聴覚障碍者も感じられるのではないかとか考えてました。
今回のイベントの開催場所は巨大な場所で、大スピーカーがたくさんあって場所によっては床が振動してました。車いすのお客さんもきてたけど、バリアフリーだからよかったと思います。
このイベントの開催側に関わってる人には、毎年湘南の江ノ島でやっている屋外のDJと音楽イベント(Freedom Sunset) も主催している。江ノ島の灯台の上でやるので景色はいい。
去年は喫煙所がありましたが、今年は施設からの要望で全面禁止になりました。
乳幼児から入場できるから家族連れが多いし、年齢層がさまざま、人種もさまざま。
DJがプレイする音楽に合わせてみんなで手をつないで踊って笑いあったりして。すごいピースフル。私の好きなイベントです。
主催者にあとで感想を言ったら、”自分達は人種も男女も世代も関係なくみんなが楽しめる空間を目指してイベントを作ってる” というような事を言ってました。
なるほど。
そういう主催者の理念や視線の優しさを感じました。
●日本のクラブの問題
でも他のクラブやイベントにはあまりそういう理念や優しさを感じないところが多いと思います。
私はDJだし、クラブでもプレイしていたし、それに長年クラブに客としても踊りに行ってるクラバーです。
でもクラブの受動喫煙で喘息になりました。
日本にはクラブで禁煙のところはないから、クラブにはもうタバコのせいでいけなくなくなりました。
クラブに行けなくなってから週末の夜に家にいることが増えました。
今は自分でイベントを主催してDJやって、完全禁煙のイベントをやってますが、完全禁煙店で音出ししてダンスしてもいい店が見つからないんです。2年も探しているのに。
しょうがないので、喫煙店(分煙店)を貸し切りにしてイベントの時だけ完全禁煙でやってます。クラブも貸し切りでイベントやってます。クラブに入れるのは自分のイベントだけです。
でも服も髪も機材もタバコ臭くなるし、イベント後の1週間は体調悪くなります。それに、イベントの貸し切り時間が終わったらすぐ店が灰皿出すんです。まだ退出してない私の客からはクレームでるし、他の客がタバコ吸いだすと私の客はみんな店を出ちゃうし、私は撤収作業中にタバコ吸われたら致命的です。店はせっかくイベントで集客できたんだからその客がイベント後も残って飲んでくれた方がいいのに、灰皿出したら客が帰っちゃうことになぜ気づかないんだろうって思います。私もイベント後に残って客と飲んだり話したいと思いますが、タバコが出たら速攻で店出ますし。私が帰れば客も帰りますよね。
しかも自分が主催でDJだと忙しくて踊る暇がなかなかありません。だから他の人のイベントや店に踊りに行きたいんですよね。
やっぱ週末はいい音や爆音で、一切を忘れて音楽のシャワーを浴びたい。
ダンス大好きだから、踊ればストレスもなくなって楽しくなる。
音楽とダンス命なのに、その生きがいがタバコのせいで奪われてかごに入れられた鳥みたいに感じています。
クラブでストレス
でもクラブに行けなくなったら、ストレスが減った点もあります。
日本でクラブから家に戻ると髪も服も、ロッカーに入れた上着もバッグもすべてヤニ臭いです。オールで帰ってきて眠くて疲れるのに、まず髪を洗って服もバッグもすべて洗濯します。服や髪についたタバコの有害物質を家にまきちらさないように。
クラブに行く時は、ヤニ臭くなろうがお酒こぼされても大丈夫なように、汚れてもいいし丸洗いできる服しか着ないです。バッグも洗えるナイロンや布地のしか持って行かない。靴は踏まれたりタバコのヤニで汚れるので、汚れてもいい靴しかはかないです。
私はラテン音楽のDJだから中南米に住んでたんだけど、中南米人はクラブに行く前に美容院に行ってシャワー必ずあびて香水つけるしばっちりメイクして何時間もおしゃれします。
けど日本在住の南米人は工場の仕事から直行でクラブに行く人も少なくないです。彼らにきいてみたら、日本のクラブはどうせタバコでヤニ臭くなるしクラブで汚れるから、シャワー浴びなくて汚れたままでもきづかれないからだそうですよ。
