Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

暴力反対を訴えコロンビアを変えた女性ナタリア・ポンセ

世界でme tooのムーブメントがおき、日本でも詩織さんが声をあげ、性差別や女性への暴力反対の声が高まっています。

しかしそのムーブメントがおきる数年前に南米コロンビアでは、男性からの暴力被害にあい暴力反対を訴えて国を変え、世界にも影響を与えたコロンビア人の女性がいました。



コロンビア人の女性ナタリア・ポンセです。

彼女は2014年にストーカーからアシッドアタック(硫酸のような酸をかけられる襲撃)事件にあいました。
アシッド・アタックで死にかけ、顔がなくなりました。

でも手術を35回もして、翌年の2015年にアシッド・アタックの被害者支援基金を設立、アシッド・アタックの法律を改正させました。
女性への暴力反対や社会の意識改革を訴え、事件後たった2年でコロンビアを変えたすごい女性。






マチスモ(男尊女卑)がまだ根強い中南米では、男性からの暴力により死傷する女性が多い事が大きな社会問題になっています。

ナタリアは「沈黙しないで声をあげよう」と被害者によびかけ、コロンビアだけではなくて中南米の女性達に大きな影響を与えました。

中南米では数年前から女性への暴力反対と権利を求めるデモが各国でおきています。
今年の国際女性デーには各国で大規模な女性デモがありました。
中南米での女性差別反対や暴力反対運動は、世界でme tooのムーブメントがおきる前からたくさんあったんです。



私はナタリアの事は2015年から知ってます。
コロンビアに2015年から2016年にいた時に、ナタリア・ポンセはよくテレビに出ていました。
よくテレビで見るので、この人はだれかとコロンビア人にきいたら教えてくれました。

世界中で報道されたのに、日本ではまったくナタリア・ポンセの事が報道されてなかったことにショック受けました。
それでナタリアについて書くことにしました。


私も彼女の話は読んでいて辛いのですが、みなさんに知ってほしくて数日かかってこの記事書きました。


長文になっちゃったのですが、彼女の言葉からパワーをもらえると思うので最後までぜひ読んでください。







●日本の性暴力被害者バッシングとの対比




先日、コロンビアの新聞が、日本はレイプ被害者をバッシングして沈黙させる国だ、という記事を掲載したという話をしました。

「日本は性暴力の被害者をバッシングして黙らせる国、とコロンビアが報道 」


ニュースを配信したのは通信社のAFPですが(フランス)、コロンビアの新聞は元記事とタイトルが違います。
コロンビアでは、バッシングして沈黙させる、ということに注目したのです。

詩織さんなどのレイプ事件や性暴力犯罪がおきても、日本では警察も司法もあまり機能してないし、病院のサポート体制もできてなく、メディアも報道せず、ネットや世の中は被害者の方をバッシングして被害者を黙らせる国だ、という内容でした。

なぜ「非難して沈黙させる国」に焦点をあてたかというと、中南米は弱者に優しい社会なのでなぜ日本が被害者の方をバッシングするのか理解できないし、非難すべきは加害者の方だろと驚愕したからでしょう。

非難し「沈黙」させる日本。
その「沈黙」には、たぶんコロンビアのナタリア・ポンセが「被害者は沈黙しないで」と啓蒙していることへつなげたかったのでは、と私は思いました。




コロンビアでは男性からの暴力被害にあって声をあげたナタリア・ポンセに、全国の国民が応援し、病院も警察も支援し、大統領も彼女と話して法改正し、世界中の人達が彼女の運動に応援し援助しました。


けれど日本では違う。
声をあげられる女性は少数で、声をあげれば、詩織さんのようにバッシングされる。
それを見た他の女性はこわくなって沈黙してしまう。




ナタリア・ポンセの事件は世界で報道されました。
アラブのアルジャジーラですら報道したし、女性への暴力事件が多いインドからも招待されたんですよ。

でも日本のメディアは一切報道せず。
ナタリア・ポンセを日本語で検索すると、出てきた報道の記事はフランスのAFP通信の日本語版のみ
(アシッドアタック増加で法改正に動いてるというサイトならあったけど)







●ナタリア・ポンセの事件とは?





姓名は、 Natalia Ponce de León (ナタリア・ポンセ・デ・レオン)、 コロンビア人の女性。





彼女は3年間イギリスに留学していました。
でも母親が病気になり帰国。
出身地のコロンビアの首都ボゴタに戻りました。
33歳の時です。

ナタリア・ポンセはコロンビアの富裕層出身とAFP通信が報じてましたが、事件の監視カメラを見ても上流階級が住むエリアに見えない。調べたらコロンビアの中流階級のエリアでした。
(コロンビアは階級社会で、コロンビアのすべてのエリアは収入などによって6レベルに分かれている)。
”富裕層出身の”とつけると「富裕層出身だから彼女は特別だったんだろ」と言われてしまうかもしれないので。



近所にジョナタン・ベガという同じ歳の男がいました。
たんなる近所に住んでる人で友達でもない。
事件の10年前に挨拶を1回かわしただけ。
けどジョナタンは一方的にナタリアに執着していました。
帰国したナタリアの姿を見てストーカーするようになりました。

