見捨てられた ハリケーン被害のプエルトリコ
ハリケーンイルマとハリケーンマリアで壊滅的な被害を受けたプエルトリコ。
プエルトリコはキューバとドミニカの右隣にあるカリブの島で、他のカリブの島とともに壊滅的な被害を受けた。
オランダ領や英領の島は本国が助けにきてくれてる。
でもプエルトリコは、アメリカ領土。
しかし、被害からもうずいぶんたってるのにアメリカは救援にほぼきてない。
プエルトリコは米の自治領なので、アメリカのビザが必要。
他の国がプエルトリコに救助にいってないのは、米の許可がないと救援に入れないからなのかな?
メキシコの震災には多数の国の救助隊がいったが、プエルトリコは放置されてる。
メキシコは独立国でラテンアメリカ一の大国だが、プエルトリコは米の自治領で340万人の小さい島。
プエルトリコはハリケーン被害で多くの住宅の1階部分が浸水し町が湖状態に。
多くの建物の屋根や壁が強風で吹き飛ばされて、屋根や壁がない家が多い。
道路は地面が割れたり倒木で通行できないところも多い。
発電所が破壊されて停電が続いている。
断水で、飲料水もほとんど底をついてきたそう。
携帯のアンテナの基地局の9割以上が破壊されて、携帯(スマホ)もほとんど使えない状態。
首都の大きな病院ですらひどい状態。
病院の床が浸水しすべって危ない。医薬品が底をついてきてあと数日で薬剤などがなくなる。停電が続いていて、自家発電はディーゼルがなくて使えない。手術もできず人工呼吸器も動かせず、亡くなる人がでてきている。
このままでは薬剤もつきて、症状が悪化したり多数の人が死んでいってしまうと病院の医師たちが窮状を訴えてる。
ハリケーンで壊滅的被害を受けたプエルトリコは救援が来ないまま状況が悪化。発電所やダムも壊れ停電と断水が続いている。発電所復旧には3-4ヶ月かかるとのこと。
救助が来なくて絶望した市民達が家の屋根や道路にメッセージを書いているのがみえる。
スペイン語なんだけど、
「SOS、私たちにはもう食べ物も水もない。助けて!」
と書いてあります。
人々はガソリンを買うのに長蛇の列に8時間も並び、スーパーや店にも何時間も待ってる。
しかし、スーパーの食料品の棚はすっからかん。
アメリカはハリケーンが接近してきてたときにCNNニュースを結構見てたんだけど、カリブの方がどう考えても危ないのにアメリカ本国にきたときどうするかとアメリカのことばかりニュースで流していたのに驚いた。
アメリカはいつも自分が優先なんだね。
そしてハリケーンが先に上陸したカリブの島々の方が壊滅的な被害を受けたのに、報道もずっと小さかった。
ハリケーンマリアはメキシコの震災と日にちが重なったので、メキシコの報道がずっと大きくて、プエルトリコやドミニカの被災は影が薄かった。
日本の報道でも。
ほんとにタイミングが悪かった。
メキシコの報道が少し落ち着いてきてやっと今プエルトリコ関連の報道が少しでてきたところ。
昨日のCNNでは、CNNのレポーターがプエルトリコで孤立した村に着いたら、村人が救援がきたと思って泣きながら抱きついてきたそう。
道路も寸断され、村にはもう飲み水も食料もほとんど残っていない。ヤシの実をとってその実の汁を飲んだり、汚い水を飲んだりしている。
汚い水を飲んでいたら赤痢などの感染症も流行るかもしれないし、洪水の水がひいたところで蒸し暑いので蚊が増えて
ジカ熱やデング熱の増大も心配されている。
私も南米の熱帯にいたからわかるけど、雨季になると蚊が増えるとジカ熱やデング熱も増えるし、洪水のあとだともっと増える。貧困地域は特に蚊が多くインフラが整備されてないので、感染症が流行やすかった。
ハリケーンのあとに被災地が放置されて、こんな汚い水を飲んでたらなおさら。
プエルトリコのサイトのツイートから
Puerto Ricans are American citizens — so why isn't the U.S. doing more to help in the aftermath of Hurricane Maria? pic.twitter.com/EMbjt5cDTq
— NowThis (@nowthisnews) 2017年9月25日
簡単に和訳すると、
「プエルトリコは米領でプエルトリコ人は米市民だ。
なぜアメリカ政府は2度の巨大ハリケーンで壊滅的被害を受け今も救援を待っている人達を助けないのか。このまま見殺しにするの?