私も海外ではクラブに行く時にすごい気合いいれておしゃれするけど、日本ではクラブに行く時は逆におしゃれできないです。
それに日本のクラブにはセクハラや痴漢が多い店が多いです。
ちゃらくてナンパが多いクラブにはまだ痴漢やセクハラはよくあります。音箱といわれる音楽好きが集まるクラブでも、ラテンの一部の店でもセクハラや痴漢はあります。
歓楽街の混んでるバーでも、痴漢があります。私はバー内を歩いてたら知らない人からいきなりヒップ触られたり胸をわしづかみにされたことありますよ。
ラテンのクラブは男女ペアでおどるので、それをいいことにセクハラする男がなかにはいます。エントランス1000円も払えばいろんな女性の手をにぎれるし背中や腰に手をまわせるからキャバクラより安い、とか言ってる連中もいるんですよ。特に若い女性がおじさんに狙われやすくて、「もう二度とこんなところ来たくない」と私に女の子が何人も泣きついてきました。
いろんなクラブでの悪質な痴漢にいたっては、通路歩いてたら身体触ったり、ダンスしてる最中に股間おしつけてきたり、ひどい場合は腕ひっぱってトイレの個室にひきずりこもうとしたり、男性複数で女性をサンドイッチに挟んで押し付けたりすることもありました。
あまりのひどい痴漢に泣いちゃう子もいるし、店のセキュリティに痴漢がひどいから助けてとお願いしても対処してくれない。
私も若い時からクラブのセキュリティにあまりの痴漢のひどさやしつこいナンパに追いかけまわされて怖くてクラブのセキュリティに助けてといいましたが「え?」としらんぷりしたり、「なんで俺が対処しなきゃいけないのか」と言った人もいます。セキュリティに助けてもらった事は一度もないです。
クラブのセキュリティが対処するのって、酔っぱらい同士のけんかとかくらいでは。客の安全を守るよりは、店も店のスタッフも警察沙汰にならないようにもみけしてる感が強いと思います。
痴漢対策に対して文句いうと、「クラブやバーに来たなら女の方も触られるのを期待してるんだろう」「歓楽街に来る方が悪い」「ノースリーブやスカートはいてるのが悪い」「化粧してるのが悪い」「クラブというのは男女のインビなことがあるのがいいんだから、それがなくなったらつまらなくなる」などとクラブは言い訳します。
それに海外はタクシー安いし友達の車で来てる事もあるから、疲れた時にいつでも帰れる。
けど日本は終電過ぎたら始発まで帰れない。どんなに眠くても疲れてても始発までおきていなきゃいけない。クラブ内でうとうとするとスタッフに怒られるので。始発までがんばってあちこちはしごすれば、お酒もたくさん飲んでべろべろに酔っ払ったり、お金も散財する。クラブは席がなくて立ちっぱなしなので足が痛くなる。
それに日本ではクラブで飲みものをテーブルにおいて、1曲踊って戻ってきたらもう飲み物盗られています。店のスタッフにいったら、ドリンク高いからドリンクを盗む人がいるそうです。見てると他人のドリンクとわかっているのに盗み飲みしてる人達がいました。
5分位置いてた化粧ポーチを盗られコスメが全部なくなったり、クラブ内ですりにあったし、バーで隣の椅子においてたバッグの置き引きにあったこともあります。
警察に被害報告に行くと「歓楽街に行く方が悪い」 「その店よく犯罪おきてるからしょうがない。なんでそんな店に行ったのか」「六本木は危ないんだよ。酔っぱらいの女性がレイプされたり、拉致されてるのを知らないのか」と怒られました。
え、拉致? いやいや警察はそんな犯罪頻発する店を摘発するべきだし、歓楽街をもっとパトロールしてよ、って思いますが。
始発までがんばってやっと朝5時にクラブの外に出ると、酔っぱらいがけんかしてるし、ナンパできなかった男達が必死で最後のお持ち帰りを探そうと女性に声かけまくり、カラスがゴミをつついてる中を歩いて駅まで向かい、痛い足をひきずって帰宅の途へ。
家に着いたらくたくたなのに、タバコ臭い髪や服を洗う。タバコでのどや胸が痛くて、寝ていると呼吸困難をおこす。