ナタリアは自分がつけられてる、監視されてるとおびえるようになりました。


ある日彼女がお母さんの家にいたときに、マンションの警備員から元彼氏が訪ねてきているとインターホンで連絡がきて、ナタリアは挨拶する為に階下に降りていきました。
そしたら元彼氏の名前を使って呼び出したジョナタンがいました。

そして、いきなり彼女の顔に酸(硫酸みたいの)をぶっかけたのです。
悲鳴をあげて倒れるナタリア。

警備員が驚いてすぐに救急車を呼び彼女は病院に。



これが彼女の事件の再現ビデオです。
(30秒過ぎから事件に至るプロセス。 事件は4分過ぎから)

(※ 暴力被害者でPTSDがある人はご注意)








ナタリアは病院に搬送されてすぐ処置されましたが、身体の35%をヤケド。
肌は焼けただれ骨も筋肉も一部がとけ、危篤になりました。
が電気ショックで息をふきかえしました。


手術で彼女は命はとりとめました。

でも顔が溶けてしまった状態。
目もふさがって目が見えず光もわからない、口がないから食べることもできない。

目をあけるためだけに3回も手術したそうです。
手術で口を形成し、目もあけてもらえました。
肌も形成でつくってもらった。

身体も負傷し包帯でぐるぐる状態。
まったく歩けない。




そこからのストーリーが描かれた、再現ドラマの続きです。
(30秒から)




ドラマの内容を解説すると、


ナタリアは多くの手術を重ね、やっと自分の姿を見た時にショックで泣き叫びました。
落ち込んで食事も拒否するように。
鏡を見るのが怖くなった。


退院してからもふさぎこんでベッドにこもって号泣し続ける毎日。

「もう死にたい、死にたい」というようになりました。

そしたらお母さんが「死にたいなら一緒に死のう。でももし生きたいならお母さんが全力でサポートするよ」と言ったそう。
彼女はお母さんと抱き合って号泣して、死にたい気持ちを捨てたそうです。




その間、酸の入った容器を持って歩いていき犯行現場から逃走する犯人が監視カメラに写っててTVで公開され、犯人のジョナタンが逮捕されました。
(コロンビアは通りに監視カメラが多いです)。
犯人は近年ヘロイン中毒になっていて過去に入院もしていたとのこと。








●被害者から活動家へ




手術を重ね傷もだいぶ落ち着いてきたときに、医師が新しく開発されたシリコンのマスクを持ってきてくれました。
そのシリコンのマスクをつけ、光にあたっても大丈夫に。


彼女が入院していたボゴタの病院はヤケドの形成外科で有名だったので、アシッドアタックの他の被害者達に会った。
その女性達と話したことで、他の被害者達がどんな悲惨な状況にあるかを知って、他の被害者達を助けなきゃいけないという気持ちになっていったそうです。



彼女は事件から1年たった2015年4月に、初めてマスクをつけてテレビで会見しました。



アシッドアタック事件に反対する活動家になったのです。



コロンビアは、アシッド・アタック事件が世界一多い国でした。

2004年から2014年の11年間に926件もおきているそう。
被害者の8割が女性。

特に夫や彼氏のDVや浮気してるんじゃないかという嫉妬、 元夫や元彼氏からの執着、他人のストーカーが多いそう。

コロンビアは銃規制が厳しいけど、酸は貧乏人でも手に入る安価な攻撃材料だったのです。





ナタリアは、自分はアシッド・アタックの犠牲者の926人の1人だけど、あとの925人はどうなったのか? 被害にあったことを嘆いて沈黙してるだけなのか? と思ったそう。


女性に対する暴力はいけないし、アシッド・アタックも許せないとTVで訴えました。


「手術で身体の痛みはひいたが、心の苦しみが大きくなっていき、セラピーを受けながら考えた。

なぜ私にこんなことがおきたのかと嘆いてずっと闇の中にいたが、穴の中に落ちて一生泣き暮らすだけでいいんだろうかと考えるようになった。

酸は身体を焼いたが、魂までは焼けなかった。

沈黙していても自分の心を殺していくのが分かった。だから被害者は沈黙していてはいけない」 

とコロンビアの国民によびかけました。


ひどいめにあったけど他の人を助ける使命を神が与えた、という使命感を持ち活動家になったそうです。


彼女の写真を出すとグロいと思う人もいるでしょうが、彼女はこの姿でテレビに出て会見したのです。
だからインパクトを与えたし、みんなが実情を理解して国民の批判が大きくなり、上もすぐ動いたんだと思います。








●ナタリア・ポンセがコロンビアを変えた



ナタリアは35回にもおよぶ手術をうけました。
まだ手術は続いているそう。
身体の中まで焼けてしまったのでそれへの手術もあるし、形成上の手術もあります。




コロンビアは美容外科では世界トップレベルの技術がある国。
だから溶けてしまった顔をここまで形成できたのでしょう。

ナタリア・ポンセは、被害者支援の基金を創設。
孤独に苦しんでいた被害者をサポートするために。
病院の協力もあり被害者に手術代を全額援助し、被害者に自分の基金で働くなど仕事のチャンスも与え、身体的と精神的なサポートをしています。



