Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

下品なレゲトンの歌あるのになぜmalumaだけバッシング?

先日 malumaの「Cuatro Babys」の歌が女性を蔑視する歌だと大批判されて歌詞の一部に検閲がかかった話をしました。

(曲の歌詞の和訳と、批判された件について書いた過去記事はこちら → malumaの「cuatro babys」の歌詞が女性蔑視と批判される



けど私が思ったのは、malumaの「Cuatro Babys」よりももっと下品な歌やビデオあるのに、なんで「cuatro babys」だけあれだけバッシングされたのかなということ。

4人の愛人と奔放なエッチを楽しみ、ときにはグループでもエッチという歌詞には驚きですが。
でもレゲトン史上でも一番下品な歌詞で吐き気がする、という批判には、一番下品というほどでもないのではと思いました。




以前紹介したコロンビア人のユーチューバーのお笑い、Jonatan Clayのビデオにmalumaの「cuatro babys」のがあります。





このビデオを説明すると、

クラブでレゲトンがかかってて客がペレオで踊っています。
ペレオっていうのは、レゲトンを踊るときに女性の背後に男性が立って腰を押しつけて犬の交尾みたいに踊る踊り方。犬をスペイン語でペロ(perro)というので、それをもじって Perreo (ペレオ)といいます。
ただしこれはお笑いなのでかなり誇張してる。

かかってるレゲトンの曲の歌詞は、

「欲しいものをちょうだい、
ほら俺のここをみてみなよ、ここに来いよ
ああーー ちょうだい、もっと激しくちょうだい」

というような歌なんだけど、DJが途中でMalumaの「Cuatro Babys」に曲を変えたら客がブーイング。
「ちょっとーこんな下品な曲をかけないでよ」
「歌詞がすごいお下劣」
「アモール、こんな歌をきかないほうがいいよ」
「モラルや倫理が大事よね」
「DJ、なにクソみたいな曲かけてんだよ、他の曲に変えろよ」とクレーム。

なのでDJがまた元の歌に戻したら、みんなペレオで踊り始める。
曲の歌詞は

「もっと もっと激しくちょうだいー
おらおら、もっと欲しいか
あーーーいいわー」 



というのがビデオの内容。

つまりみんなが踊ってる曲は、malumaの曲よりももっとお下劣だろっていうオチなんですが。





確かにレゲトンは昔からお下劣だとか女性を侮辱してるとずっと批判されてきたジャンルです。
レゲトンが世界でブレイクした2004年ごろの曲は、今よりもPVももっとセクシーおねえちゃんがたくさん出てくるビデオで、歌詞もエッチなのが多かったです。

たとえば、ダディ・ヤンキーの「ガソリーナ」やWisin Y Yandelの「Rakata」の歌詞の内容で以前説明したように、一見字面ではわからなくても二重の意味でエッチな歌ということもあります。

(※ 「ガソリーナってそれかよ」
「アレ」 (wisin y yandel 「rakata」)で解説と和訳したので見てください)。



けどその後だんだん変わってきて、このごろはロマンチックなレゲトンでビデオもロマンチックな恋愛ものが増えてきました。

またはまったく女関係じゃない歌もけっこうあります。

たとえば人種差別反対を歌った Wisin Y Yandel 「Estoy Enamorado」とか、暴力反対を歌ったFarruko の「Chillax」。
ロマンチックな恋愛ものだと、J Balvinの「Ay Vamos 」や Arcangelの「Me Prefieres A mi」など。

※ この4曲については、このブログの過去トピックで解説や歌詞の和訳をしているので見て下さい。
「SB1070法(人種差別法)」 (Estoy Enamorado」
「Farrukoとボブ・マーリーの息子がバイオレンス反対のレゲトン(和訳)」 (Chillax)
「今流行ってるレゲトン歌手は」」  (「Ay Vamos」)
「Arcangel 「Me prefieres A Mi 」の歌詞の和訳(レゲトン)」  





けれどまだエッチな歌も少なくはありますが存在はしています。


私は「Cuatro Babys」よりは、ピットブルとかPlan BとかDon Migueloのほうがダイレクトにエッチじゃんって思ったんですけどね。


ピットブルの歌はずいぶんこのブログで紹介しましたが、どのビデオもセクシーおねえちゃんばかりだし、歌詞は女をディスコでナンパしてお持ち帰りしてエッチとか、女友達も連れて来させて3Pとかそんなんばっかし。



Don Migueloの「Como Yo Le Doy」も以前に歌詞を和訳して説明しましたが、ピットブルバージョンのほうはポルノといわれたビデオだし、Don Migueloのバージョンはセフレの女がいてその女は俺のエッチにはまってるという歌詞。