これの繰り返しだったんです。
DJの場合は仕事だから10時間缶詰とかだし、仕事だからパワハラもあるし、女性DJにはセクハラがあることもあったし、ほんとにしんどかったなーと思います。
クラブのタバコ問題
タバコとクラブの話。
私はクラブの受動喫煙で喘息になりました。クラブから帰って呼吸困難をおこして救急へ。喘息と診断。
でもクラバーだしクラブDJでもあるからやめられず我慢してたら、発作がひどくなりついに入院。医者から「タバコで突然死してもいいのか」とタバコのあるところ禁止とドクターストップがかかりました。
イベントに主催者やDJから招待されてもタバコがあるイベントだとどんなに行きたくても断らなきゃいけないので辛いです。本心からいきたいイベントが多いし、相手も仲いい人やお世話になってる人が多いのに。
クラブじゃなくてレストランやバーでのイベントでも大半がタバコがある店なので断わるしかない。
人間関係やコネが重要なクラブ界でそれは致命的です。
ここ数年はプライベートでも踊りや飲みにいったりダンスイベントや音楽イベントにもタバコのせいでいけなくなってしまいました。
行きたい店やイベントはたくさんあるのに、告知を見るたびに悔しくて地団駄ふんでいます。
私が知りうる限り日本に完全禁煙のクラブは存在しないです。
というと「あのクラブは禁煙ですよ」と教えてくれる人が必ずいるのですが、店のHPや見取り図を見たり店に問い合わせると、分煙か、屋内に喫煙所があるか、加熱タバコや電子タバコは可(IQOSやPloomtechやGloなど)という店ばかり。
たぶんタバコの有害性をわかってなくて煙をさえぎればOKと思ってる店や人が日本には多いからだろうと思います。分煙って日本ルールだし意味がないと国連WHOから日本は怒られたんですけどね。
タバコの有害物質があるところは喫煙店です。分煙OKというのは日本ルール。タバコの副流煙から出る7000種類の化学物質の中にある大量の有害物質が問題。発がん性物質64種類以上で、スパイが暗殺に使うポロニウムという放射性物質まで入ってます。PM2.5やPM10のようにマスクの穴を通る微粒子も揮発性ガスも入ってます。
PM2.5の値はタバコ1本で3200。
IQOSでも1本吸うと20秒でPM2.5は1000を越えます(どのくらいまであがるかは知らない)。
PM2.5って、70を超えたら外出しないようにテレビや役所から注意喚起される値ですよ。中国の黄砂より、目の前にある危険。
つまり、加熱タバコにも発がん性物質もPM2.5などが入ってます。アイコスなどの加熱タバコは煙が見えないからまわりからわかりづらいだけで、非喫煙者はヤニ臭いからすぐ匂いに気づくし、私みたいな受動喫煙で健康を害した人は加熱タバコがあるところに行くと頭を殴られたような衝撃がきます。
実は最初に紹介したそのイベントは完全禁煙と主催者は言ってましたが、正直言うとVIP席の近くはタバコ臭かったです。喫煙所まで行くのがかったるくて加熱タバコ吸った人がいるんだと思います。
屋内の喫煙所はドアをあけるたびに外に有害物質が流出するし、完璧に密閉できる喫煙所なんて理論的に作れないそうです。
日本は世界最悪のタバコ天国なので、日本の常識は世界の非常識。
加熱タバコのアイコスやGloは、それを生産してる本国の米では認可されてません。タイだって電子タバコや加熱タバコは持ち込み禁止で持ってるだけで逮捕だから、タイに来た日本人が多数逮捕されてるそうです。
日本は喫煙率は2年前で17%なので(成人だけで)、未成年を入れるともっと低い。それにタバコで病気になる人が多いし生活が苦しくなったからか、今年はタバコの売り上げがだいぶ減ったそうです。
国民の85%以上が非喫煙者なのに、喫煙店が多すぎ。タバコが嫌な人には入れない店がまだまだ多すぎます。
私は喫煙店に行かないし日本は禁煙法がないから、喫煙店に禁煙店にしろと強制してるわけじゃないんです。
でもクラブみたいに禁煙店が一軒もないなら、選択肢がないじゃないですか?