ナタリア・ポンセはコロンビアのTVや新聞のメディアに出て、全国に訴えました。
本も出版し、各地で講演するようになりました。


彼女の訴えで、コロンビアは変わりました。

病院 : 

酸攻撃被害者の処置のトレーニングを医療者が受けることが義務付けられた。

警察:

警察には、酸攻撃の事件の特別チームができました。
またアシッド・アタックの犯人逮捕につながる有力情報には、400万円の懸賞金が政府から出されるようになりました。
警察はナタリアを表彰しました。


法律改正:

コロンビアではアシッド・アタックの懲役刑が非常に軽く、たった5年でした。
ナタリアは刑罰が軽すぎるから、アシッド・アタックの犯罪が多いと訴えました。

ナタリア達は法改正のために議会に圧力をかけました。
とうとう大統領が2016年に「ナタリア・ポンセ・デ・レオン法」という彼女の名を冠した法律を制定しまいた。
アシッドアタックの懲役は最大50年にひきあげられ、多額の罰金を科せられることになったのです。


酸の購入許可:

酸が安価で簡単に手に入ることも変えなければならないとナタリアが主張。

それで、身分証明書と利用用途などを提出しないと酸が買えないよう法律が厳格化されました。


      ↓     ↓  
そのおかげで、2015年以降はアシッドアタックによる犯罪が激減したのです。


マスクをつけてTVに出てからなんと1年でここまで達成したとは。
彼女もすごいけど、コロンビア政府や行政と司法や警察の対応も迅速!

彼女の訴えを見た国民の声が大きくなり、女性達や暴力被害者の怒りも大きくなったから、上が動いたのです。







● ナタリア・ポンセへの国内外からの支援







ナタリア・ポンセは私が2015年にコロンビアにいた時にすごい有名人でした。
テレビのニュースによく出てきてたので、「この人よく見えるけど誰?」とコロンビア人達にきいたら、
去年(2014年)アシッドアタックにあった被害者だ、とコロンビア人達はみな彼女に同情していました。
コロンビアではアシッドアタックが他でもおきてるがひどい話だ、と怒ってました。
彼女は精力的に活動し、勇気ある女性とたたえられ表彰もされたとのちにききました。



彼女のニュースは中南米スペイン語圏でも報道されました。

そして欧米など世界でも報道されました。





「あなたはアシッドアタック事件にあってたった2年、公の場に出てきてからたった1年で、被害者への援助を成し遂げましたね。どうしてそこまでできたのでしょうか?」

というインタビューにナタリアはこう答えています。


「事件後1年でTVに出て話したら、国中から励ましの言葉や援助がすごくたくさんきた。
みなのサポートなしにはここまで回復できなかった。

コロンビアはアシッドアタックや襲撃などでやけどの被害者が多い。
だから医療でやけど形成の分野は発達している。

コロンビアのやけど形成で有名なボゴタの病院に入院したから、そこで形成してもらえた。
肌もつくられたし、髪の毛も復元された。

初めてTV会見した時につけてたシリコンのマスクもコロンビアの形成外科の医師達が開発したものだ。
コロンビアにはやけど形成医師と医療チームのLa Pazの会があり、そこが非常に援助してくれた。


自分は医療チームの医学的な治療と、セラピーとまわりのサポートで立ち直れた。

しかし他のアシッドアタックの被害者達はひどいめにあっていた。

犯人を逮捕しても、裁判になれば長期かかる。
裁判にお金もかかるし、傷ついた顔で公に出て、加害者と闘うのは大変なことだ。
お金がなく、設備や技術が低い病院でひどい治療しか受けてない人もいる。

入院していた病院で他のアシッドアタックの被害者たちに会って話していたら、みんな非常に辛い思いをしてるのがわかって、早急にヘルプしないといけないと持った。

そこで基金を作った。基金により、被害者をいろんな面でサポートできるようになった。



アシッド・アタックの被害を見て駆けつけた人は、触ると自分もヤケドするから触れてはいけないと啓蒙しなけれならない。

救急車や医療チームも、特別な体制が必要だ。
アシッドアタックややけどの被害者への対応を病院がプロジェクトとして作らねばならない。

自分の基金と病院の支援のおかげでアシッドアタックの被害者は無料で手術が受けられるようになった。

警察もアシッド・アタックの被害の特別チームを作らないといけない。

社会も啓蒙していかなきゃいけない。
みなが連携していかないとサポートできないから。
国がもっとUNIDO(一緒に手をつないで)しなきゃいけない問題だと思った。

そうした改善をよびかけたところ、コロンビアでは早急に改善してくれた。


自分のことがアメリカで報道されて、アメリカの基金や銀行や企業や医療メーカーからも寄付やサポートがきた。

国際熱傷学会も自分を招待してくれた。

昔からアシッドアタックが一番多いインドからも招待された。

世界のあちこちから講演依頼や招待されて飛び回っている。
世界中の人達が手をさしのべて、自分と基金に援助してくれたのは驚きだった。

いまもヘルプは世界中から続々ときている。
SNSではサポートの為のグループもできている。

自分のネットのアカウントにはたくさんフォロワーがついていて、世界中からメッセージが何千とくる。
みんなが自分達を励まし、ヘルプしてくれる。
ほんとにうれしいし、世界の人達の優しい気持ちに感謝してる。
素晴らしいことだと思う。」