※ この曲の和訳や解説についてはここを見てください → PITBULL 「COMO YO LE DOY」feat.DON MIGUELO エロ番長」


「Como Yo Le Doy」 Don Miguelo








私は Plan B もエッチな歌ばかり歌ってると思ってるんだけど。
あの人たちはライブにも行ったけど、エロい人というイメージしかありません。


「Vecinita」はセクシーな近所のお姉さんの話でお姉さんのランジェリー姿がビデオに出てくるし。


Plan B の 「Choca」は タイトルからして セックス っていう意味なんだけど

歌詞が冒頭から、

「なんでかわかんないけど、君を見るといっつもセックスのことばかり考えちゃうんだ。たぶん君の体がホットだから。君は顔もきれいだけど体もきれい。服を着ててもきれいだし服がなくてもきれい」という歌。




また Plan B の別の歌で


「Fanatica Sensual」 Plan B





この歌は、

「君はセクシーなことの中毒者。
僕がいなくて一人のときに君が一人で何をしてるか俺は知ってるよ
俺の写真を見ながら自分の体を触ってるんだろ」

という歌。





あとプエルトリコレゲトンで Jowell y Randy というデュオがいて、その人たちの歌やビデオは結構ひどいのがあります。

誕生日っていう歌は、誕生日だから特別なことをしたいといって、売春婦みたいな女性たちをよんで彼女たちが下着になって踊ってパーティというビデオなんですが。

このビデオには正直びっくりしました。
こんなビデオを今の時代にまだリリースしてるアーティストいたんだ。
しかもマイナーな人じゃないのに。。。

このビデオにはかなり批判がありまして。
若い人でも「こういう下品なビデオをリリースするから、レゲトンは下品だというレッテルを貼られるんだ。これはもうポルノだろ。18歳以下には見れないようにしろ」と怒ってました。





ちなみに「GINZA」という歌をリリースして親日家だねとか日本で言われてた J Balvinですが、あの歌は日本とは別に関係ない歌です。




これは

レゲトンが好きなら踊ろうぜ
とまらずに踊り続けろ
腰を押しつけろ
くっついてアニマルのように激しくペレオで踊ろうぜ
セクシーにダンスを踊るね
欲望をさらけだせ
君と寝たいよ
どういうふうにやるのか教えてよ


という

つまり、クラブで女性とペレオで踊る歌なんです。

残念ながら「銀座」とはなんの関係もないっていう。。。





レゲトンの曲の歌詞でお下劣なものについてどう思うかとメキシコの路上で老若男女の市民にインタビューしたこのビデオ。
そこでみんなにきかせてる曲が、J Balvinの「Ginza」なんです。





市民たちへのインタビューで、お下劣な歌詞で嫌い、こういう音楽は教育に悪いと言ってる人達が最初に話してる。
そのあとはレゲトンは若者だけじゃなくて老若男女がフィエスタで踊る曲だよ、とノリノリで踊るおばあちゃんやおばちゃん。
最後は、TPOの問題でディスコとかバーで踊るならいいと思うけど、子供が耳にするような場所(ショッピングセンターのBGMとか)でかかってるのはよくないと思うという意見。
ま、表現の自由はあるし、というビデオの内容。




それなのになぜmalumaだけが世界中のスペイン語圏(アメリカ含む)でバッシングされたのか。
たぶんmalumaがレゲトンの歌手で異色で、イケメンだからかもしれないです。
イケメンだから、レゲトンだけではなくてポップスファンにまで人気が広がり、しかもmalumaは女性ファンが圧倒的に多い。
それにロマンチックなレゲトンを多く歌ってるし、前はもっと好青年ぽかったから今回の歌へのショック大きかったのかも。
しかも今世界で大ヒット飛ばしてる売れっ子なので、みんなの注目が集まってるからマスコミも騒ぐ。

他のレゲトンの曲は2重の意味で裏にやばいことは隠したり、「あれ」とか「それ」とかぼやかしてるのに、malumaの「cuatro babys」はストレートな言葉を使ってるから指摘されても逃げ道がない。

それと、他のレゲトンでエッチな曲は、ディスコでナンパした女とか尻軽の女性、もしくは1対1の恋人同士とかの話が多い。けれど、cuatro babys」は愛人が4人いてその愛人とやりまくりみたいな歌だったので反感かったのかもしれません。
別に独身男性がディスコで軽い女をナンパしても関係ないし。
ラテンではカップル間では(恋人や夫婦)愛とエッチな話はOKなんです。愛があるから肉体も。。。という感じなので恋人や夫婦間の歌でセクシーな歌詞が出てくるのはOKなのです。

けど、浮気男はダメ。
ラテンの男女はすごい嫉妬深いので、浮気したのがわかったら大変なことに。
なので何人も愛人がいるとかその愛人とやりまくりっていうのは許せないのかもな。。。と私は分析しました。



やっぱりレゲトンの曲によっては歌詞がわからないほうがいいかもしれないですね 笑。
スペイン語圏よりも、別の言語圏のほうがリズムだけいい曲じゃんと楽しく踊れる。
中南米カトリック国が大半で、お下劣な歌詞だとモラルに反してると批判されちゃうけど、日本ではこういう曲かけても別に問題ないし。