選択肢がまったくないというのは辛すぎる。
なぜ完全禁煙のクラブがまったく存在しないんだろうか、と思ってます。
「俺にタバコやめろと言ってるのか」 「俺は自己責任で吸ってる」と怒る人もいるけど、私は恋人でも家族でもない人にタバコをやめろとは言いません。その人が喫煙をやめるかどうかは私にはなんの関係もないので。
ま、私はタバコのせいでクラブに行けなくなってから、上記のようないろんなストレスがなくなって正直楽になりました。
●海外のクラブとの違い
私は長年のクラバーだし、クラブでDJもやっていました。クラブカルチャーは大好きで「死ぬまでクラバー」と言ってます。
けど日本ではクラブ界に関わるとストレスも非常に大きいです。
海外ではクラブによく踊りに行くし、海外のクラブでもDJやった事あります。
けれど海外のクラブでは日本のクラブでありがちな事はほとんど経験したことないです。
私はラテンDJなので中南米に住んでいました。
たとえば私が住んでた南米のコロンビアのクラブは、
ー 国の法律で公共の場は完全禁煙なので、クラブ内はもちろんクラブの外でも吸ってる人がいない。
ー グループごとにソファ席に通すので自分の席があり席ごとに担当のスタッフがつくので飲み物や持ち物が盗まれることはない。
ー クラブ内にセキュリティが多い。トイレにいることも。
ー クラブの入り口では空港のような身体検査や荷物検査がある。
ー 南米人はグループでクラブに来るし、セキュリティが厳しいため、クラブ内でしつこいナンパや、セクハラや痴漢などがない。
ー タクシーや車で来ているので、好きな時に帰宅できる。次の日に仕事もできる。
ー タバコないし酔っぱらいに酒ひっかけられたりすることもなく、自分のソファ席に座れるし車で帰れるから、12㎝ヒールにミニワンピなど週末は美容院まで行って思いっきりおしゃれしてくる人が多い。
ー 私が住んでいたコロンビアの都市はダンスと音楽が盛んだし、クラブカルチャーがすごいので、平日でもクラブがにぎわってる。花木、花金、土曜日、日曜日が週4日は混みあう。
だから疲れないし、タバコ臭い服を洗う必要もないし、クラブにいくたびに健康を害することもなく、昼間で寝て休日を台無しにすることもない。
ラテンアメリカ人は、クラブに週末に行くとすんごい散財します。クラブでつかうお金は、中南米人の方が日本人よりずっと多いですよ。
みんなグループやカップルでやってきてボトルを何本も頼みます。中南米は二人で来てもドリンクはボトルで注文なので(カクテルのグラスやビール小瓶は出さないクラブが多い)。例えば私がいたコロンビアの地方都市はラムのボトル一本が5000円位で、それにコーラなどのソフトドリンク代(ラムと混ぜるため)、氷代、とウェイターへのチップ代。ボトル何本もがんがん頼むし入場料もとられてる。1つのテーブルでボトルを数本頼むのが普通です。
たとえばこのビデオは私が住んでいた南米コロンビアのカリ市にあるクラブ。
このビデオを見るとわかるように店内の3分の1以上はソファ席が並んでいます。
ボックス席みたいになっているから、隣のグループと離れておりプライバシーがある。それぞれの席に担当のウェイターがつきます。他の人は座れないから荷物置いてても盗られない。
人気のクラブは週末予約する人が多いです。席が予約で全部埋まってしまうクラブも多いです。何千人も入る大箱でも。
でもたいていのクラブは席に座れないということはないです。それくらいソファ席が多い。
でダンスフロアはこんな感じ。
自分のソファ席で踊るグループも映ってますが、テーブルにたくさんラムのボトルがあるのがわかるでしょうか。
ボトル1本は5000円とか6000円位ですかね(数年前の料金で)。
ラムと一緒に飲むコーラや水や氷も頼むからその代金もとられるし、担当のウェイターにチップも払います。
2階や3階にバルコニー席があり、そういう席はさらにシート料金が非常に高いです。VIP席もあります。
こういうクラブは平日の週の前半でも数百人はきてます。週末は数千人です。
こんなに盛り上がってるけど、法律で完全禁煙、店の外でもタバコ吸ってる人いない、ドラッグなし、痴漢なし、セクハラなし、けんかなしですよ。セキュリティもたくさんいて安心。
私は欧米先進国にも住んだし、旅行に行った先であちこちでクラブに行ってるし、旅行の時はクラブに行く為に週末を入れるような日程にしてるし。
海外でもいろいろクラブ見てます。
海外に比べると日本のクラブやダンスイベントって排他的だなって思うんですよね。
日本に旅行に来たり住んでいる外国人かも、日本のクラブはナンパや痴漢が多くて嫌だ、タバコがすごくて目やのどが痛くなる、という文句をよくききます。日本のクラブに最初は行ってみたけど、嫌な思いをしてもう行かなくなった人も多いです。