とナタリアは話していました。


事件の1年後にテレビで会見してから、たった1年で世の中を変えてしまったのです。
被害者に対してコロンビア国内で同情と支援がたくさん集まり、医療チームも多大な協力をして、警察も議会も大統領もすぐ動いて改正してくれた。
そして世界からたくさんサポートがきた。
みなさんのおかげで自分はこうやっていま世界の人達に話せるようになった、と。
「大事なことは、医師や警察や司法を信頼することだ。病院と警察と司法のおかげだから」と言ってました。

でも日本では、詩織さんは病院でひどい目にあい、警察でセカンドレイプされ、あれだけの証拠があったのに司法と警察に裏切られたでしょう。


被害者をバッシングするのではなくて、みんなが応援してくれるから今の自分があるとスマイルしていたナタリアがうらやましい

と思いませんか?

日本と大違い。






●コロンビアのアシッド・アタック



犯人のジョナタン・ベガはヘロイン中毒の経歴があり精神的に病んでたということで、懲役21年になりました。

コロンビアでアシッド・アタックが多いのは世界で治安の悪いバイオレンスの国だからだろうと書かれたのをネットで見ました。
そうではなくて、コロンビアは銃規制法がかなり厳しい国なんです。
でも酸は購入に許可がいらなくて、貧乏人でも手に入る安価な武器だったからです(法律改正前)。



コロンビアでは、夫婦や恋人のDV、激しい嫉妬(他の異性と浮気してるんじゃないかという疑い)によりおきる事件が多いそうです。
もしくは元夫や元彼氏などのストーカー。

被害者が女性の事件が圧倒的ですが(8割)、男性が被害者の場合もあります。
例えば彼女が彼氏の浮気を怒って彼氏にかけたという場合もあり。


アシッドアタックはいきなり攻撃されるので、犯人が他人の場合は誰かわかりづらい。
もし犯人が逮捕されても裁判で勝利できるケースが少ないそう。


アシッドアタックの被害者は、顔がめちゃくちゃになり目が見えなくなったりして外出もできなり、仕事も失い、落ち込んで沈黙してる人が多いそうです。

特に男性被害者は、女性被害者よりも沈黙してる人が多いそう。
男性の方が同情が集まりにくく、被害にあったことを本人が恥だと思うので、被害を表にせず沈黙してしまう男性被害者が多いそうです。
中南米マチスモは男尊女卑だけではなくて、「男は男らしくマッチョであれ」というカルチャーでもあるのですが、その弊害じゃないかと私は思います。





<コロンビアでのアシッド・アタックの被害者数>


2004年から2014年の間に926人


2012年  男性20人、女性46人

2013年  男性14人、女性29人

2014年  男性 25人、女性38人   (← ナタリア・ポンセが事件にあった年)

2015年 男性 6人、 女性7人   (← ナタリア・ポンセが4月に会見した年)

2016年 男性 3人、女性6人    (← ナタリア・ポンセ法ができて懲役が50年に)

2017年 男性5人、女性2人



これを見てもやっぱり誰かが声をあげることには意味がある、罰則を厳罰化することは大きい、とわかりますね。











●世界のアシッドアタックの状況


アシッドアタックの被害者数が昔から多いのは、インドやパキスタンバングラデシュなど、もともと女性差別が多いところ。
夫からのDVが多いです。


しかし、ここ何年かにアシッドアタック被害の世界のトップになったのが、なんと イギリス。

アシッドアタックはもともとギャング抗争に使われていた古い武器だが、最近また顕著になっているそう。

イギリスがアシッドアタックの事件が急増しており、そのうち半分がロンドン。

なんと 

2014年には 200件。
2016年には 431件
もおきている。
(2年間で2倍以上に増えた)

一番多いのがイースト・ロンドン(ロンドン東部)。
2017年までの5年間でロンドンでは1500件アシッドアタックがあり、そのうち400件がイースト・ロンドンのエリア。

クラブ(ダンス)でも襲撃があったそうで、無差別なところが怖い。

詳細と写真はこちらの記事

http://www.news.com.au/world/face-melters-the-acid-attack-capitals-of-the-world/news-story/afe10105149eac4aa0c1b7013394d4a3







●ナタリアの講演の内容



ナタリアは全国各地で講演をしています。

講演内容がいいので和訳しました。








この講演のビデオの内容。



「目を閉じて人生で一番きつかったことを思ってみてください。
難しいでしょう?