プエルトリコはハリケーン被害で知事が米政府に救援を要請した。340万人の命が危険にさらされてる。
我々は数週間前に米本土のハリケーン被害の救援に行ったじゃないか。
我々もアメリカ市民でありあなたたちのブラザーである。
今こそ米はプエルトリコの面倒をみるべきではないのか。
全土が停電し発電所は復旧に3-4ヶ月かかる。大病院も停電し手術室や病院の床も浸水で危険。
トランプ大統領はNFLのツイートしただけ。340万人の民の命が危険なのに、トランプは恥を知れ
。プエルトリコ人は第一次世界大戦から、今現在まで米軍兵士として従軍している(今もシリアなどの前線に送られる海兵隊員にはプエルトリコ人が多い)。
プエルトリコは米領でわれわれは米市民だ」
プエルトリコの知事が(米の自治領なので、トップは知事)、なんどもトランプの政府に救援要請したが、救援回答が来ない。
米でのニュースの扱いもテキサスやフロリダのハリケーン被害に比べると非常に少ない。
テキサスやフロリダは本土だったから、国が一致団結して救助や支援も迅速だったのに。
こんな悲惨な状況なのに、トランプはプエルトリコのことには一言も触れず、ツイッターにNFLの問題をツイートしてた。
やっと昨日トランプがプエルトリコの話を書いたかと思ったら、プエルトリコは負債国だから大変だねとひとごとみたいなツイート。
トランプには人間的な感情がないのか。
プエルトリコが経済破綻したのは何年も前のことでそのときに本国の米が助けなかったから、今年の5月に破産した。それでも助けなかった。
そしてハリケーン被害で人が死んでるのに、助けない。
プエルトリコは昔は独自の文化を持ったラテンの島国だったのにスペインの植民地にされ、原住民のタイノ族はほぼ絶滅し、そのあと米に侵攻されて米の自治領になった。
パスポートもビザ関連も全部アメリカ。通貨は米ドル。
プエルトリコに行くとわかるが、たくさんの米資本のホテルや米の大手チェーンの店が並んでいて米車がたくさん走ってる。米人観光客がたくさん遊びに来ており、米人のリゾートアイランドのように使ってる。
利用するときは利用して、負担になるとしらんぷりするアメリカ。
トランプに対してサルサ界のスター、マーク・アンソニーがぶちぎれた。
「Fuck the shut off!
このくそやろう、もう黙れ。危機のプエルトリコを早く救え、プエルトリコは米市民だぞ。人命が第一だろ」
と激怒。
マーク・アンソニーはプエルトリコ系米人。
マークは被災したプエルトリコ人にも前からメッセージを送って、みんなには支援をよびかけている。
— Marc Anthony (@MarcAnthony) 2017年9月25日
またマークの元妻ジェニファー・ロペスもニューヨーク州の知事が開いたプエルトリコ支援の会でスピーチ。
プエルトリコの支援をよびかけ、米のエンターテイメント界や野球などのスポーツ界にはプエルトリコ系が多い。みんなで団結して米政府に救援するよう圧力をかけていくと。
ジェニファーの今の恋人で元大リーガーのアレックス・ロドリゲスもプエルトリコ系でハリケーン被災で大リーガー達に救援をよびかけるとのこと。
Please donate TODAY to #UnitedForPuertoRico pic.twitter.com/boEisWjWrX
— Jennifer Lopez (@JLo) 2017年9月25日
もう離婚してるがハリケーン支援でジェニファーとマークの2人は団結。
ラテングラミー賞は、メキシコ地震とプエルトリコやドミニカなどのカリブのハリケーン被害で、ノミネート者発表を1週間半遅らせた。
アーティスト達が心を痛めてて音楽賞どころじゃないけど、音楽で被災者を勇気づけていきたいと思ってるそう。
歌手ピットブルは、自家用機をプエルトリコのガン患者など重病患者を米に輸送するために貸し出した。
病院機能がだめになったプエルトリコから米で治療するため。
Pitbull is sending a private jet to evacuate cancer patients after Hurricane Maria devastated Puerto Rico https://t.co/iNr4SjugHN pic.twitter.com/IVhZNzlX1L
— CBS News (@CBSNews) 2017年9月27日
ピットブルはキューバ系米人だが、プエルトリコ系米人の有名人がエンターテイメント界に多い。
俳優では映画「トラフィック」などのアカデミー俳優ベニチオ・デル・トロがプエルトリコ人で、彼もプエルトリコ救援のよびかけをしていた。
大リーガーたちにもプエルトリコ系が多いので動いてるみたい。
プエルトリコ人のリッキー・マーティンは、自分が寄付サイトをオープン。