だからこれだけ外国人観光客が日本に来てるのに、日本のクラブは観光スポットになる店がほとんどないんでしょうね。口コミ情報も威力が大きいので。
●クラブへの客足が減った理由
今は昔と違って日本の飲食店や繁華街は厳しい状況です。
去年の日本の飲食店の倒産は過去最高でした。確か去年は4000軒。
長らく歓楽街でバーを経営している知り合いが、六本木などの歓楽街はほんとうに客足が激減したと言いました。確かにバブル崩壊後の90年代後半に比べても、週末の六本木は客が激減したと思います。
特に今年はあちこちの歓楽街が週末の夜でも静かだと都内を流してるタクシー運転手たちが言ってるそうです。小売店の売り上げも悪く服もあまり売れてない。
消費税が上がればもっと売り上げは落ちるでしょうし、外に飲みに行ったり踊りに行く人は減るでしょう。
クラブは以前よりも集客が大変。
イベントもエントランス料金をぎりぎりまで安くしないと、「お金がないから」と言われて来てくれる人がなかなかいません。
有名なクラブDJでも昔に比べると仕事がかなり減ったそうです。
それは風営法によるクラブ取り締まりや改正風営法の特定遊興が大いに関係して、ただでさえ経営が厳しいクラブや飲食店を閉店に追い込んでいます。
小さい店はもっと大変です。
でも風営法が日本になかったとしても、日本のクラブはみんなにとって魅力的なのでしょうか?
海外ではクラブやクラブ街が観光名所になっているところが結構あります。
けれど日本に観光スポットになるようなクラブやクラブ街があるでしょうか?
しかも日本の今の若い世代には週末に飲みやクラブに行かないで、家でyou tube見たりストリーミングサービスで音楽きいてる人が多いです。
お金がないことも一番の原因ですけど。でもお金があっても、それほどクラブや外飲みに別に魅力を感じていない。
上の世代は、「今の若い奴は週末も家でひきこもりかよ」とバカにします。
でも私は自分がクラブやバーに行けなくなったらクラブに行きたくない人の気持ちがわかるようになりました。家にいるほうが楽だしストレスがないもん。
お金ないこの時代に、行けば散財するうえに、かえってストレスがたまるバーやクラブにわざわざ行く価値があるんでしょうか?
クラブ界の人や常連達には「クラブにはタバコと酒とナンパがつきもの」 と言う人が多いです。
しかも人によってはそれにドラッグが入る場合もあります。
私はクラブにはたばことナンパとドラッグがつきものとは思わないです。
タバコは他人の健康を害します。
しつこいナンパやセクハラを嫌がってる女性は非常に多い。
痴漢やドラッグは犯罪です。
音楽とダンスを楽しむ為に、なぜタバコやナンパやドラッグが必須なんだろう?
もう70年代じゃないのに。
そこに考え方の差を感じます。
若い世代は喫煙率も低いし夜遊びする人も減ったので「老害」と怒るけど、中年だってタバコや痴漢やハラスメントを嫌がってる人はたくさんいますよ。
私はクラブ界にいながらクラブの問題をこうしてはっきり言っちゃうし、自分はハラスメントがないイベントを開催してるので、クラブ界の人やクラブの常連達からよく相談がきます。クラブの有名な常連達が「タバコってほんとうに嫌だよね。俺も行くたびにのどが痛くなる」と私に言ってくる人多いんですよ。
え、あんなに夜遊びの達人なのにほんとはそんなこと思ってたんだ ってびっくりします。
DJとかオーガナイザーや、クラブ常連の人達が私に「自分もほんとうはタバコ嫌なんだ。けれどタバコがない店がないし、タバコに文句いうとオファーが来なくなる」と言ってきます。
なかにはタバコの受動喫煙で身体を壊したと言ってる店のオーナーも何人もいるんですよ。
そう、DJやクラブ関係者に、受動喫煙で喘息や呼吸器系の病気になったという人は何人もいますよ。クラブのタバコで身体壊したのは私一人じゃないです。店のオーナーで、自分の店の受動喫煙で喘息になったのに、常連客に喫煙者が多いからと我慢してる人もいますよ。
経営者ならスタッフの健康も考えてほしいです。お客さんの健康はなおさら。
でも禁煙にすれば客が来なくなる、と主張する飲食店は多いです。
でも私が今回行った東京でのイベントは完全禁煙だったけど、何千人も入ってましたよ。しかも日曜日の午後から夜9時です。
全面禁煙になった今年のイベントは、加熱タバコOKだった去年よりも、若い世代や女性が増えたような気がします。
タバコがないと客が来ない、と言ってる店やイベントは、逆に言うとタバコがないと客が来てくれない店やイベントなのでは?