私はアシッドアタックで身体では死にかけて、心が傷つきました。
まさか自分にそんなことがおきるとは思ってなかった。

身体は焼かれたが、心までは焼かれませんでした。

でも最初の1年は悲嘆して穴に落ちてしまい、闇の中に生きていました。

たくさんの手術を重ねてきて、セラピーもずっとうけました。
そしてだんだん精神が強くなり、ポジティブな考え方を持つこと、自分はもうダメなんじゃなくて一人の人間なんだ、という考え方を持つようになりました。

全国から応援やサポートしてくれたみなさんのおかげで私は力を得て、ここでこのように講演までできるようになったのです。

一番大事なことは自分自身を信頼することです。

私は事件があって1年間「なんでこんなことが私におきたのか」と嘆き続けました。
心身ともにぼろぼろだったし、私が苦しむので、家族もまわりもみんな苦しみました。

最初は「POR QUE?」(なぜ)こんなことがおきたのか、と嘆いていたが、だんだん癒しのプロセスを得て「PARA QUE?」(なんのために)に変わっていきました。

自分がなんのためにここにいるのか。
私にはなんの神の使命があるのか。
自分に何ができるのか。

あんなことにあうと人を信じられなくなるけど、他者への信頼を失ってはいけません。

私もずっと恐れがあった。
もう無理だ、先に進めない、続けていけないという不安におびえてました。
きつかった。
でも癒しのプロセスを得てだんだん前に進むことができるようになりました。

暴力被害にあって、おまえはダメだと言われつづけると 自分がダメな人間のように感じてしまうでしょう。


しかし、一番重要なのは自分自身を愛することです。
そして自分自身をリスペクトすること、自尊心を持つこと。



私は自分を許し、自分自身を受け入れて愛したから前に進める様になったのです。


人生には2つのオプションがあります。
うらみを抱きながらベッドで泣き暮らし、沈黙したまま一生犠牲者として泣き続けるか。
それとも沈黙をやぶって、変化のために闘うか。
私は変革の為に立ち上がりました。 



自分自身を信じたのです。

みんな自分自身を信じることには不安がある。
けど人生のページはめくらねばなりません。
ネガティブなままで一生泣き暮らすのではなく、ポジティブな考えを持つのです。


私は身体が焼かれて赤ちゃんに戻ったようになりました。
歩くこともできず、身体を動かすこともできず、ひとつひとつ赤ちゃんの時の様に学んでいったのです。
食べれるようになるのも、シャワーをするようになるのも、人の助けを借りながら一歩ずつやってきました。

私は医療チームや正当な裁判をしてくれた司法のおかげで顔も自分を取り戻すことができました。

私だけではなくて、他の犠牲者達もそうならなくてはいけません。
だから私は同じアシッドアタックの被害者の基金を作って、サポートをしています。


こんなひどい事件にあったけど、私は家族と友人達の愛に包まれているから幸せだと思っています。

事件で人生が180度変わりました。

よく 「奇跡」 と言われるのですが、私は自分が今こうして皆さんの立って講演していることが奇跡だと思います。
自分がこんなことをするようになるとは事件前には思いもよらなかったので。
人生を信頼し、自分自身を愛することで夢はかなうのだと思っています。」






★ 別のコロンビアでの講演


「灰のようにボロボロになった状態から立ち直るのに、これという一つの道はない。
感情の大きな山を越えるプロセスには、身体の痛みと心の痛みを伴います。
私の場合は、ゆるしを学ぶことで前に進むことができた。
精神を強くしていって、自分自身を愛し自尊心を持つこと、そして自分の身体への価値も高めていった。

人生には2つの選択肢があります。
犠牲者としてずっと闇の中にとどまるか、それとも人生に勝利するために闘うか。
私は立ち上がって闘う方を選びました。」








● 世界各地で講演



ナタリアは、暴力に立ち向かうシンボルになりました。

今まで男尊女卑の社会だからしょうがないとあきらめていた暴力被害者達にも光を与えてくれました。


ナタリアは世界からも招かれ、中南米やコロンビア各地で講演をしたり、TVに出ています。




★これは隣国エクアドルのTVでのインタビュー。







このエクアドルのTVのインタビューの内容を和訳します。


ナタリアが

「なぜ私がこんなめにあうのか、と嘆き闇の中にいました。
でもいつまでも穴の中に落ちたままではいられない。
被害者が沈黙しても自分の心を殺していくのが分かりました。
酸は身体を焼いたが魂までは焼けなかったのです。
自尊心と人生を愛するプロセスを経て、他の人を助ける使命感を持ち活動家になり、被害者支援の基金を創立しました。

”沈黙にNOと言おう”   ”自尊心を持って人生を愛そう”  」



と話しています。


エクアドルでもアシッドアタックが起きているけど、懲役はたった9年。エクアドルもアシッドアタックや暴力被害者をなくすために変えていかねば。。。とこの動画のニュースでエクアドルのテレビがいってます。