プエルトリコからアメリカへのチケットを25万円とかで売ってる航空会社にぼったくるなと激怒してた。
「デスパシート」で世界的ヒットをとばしたLuis FonsiとDaddy Yankeeもプエルトリコに支援をよびかけ。
Daddy Yankeeはプエルトリコ支援のチャリティ番組に出て1100万円寄付。
@daddy_yankee y @DonFranciscoTV se comprometen a donar 100 mil dólares pic.twitter.com/pfC0QskkLS
— Telemundo (@Telemundo) 2017年9月25日
プエルトリコは有名なレゲトン歌手が多いので、レゲトン歌手達が次々とプエルトリコ支援をよびかけてる。
Wisin y Yandel や Tito El Bambinoなど。
コロンビア人だけどプエルトリコと縁が深いレゲトンのJ BalvinやMalumaも支援のよびかけメッセージを出してる。
これはプエルトリコ人のYandelからの支援よびかけメッセ。
Para donaciones visita:https://t.co/bHpIwX7Zkq o https://t.co/K3ZgjAA5FF. Ayudenme por favor a sacar nuestra Isla y nuestra gente adelante. pic.twitter.com/4NTBNoAhEE
— Yandel (@yandeloficial) 2017年9月23日
プエルトリコの隣にあるドミニカ共和国も同じハリケーンで大きな被害を受けた。
ドミニカはバチャータとメレンゲの国。
ドミニカ系米人で、バチャータの人気歌手のロメオ・サントスやプリンス・ロイスがプエルトリコやドミニカへの支援をよびかけてる。
Unete y ayuda 🙏. Preventa https://t.co/KvsH6nJTVm #rocnation #rocnationlatin #tidal pic.twitter.com/c7Nfjeqqmy
— Romeo Santos (@RomeoSantosPage) 2017年9月22日
ハリケーンや地震など大きな天災がこの1ヶ月くらいでたくさんおきた。
今回ハリケーンで被災したうちで、米のテキサスとフロリダはヒスパニックが非常に多い地域。
カリブのドミニカ共和国とプエルトリコなど、そして震災のメキシコ。
ラテンアメリカ人とラテンアメリカ系はLATINO(ラティーノ)っていうんだけど、世界のラティーノが団結して、一緒にこの危機を救おうとよびかけていた。
特に中南米はスペイン語圏が多くて、スペイン語圏のラティーノは言葉も同じだし、ラティーノで団結するのでこういうときは強いなと思う。ラティーノはayuda(助け合い)文化で弱者や困った人に優しいし。
うらやましくもある。
昨日の夜のニュース。
プエルトリコの首都サンファンの市長は泣きながらアメリカのCBCニュースの取材に答えていました。
"I know that leaders aren't supposed to cry...But we are having a humanitarian crisis here," San Juan mayor tells @DavidBegnaud pic.twitter.com/pa7Hd6HZ1n
— CBS News (@CBSNews) 2017年9月26日
これを和訳すると、
「私は市長だから泣いちゃいけないのはわかるけど泣いてしまう。
プエルトリコの現状は人道的危機にある。
市長として市民みんなを救うことができないかもしれない。
大病院が停電で、自家発電用のディーゼルがないから治療ができずに人々が死んだ。生命維持装置も停電で動かせない。
みんなが助けないと病人たちが治療を受けられずに死んでいってしまう。
明日とかいってちゃ間に合わない、今じゃないといけないのだ。
米のFEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)から、助けたいのはやまやまだしこういうことで救助できるとプランもあるが、大統領のトランプが全部拒否するから動けない状態だといわれた。
プエルトリコの市民達はあんなにいい人たちなんだ。あんな善人の市民達に対して米が侮辱的な態度をするのはやめてほしい。なのに絶望し助けを求めてストリートにでている。
プエルトリコはエマージェンシーにある。
あなたたちはプエルトリコに対してなにかしなければならない。
もしなにもしないなら、このままでは多数の人々が死んでいってしまう。
こんな危機的な状態でもまだトランプはプエルトリコの負債の話しかしない。人の命がかかってるのに。
もうどうすればいいのかわからない、叫べばいいのか?