音楽で勝負できるならタバコは関係ないのでは?
タバコだめな人はタバコのある店に入れないけど、喫煙者は禁煙店に入れます。
それにタバコのニコチン依存症でイライラする喫煙者は外に吸いにいきますからね。喫煙者は禁煙店や禁煙イベントに来れるわけです。
けど喫煙にすると、タバコが嫌な人やタバコで健康を害してる人は排除されるわけですよ。
ってことは、この飲食店にとって厳しい時代なのに、さらに15%しかいない喫煙者を相手にビジネスしてるわけですからね。どう考えてもビジネス的に成功してるとは思えないです。
禁煙店にすれば、100%を相手にビジネスできるのになあ。
しかも若い世代の方が喫煙率低いし女性の方が喫煙者少ないので(中高年男性に喫煙者が多い)、喫煙店はおじさんが多くなるのでは? クラブの年齢層があがったといわれているし、確かに40代の男性が多いなと思います。それは喫煙と関係あるんじゃないでしょうか?
客の何割かもタバコを我慢してる非喫煙者がいるので、我慢できなくなったら来なくなるでしょう。
そういう話をすると、「嫌煙家が喫煙店に来て文句言うな」「タバコが嫌ならうちの店にくるな」「日本に気に入らないことがあるなら、日本を出ていけ」「この嫌煙ファシスト」 とか非難してくる人達がいます。
私は受動喫煙で身体壊した人は喫煙店にはいかないので、喫煙店に入るわけがない。
カフェと違って、クラブには禁煙店が存在しないので選択肢がないんですよ。
オール オア ナッシング。
「日本に文句あるなら出ていけ」 「嫌なら出ていけ」と恫喝する人が最近日本に増えましたね。
出ていけ、って非常に排外的で差別的な言葉だと思います。
外国人に対して言う人が多いですが、私は日本人なのに日本から出ていけとか言われても。
つまり改善をしようとか話し合おうという気はぜんぜんなく、ただ拒否するか、「嫌なら来るな、嫌なら出ていけ」と罵倒する人達。
そういうところが排他的なんですよ。
自分が嫌なものは排除するだけ。
だからちっともよくならない。
音楽やダンスを愛してるといいながら、音楽やダンス好きの客さえも結果的に排除してるとしか思えない。
海外のクラブはタバコもセクハラや痴漢もないけど、クラブカルチャーやフェスは各国ですんごい盛り上がってるし多額の収益をあげてます。
だからEDMのトップDJは年収が何十億円もあるわけですよ。
日本のDJのなかで、DJだけで食べれる人がいったい何人いるでしょうか。DJをやればやるほど赤字になる人が日本では大半では?
日本のクラブは風営法のせいにするけど、摘発されてもしょうがない違法なことをやってる店もなかにはあります。そういうクラブのせいで他のクラブに迷惑がかかるんです。
それに日本では「30歳過ぎてもまだクラブ」と言う人もいるし、中年やBBAのくせにクラブくるなと悪口言う人もいて、年齢で区切る傾向が強いです。
ナンパをウリにしてるクラブは若い女性に来てもらいたいわけだし。
しかしクラブには、女性を性的なモノ扱いしてセクハラや痴漢する人が多い。
「外国人が来たら盗難が増える」 「外国人が来たら入管に電話しろ」と外国人差別をするクラブの常連もいましたよ。
金さえもうかれば多少悪い面があっても別にいいじゃん、というクラブもある。
ああ、日本のクラブって排他的。。。
もっとバリアを取り払ってバリアフリーな空間を増やしてくれたらいいのにな、と思います。
●みんなが楽しめる空間になってほしい
日本のクラブって排他的でストレスフルな店が多いなって思います。
集客に必死で主催者やDJにノルマ課すし、SNSやネットは宣伝だらけだし、店やイベントに来てくれた客の写真を撮りまくって顔晒してレポするのは普通。
そんなに集客に必死なら、なぜクラブに人がたくさん来てくれないのかを考えたらいいのに…。
なぜもっと広い客層に門戸を開放しないんだろう?