ナタリアは暴力に立ち向かう勇気を中南米各国にも与えたのです。






★ イギリスBBCのインタビュー



イギリスのBBCからもナタリアはインタビューされました。

その内容を和訳。


「事件にあった時、最初の頃は犯人への恨みと憎しみでいっぱいだった。
相手にリベンジしてやりたいと思っていた。

顔を失って鏡を見るのが怖かった。

でももう鏡を見るのは怖くない。マスクもいらない。

病院に入院しているときに、同じようなアシッドアタックの犠牲者達に会った。
そこで他の犠牲者達と話をして、つらいめにあってる他の人達を助けなきゃいけないと思うようになった。
それで基金をつくった。

基金でアシッドアタックの被害者達と一緒に活動して、彼女たちからパワーをいつももらっている。
私は本当にハッピーウーマンだと思う。」











● 暴力反対のシンボルに、 Last Mask キャンペーン


★ Last Mask キャンペーン

ナタリアがつくった基金
ナタリア・ポンセ・デ・レオン基金が世界に「Last Mask キャンペーン」をしました。






このビデオを和訳します。




コロンビアはアシッド・アタックが世界で一番多い国だった。

ナタリアはアシッド・アタックの被害にあったが、犠牲者として沈黙し続けなかった。
彼女はマスクをつけてTVに出演して声をあげた。
そして活動家になった。

彼女のおかげでアシッド・アタックは懲役50年の刑に改正された。
が、アシッドアタックがなくなったわけではない。
だから国民みんなが意識を変えて闘わなきゃいけない。


アシッド・アタックの犠牲者達が証言。

「私が救急に運ばれた時に病院がやったことは痛み止めをくれただけで、5時間も待たされた」

「私はヘルスセンターに3か月置かれ、身体が感染症におかされたため都市にある病院に移送された」 (黒人女性)

「私は25回も手術を受けた。まだ次の手術を待っている」

「犯人はたった懲役4年だった。私には1か月分の治療費しか払われなかった。それは犯人が裁判所に2400万ペソを渡したからだ」(黒人女性)



他の人が宣言。

男性「アシッドアタックの正しい知識を与えることを要求します」

女性「アシッドアタックの被害者にもっといい治療施設をつくる事を要求します」

男性「アシッドアタックに対する罰則をさらに強化することを要求します」

少女「私の母のようにアシッドアタックの犠牲者にならないように要求します」



THE LAST MASK キャンペーンは、世界中に広がった。

ナタリア・ポンセが最初にテレビで会見した時につけていたマスクは、もう彼女はつけていない。

もう誰もこのマスクをつけなくてもいい世界になってほしいという「LAST MASKキャンペーン」。

LAST MASKキャンペーンは世界各国のキャスター達がマスクをつけて暴力反対を訴えた。

またSNSやブログなどネットでは世界で100万を越える人がマスクをつけて抗議した。
その中には各国の著名人やジャーナリスト、地方検事、政治家達、医療関係者達もいた。

それに対して250万以上の反応があった。


ナタリアのキャンペーンは、国内外のいろんな事を変えた。
コロンビアの警察は酸攻撃に対して特別チームを創設。
コロンビアの病院は、酸攻撃の被害者への治療についてトレーニング。
コロンビアの政府は酸の販売を銃規制のように厳しくした。

コロンビアの女性がもう誰もマスクをつけなくてもいいように。。。。」








●世界から表彰





ナタリアは、BBCから'Outlook inspirations' 賞を受賞。

2017年の世界の勇気ある女性100人の賞にも選ばれました。
(メラニア・トランプが賞を贈呈)









●コロンビアでバイオレンス反対のキャンペーン



コロンビアの町にたくさんのナタリア・ポンセの写真を使ったバイオレンス反対のポスターが張られました。
バス停などのパネルにも。




(暴言で虐待されてる? それはバイオレンスだ)










エイボン化粧品の女性基金が(Avon fundacion para la mujer)、ナタリア・ポンセを使って女性への暴力反対啓蒙のポスターをコロンビアの各地に貼りました。