市民には支援も切られ、通信手段もなく孤立してるのに。そんな孤立した状態があなたたちに想像できる?」
世界で天災がたくさんおきてるけど、国や首都のトップが涙しながら泣き声でこんなに悲しんで感情的になってるのは初めてみたかも。
それだけプエルトリコの絶望がわかるでしょう。
そんなにいわれたのにトランプ。。。。
今日ニュースで見たのはこれ。
Why won't the Trump administration waive the Jones Act for Puerto Rico, like it did for Texas after Hurricane Harvey? pic.twitter.com/L97PJuNKuL
— AJ+ (@ajplus) 2017年9月28日
「救助活動の拒否」というタイトル。
この動画の中でトランプや米議員などがしばしば Jone's Actという法律を口にしてます。
Jone's Actを調べてみたら「米国内の地点間の物品の輸送を行う船舶は米国船籍じゃないといけないという法律」だそうです。
つまり、プエルトリコは米領なのでアメリカ。米国のプエルトリコに救援物資などを送る場合は米籍の船じゃなきゃいけないから外国籍の船よりコストがかかる。戦艦を出せばもっとコストかかる。だからプエルトリコに支援できないとかもめてるんですよ。
ありえない、大きな天災で人の命がかかってるのに。
シリアとか北朝鮮とか紛争関連だと嬉々として空母や戦闘機を送るくせに。
プエルトリコがずっと米領に甘んじてきたのは、なにか危機があったときに米が助けてくれると思ってたからでは?
でも経済破綻や破産も、今回のハリケーンも助けてくれない。
しかもトランプはプエルトリコのハリケーン被害のことを「自己責任」だとツイートした。
もうプエルトリコは米領から切って独立したほうがいいと思う。
そして他のラテンアメリカ諸国からの援助を受けた方がいい。
兄弟国のようなキューバも、プエルトリコが米領になったのを見て米への警戒心が強い。米と国交回復した時もプエルトリコみたいになるんじゃないかと心配してたキューバ人たちもいたくらい。
プエルトリコの今日の新聞から
(食べ物がない、水がない、医薬品がない、電気もない、このままだと死んでしまう。
ミスタープレジデント、プエルトリコを助けてほしい。
アメリカの悲劇だ)
プエルトリコが、自分たちを見捨てないでくれ、プエルトリコのことを忘れないでくれ、と言ってます。
今日はもう28日。
プエルトリコのイルマのハリケーンが9月6日。
そして今回のハリケーン マリアが9月20日。
前のハリケーンでもあまり助けてもらえず、マリアが去ってから1週間もたってる。
なのにトランプは10月初旬に援助を送るとかのんきなことを言ってる。
そんな悠長なこといってないで、1日でも早くレスキュー隊と支援物資を送って病人を搬送し、復旧作業素してほしい。
米政府の迅速な対応をお願いします。
プエルトリコはハリケーンという天災そのものよりも、災害後の悲惨な状況を放置されたことによる死者が増える危険性が高い。
それはもう「人災」
プエルトリコはラテン音楽やラテンダンス界にとっては大きな存在。
特にサルサ界にとっては。
プエルトリコはサルサとレゲトン大国。
サルサはニューヨークに住んでるプエルトリコ系が中心になってつくりあげられた。
レゲトンも発祥はパナマだけど、完成させて世界でブレイクさせ、たくさんのスター歌手を輩出してるのはプエルトリコ。
いま世界的に大流行してるヒット曲「Despacito」(デスパシート)は、プエルトリコ人歌手のLuis FonsiとDaddy Yankeeが歌い、ビデオには元ミスプエルトリコが出演し、プエルトリコ人のスタッフで、プエルトリコのサンファンのLa Perlaで撮影したもの。
この歌のヒットのおかげでプエルトリコに観光客が倍増してたのに。
プエルトリコが米領になっても、自分たちはボリクア(プエルトリコ人)だという誇り、プエルトリコ愛が強いかについてはこの曲を見ればわかる。
Frankie Ruizの「プエルトリコ」。
歌詞を和訳して5月の記事に書いたけど、ここでもUPするね。
歌詞の和訳は別のブログに移動しました。
こちらをクリックしてください
http://diafeliz.jugem.jp/?eid=51
プエルトリコのこの曲と、プエルトリコの国の歴史や人については前に書いたこの記事をどうぞ
↓
「破産申請したプエルトリコってどこの国? 」