私が指摘する点を改善したら、今まで来なかった人達もきてくれるんじゃないでしょうか?
「クラブはこういうものだ」という思い込みのせいで、クラブに行きたい人さえも来れなくしてるし、クラブの常連だった人の足も遠のかせてるんだと思います。
クラブに行きたいけど行けない、って言ってる人達がどのくらい多いか知ってますか?
私がSNSに今回のイベントのレポ書いたら、そんなイベントなら自分も行きたかったと反応した人が何人もいましたよ。
また、クラブのこういう話をネットに書くと反響が大きいです。
クラブ界からは1つも反応がなく、一般の人からの反応ばかりです。
一度クラブ界は、一般の人にアンケートとってみればいいのに。
わたしにはこういう事をはっきりと発言してるから、たくさんの人から声が届きますけどね。
クラブ界にはそういう嫌な話はノイズだとして耳をふさぐひとが多いのかな。
でもこれは思いやりの問題だと思うんですが。
自分が固執してるものがそこにいる他の誰かを傷つけてないかと思いやること。
あなたの快楽が他の人の苦しみになってませんか?
もっとまわりにおもいやりを持った方がいいのでは。
そうした方が楽しい場になるのでは?
ということなんです。
あ、それから、世代を越えてダンスや音楽を楽しむ話。
中南米はクラブは未成年はダメなんですが、子供から高齢者までダンスを楽しめる環境があります。それはフィエスタが多いからです。
家や家の庭での大きなホームパーティで音楽かけて飲んで踊り、誕生日は家で大きなパーティをして踊る。クリスマスイブから25日までオールで踊り、成人式には結婚式のようなパーティをひらいて踊る、結婚式も踊る、大晦日から元旦の朝まで踊る、など年中踊ってます。
だから中南米人は、僕はお母さんのおなかにいたときからダンスのリズムを知ってる、というわけですよ。赤ちゃんも歩けるようになると、親が手取り足取りダンスを教えます。未成年はクラブに入れなくてもフィエスタで踊れるんです。フィエスタは子供からお年寄りまで踊る。
しかし日本在住の中南米人はフィエスタやったら警察よばれるので、クラブやディスコに行くしかないと言ってます。
南米人ばかりのローカルなクラブはフードやってる店も多いから、早い時間から客が来て飲食したりカラオケやったりして、深夜は踊ってる。
日曜日のお昼は子供の誕生パーティなどをやってます。
日本に住んでる南米人達も、南米系のラテンディスコでは昼間に子供からお年寄りまで踊るわけですよ。
日本は風営法や警察の取り締まりが厳しいからフィエスタを勝手にできないため、クラブやディスコやダンスイベントしか踊るところがないんで。
そんな日本でクラブやダンスイベントやディスコに行けないなら、ダンスや音楽をあきらめるしかなります。ダンス教室や公民館はクラブ系の人にはちょっと違うでしょ。
「ダンスや音楽が命」という人からダンスや音楽を奪うことはしないでほしい。
月に何回かはいい音で音楽楽しみたいし、なにもかも忘れて踊りたいですよ。
社会にはびこる決めつけや枠からも、どこどこのだれだれさんということからも外れてね。
ダンスや音楽のシャワー浴びてダンスに没頭したいです。
音楽やダンスを通してみんなで楽しむ。
これがいまみんなが一番求めてることではないかと思います。
クラブカルチャーはもともとは、貧困層とか、黒人とか、ゲイとか、社会で差別されている人達とか、いろんな人達が新しい音楽やダンスを生み出し、それを他の人にも共有して、みんなで楽しんでつくりあげてきました。
どんな人でも居場所がある、
それがクラブというところではないでしょうか。
世間は偏見が多いし、世界中でヘイトが急激に増えている。
こんな時代だからこそ、自分を自由に解放できる場所がほしい。
ヘイトがない、ハラスメントがない、どんな人でも居場所がある、みんなが音楽やダンスを通して楽しめる、そんな場所がほしいと私は切実に願います。