上のビデオを和訳します。



ナタリア・ポンセの活動は、コロンビアでの暴力に警鐘を鳴らすこととなった。

中南米はfeminicidoという女性への暴力など女性だからという理由で殺される事件が多い。
コロンビアもそうだ。

コロンビアの町のあちこちに、ナタリア・ポンセをつかった暴力反対のポスターが張られた。

ナタリアの顔が前面にあり、そこにバイオレンス反対と啓蒙の言葉が書いてある。


「金を渡せと相手に詰め寄ることは暴力だ」

「暴言で虐待するのはバイオレンスだ」

「おまえのせいだと精神的に追い詰めるのはバイオレンスだ」

「脅すようなメッセをスマホで送るのはバイオレンスだ」

「束縛や監視され、家族にも友達にも会いにいけなくするのはバイオレンスだ」




コロンビアではFEMINICIDIO(女性だからという理由で殺される殺人事件)が増えているのが社会問題になっている。

女性の暴力は身体的に殴る蹴るの暴力だけではなくて、言葉による暴力(暴言や相手をおとしめる発言)や態度による暴力(無視や監視やいやがらせなど)もある。

コロンビアでは毎日1人の割合で、女性が夫や彼氏からのDVで殺されてる。
3日に1人の割合で、元夫や元彼氏に女性が殺されている。


ナタリアも出席したイベントを開催した女性主催者が
「こんな状況はおかしい。こんな不自然な事を続けていたら、コロンビアの社会は自殺行為だ。もう変えねばならない。」








中南米で広がる女性への暴力反対運動と、女性の権利のデモ





中南米各国では、女性への暴力でおきる殺人事件が増えていることが社会問題になっています。

中南米マチスタ(男尊女卑)の文化が昔からあるのが大きな要因だと。

メキシコやコロンビアなど各国で女性への暴力や殺人反対と、女性の権利を叫ぶデモがおきています。



violencia mujeres









テレビのニュースなどでも、女性の暴力やDVで死ぬ女性が急増していることを特集し、女性へのバイオレンスはいけないと言っています。

政府も女性への暴力反対を訴え、女性を蔑視するような音楽の歌詞を検閲して放送禁止にしたり、女性の権利を向上するように改善する動きも出ています。



mexico mujeres protesta





マチスモ(男尊女卑)のカルチャーに対する反対運動もおきています。


マチスタ(男尊女卑の男)は人によるので中南米の男みんながマチスタではないです。マチスタの人もいれば、マチスタじゃないしマチスタの男を軽蔑してる男性もいます。

メキシコのニエト大統領は奥さんへ暴力ふるって病院に行くほどの負傷させたマチスタです。



machismo mata

マチスタが女性を殺す」







「女性への暴力はもうやめろ。マチスタめ」
マチスモ(男尊女卑)反対のメッセージを掲げる女性





中南米は長年マチスタ文化があったけど、今はどんどん改善に動いています。



私が2015年から2016年にコロンビアにいた時に、何年か前にコロンビアにいた時とずいぶん変わったなと思いました。

マチスタはいけないと言う女性が増えた。
社会もそんな空気に。

私が2016年にコロンビアの近所のプールにコロンビア人の女友達といったときに、コロンビア人のおばさんが「あなた日本人なの? 日本って男尊女卑がひどいんですってね?」ときいてきました。
私が「そんなことないですよ。日本も昔はそうだったけど、今は女の人が強くなったし。。。」と言い出したら
いきなり隣にいたコロンビア人の女友達がさえぎって話し始めました。

「私は日本に前住んでたんだけど、日本の男は優しい人が多かったよ。私の元彼氏は日本人だったけどとっても優しかった。
日本は妻が給料を管理してるし、妻の発言力が強いし。コロンビアの方がマチスタがずっと多いと思うよ」と言ったら、
コロンビア人達がみんなしーーーんとなりました。

そしてコロンビア人のおばさんが隣のだんなに「コロンビアの方が男尊女卑がひどいんだって」と言い、
他のおばさんたちも「コロンビアは夫が財布を握ってるけどおかしいよね。なんで男女差別あるんだ、この国。マチスタの国はやだやだ」と口々に言いだして、男性陣が黙り込んでました。



2015年末に、コロンビアで年末の大コンサートに行った時に、バチャータのROMEO SANTOSが

「君達、今日のコンサートのチケット代は誰が払った? もしかして女にチケット買わせたのか? 女になんでもやらせてるのか? もうマチスタはやめるべきだよ。マチスタはいけない。女性をリスペクトすべきだ。 今日は花を買って隣にいる愛する女性に贈ってあげてくれ。もっと愛する女性を大事にしろ」と言いました。

ROMEOを見る女性達は目がハートに。隣にいるだんなや彼氏のことを忘れて。





首都のボゴタや第二の都市のメデジンより、第三の都市のカリがマチスタが多いと言われてます。
(ちなみにマチスタは貧困層や地方の方が一般的に多いと言う説もある)

カリの女性達が、「カリの男はやだ、マチスタ多いし、イケメンいないし」と言ってました 笑。




女性の意識が前にいた時と違う。
数年でずいぶん変わったとびっくりしましたよ。


METOOのムーブメントが出たのは去年だから、中南米の女性の意識や社会はもっと前に変わってたんですね。



だからコロンビアのレゲトン歌手のMALUMAの「CUATRO BABYS」をリリースした時に、その歌が4人の愛人を囲ってエッチ三昧という内容だったので、女性をモノ扱いしてる、性奴隷化の歌だと非難されて、スペイン語圏では放送禁止になりました。
シャキーラなど他の歌手達からもmalumaは批判されてましたよ。
スペイン語圏の男性リスナーからもmalumaのあの歌は嫌だと言われました。

malumaは逆ギレして反論しましたが、コロンビアの政治家からもティーンに人気の歌手が女性差別の歌を歌うなんて青少年の教育に悪い、と怒られてました。
malumaは世界で大ヒットしてるし米ベースにしたのに、あんなマチスタな歌を歌ってると人気落ちると思います。

レゲトンはもともとエッチの歌が多いジャンルだったけど、レゲトンも世界的な音楽になったし、時代も変わったしね。
リスナーたちも女性をモノ扱いするバイオレントな歌詞にはうんざりしてるのが実情。






 それで、日本は暴力や性差別のない社会になるのか?


男尊女卑が昔から根づよいという点では、中南米と日本は似ています。

中南米マチスタと日本の男尊女卑、どっちが先になくなるんでしょうね?


中南米はもう数年前から社会が変わってきてますよ。
政府もどんどん法改正したりして、女性への暴力や性差別をなくそうと改善してる。



日本はどうでしょう?

コロンビアの新聞で、「日本は性暴力の被害者を世の中がバッシングして沈黙させる国」と書いてましたが、そんな国でいつづけるんでしょうか?



暴力や性暴力の話をすると、日本では 糞フェミめ(糞フェミニスト)とか魔女狩りと批判し、 
男 VS  女    の対立構造で考える人が多いです。

けど暴力や性暴力の被害者は女性だけじゃなくて、赤ちゃんから高齢者までいるし、男児も、男性も、LGBTにも性暴力の被害者いるんですよ。



性暴力受けた事がない人でも、いじめや、親からの暴力や、パワハラや、モラルハラスメント(暴言や行動による虐待)ならよくあるでしょう。

「俺だってパワハラたくさんされたよ。 今の若いやつはちょっとパワハラされただけですぐ泣きごという」とか
「私の時代はもっとセクハラひどかったんだから、セクハラセクハラ騒ぐやつはうざい」とかいうのはよくない。


自分も被害を受けて被害者側の気持ちがわかるなら、他の人達も同じ目にあわないように思いやりを持つべきでは?

他の人に厳しくしすぎると、自分の自由度もなくなって自分の首もしめて苦しくなりますよ。


虐待を「しつけ」、暴行を「かわいがり」、DVを「痴話げんか」という日本はおかしい。
今まで多くの人が我慢してきただけ。沈黙したまま自殺した人もいるだろう。
こんな事をいつまで繰り返すつもりだろう。
負の遺産で後世を苦しめず、ここで断ち切るべきでは?


これは社会全体の問題として考えていかないといけないと思う。




そして暴力の被害者の方へ。

暴力をふるった加害者がどんな言い訳を言おうが、暴力をふるった側が悪いのです。

「おまえが悪いから暴力をふるわれたんだ」と加害者やまわりに言われても、「自分が悪いから被害にあったんだ。私が悪いんだ」と被害者の方は自分を責めないでください。
暴力使った方が悪いので。

「おまえが悪い」、「おまえはダメなやつだ」と長い間言われ続けると、自尊心を失ったり、おびえるようになります。

性暴力やDVの被害者には別の男性が近寄ったり男性の大声をきくだけでもビクビクする人もいる。
忘れようと思っても、何十年たってもPTSDに悩まされる人も少なくないです。

失った自尊心を取り戻すのにも何年もかかることもあります。
でもいつか抜けれる時がくるから。光はあるから。




そしてみなさんへ。

被害を受けてこころが壊れそうになってる人を、まわりがバッシングして追い込んで突き落としてはいけない。
一人で苦しんで沈黙したまま自殺させてはいけない。


今までどのくらいの人が長年我慢してきたことか?
どのくらいの人が涙を流してきた事か?
前の世代の人達は、そういう国だからしょうがないと思って、沈黙してきただけでしょう。
沈黙しても辛い思いをしてきた人がたくさんいると思います。


特に日本に女性として生まれて、今まで一度も女性差別にもあったこともなく、痴漢にもあったことがなく、セクハラ言われた事もなく、親もきょうだいに平等で、仕事の機会もまったく平等で、すべてにおいてなんのハラスメントも受けてない人っているんだろうか?

なぜ日本では、女性が女性の被害者をバッシングするんだろうか?



おまえはダメな人間だと言われモノ扱いされたり、精神的に追い詰められ死のうと思った人もいる。
身体は生きていても心が死んでしまった人もいる。
沈黙してても一生苦しむ人もいる。

MeToo を見て勇気づけられて、死ぬのをやめた人もいると思うよ。
沈黙してても心が死ぬ。
他の人も犠牲になってはいけないと心配し、声をあげた勇気ある人なんだから。

MeToo魔女狩りと笑う人は考えてほしい。

権力を使って虐待するのはもうやめて、これ以上被害者を出すな、もうたくさんだとストップをかけようとして告発したのでしょう。

今まで暗闇にいたけど、他の人が声をあげたことで光を感じた人もいると思う。
だから力でおさえつけて、その光を消しちゃだめだよ。


じゃどうすればいいか? 
パワハラやセクハラや暴力はダメだと声をあげる事。
一人が声をあげたらその人を孤立させずに、みんなで声をあげて抗議する。
上にいる古い体質の権力者にわからせるように。
沈黙してれば改善はされず、次の世代もずっと苦しみ続ける事になるから。



もうこんな息苦しい世の中は変えたほうがいいよね。


あのマチスモ(男尊女卑)が長年のカルチャーだった中南米だって、変わってるのに。
中南米後進国と嘲笑してる日本がなぜ変われないんだろうか?
差別と暴力を容認する国であり続けるつもりなんだろうか?



今苦しんでる人は、ナタリア・ポンセが言った事を思い出して。


沈黙して穴の中に落ちて一生泣き続けずに、自分を愛して自尊心を取り戻そう。