Life and Dance in Latino Style

ラテン音楽、スペイン語圏のラテン音楽とダンス。サルサ、レゲトン、バチャータ、メレンゲ等。中南米関連。ラテンファッション。スペイン語。その他の音楽関連

ミスコロンビア。美の基準について

2020年のミスコロンビアが昨日決まりました。

ミスユニバースに出る人を養成してる日本とは違うシステムをコロンビアはとっています。

 

まず各県のミスが選ばれ自分の県で1年ほどミスとしての活動をします。その各県のミスからミスコロンビアを選び、ミスコロンビアは1年位活動して1年後にミスユニバースに出るというシステムです。

 

いま2019年のミスコロンビアがいますが(1年前に選ばれた人)、来月開催されるミスユニバースに出場します。

昨日選出されたミスコロンビアは2020年のミスコロンビアなので今は2019年と2020年の2人のミスコロンビアがいる状態。2020年の人がミスユニバースに出るのは1年後です。

 

2019年のミスコロンビアはもとミス・バジェ県でカリ市出身の人です。ミス・バジェ県の時は女性へのDVや暴力反対の啓蒙PRをしていました。もともと人権活動家で人権派の弁護士。ミスユニバースで優勝したら世界の女性の人権問題を改善するよう訴えたいと言ってるので、ぜひミスユニバースで優勝してほしいと思います。彼女についての詳細は以前このブログに書きました。

https://diafelizlatin.com/blog-entry-1292.html

 

 

 

 

さて昨日あった2020年のミスコロンビアコンテストの候補者、各県のミスの動画です。「アンティオキア~」とかよばれてますが、それはミス・アンティオキア県という意味です。県名でよばれています。コロンビアは32の県と首都(行政)のボゴタがあります。ボゴタは所属する県とは別にミス・ボゴタで出てます。

 

 

 

 

ファイナリスト(決勝戦出場)の10人の動画がこれ。

 

 

 

さていよいよ発表。

優勝したのはミス・キンディオ県でした。キンディオ県のアルメニア出身です。 最初が3位の人。次が2位の人。最後の青いドレスの人が優勝者のミスコロンビアです。 ミスコロンビアにはミスコロンビアと、準ミスコロンビアと 準々ミスコロンビアがいます。

 

 

青いドレスの新ミスコロンビアにティアラをかぶせたのが2019年のミスコロンビア(現在のミスコロンビアで弁護士)です。

コロンビアではミスコロンビア大会は、大手テレビ局が生中継します。 ミスコンはコロンビアの国民行事みたいな感じ。ミスコロンビアだけじゃなくて、ミスユニバースもテレビで中継するんですよ。 日本ではミスコンをテレビ局がライブで中継するなんてありえないですよね。

日本では日本人がミスユニバースで優勝した時にニュースで報道されるくらいだし、私も日本ではミスコンは興味なかったです。 でもラテンアメリカスペイン語圏は各国で中継しているし関心も高い。 日本がミスユニバースで優勝したり準ミスになった時に「おめでとう」ってラテンアメリカで言われてびっくりしました。全然知らなかったんで。

 

コロンビアの隣のベネズエラは今もミスユニバースの優勝最多記録の国ですが、今は経済危機でミスコンどころではなくなりました。

コロンビアもミスユニバースの上位国の常連です。優勝、準優勝、3位と続いてましたが、去年のミスコロンビアは(2018年のヴァレリア・モラレス)ミスユニバースの他の出場者に対して人種差別とLGBT差別発言をしたこともあり予選で敗退しました。

 

今年のミスユニバースに出る2019年ミスコロンビアは人権派の弁護士。コロンビアもやっとルックスじゃなくて中身でミスを選ぶようになったのかと感慨深かったです。ミスコロンビアはだいたいプロモデルの人が多かったので。コロンビアの男性には、「2019年のミスコロンビアはブス」と悪口言う人もいたんですよ。外見重視の国だし、まだマチスモ(男女差別)がある国なんで。ひどい言いようですね。

でも2020年のミスコロンビアを見ると、また外見重視に戻っちゃったのかなという感じがします。

 

 

 

昨日選ばれた2020年のミスコロンビアは大学生です。 ミスコロンビアコンテストでは舞台化粧みたいのしてドレス着るしライティングもすごいです。

でも今回ミスコロンビアになったミス・キンディオの日常のメイクだとこんな感じ。 動画の途中から彼女がしゃべるところがでてきます。 コロンビアではこういう人なら普通に町にいそうな気が。

 

 

プロのカメラマンが撮った写真だとスーパーモデルに見えるけど。

それにミスコンに出る人は背が高くないといけません。2019年のミスコロンビアは180㎝近い身長があります。でもコロンビア人は全体的に欧米人より背が高くないです。だから身長の基準でミスコンに出れる人が限られてしまいます。

 

コロンビアは美人国、美人が多い国と世界で有名です。確かにうわーっと思うようなきれいな人もいます。

 

でもラテンアメリカには、きれいに見せるアピールがうまい人が多いような気もするんですよね。

コロンビア人は学校に行く時はすっぴん。仕事に行く時はすっぴんか薄化粧の人が多いです。日本では社会人のマナーとして化粧しろと強制されますが、コロンビアは一部の職種ではあるかもしれませんが普通はメイクを強制されないので。

でも週末にクラブに行ったり食事会やフィエスタに行くときは美容院やネイルサロンに行ってすごい盛ります。ヘアスタイルも美容院でやってもらいメイクばっちりしてつけまつげつけたりすごい。 ほんとに別人のようになります。週末に人気のクラブにいくと盛りに盛ったきれいなおねえさんがたくさんいます。

 

コロンビア人だけじゃなくてラテンアメリカの女性全般にいえることだと思うけど ONとOFFの差が激しい。 日本は毎日ばっちりメイクする人が多いのでそんなにONとOFFがめっちゃ変わる感じしないけど、ラテンの女性はONとOFFがすんごい違うと思います。メキシコ人女性は普段も化粧する人が多いと思いますが、コロンビア人は普段はあんま化粧しないんで。アルゼンチン人やペルー人も普段は化粧しない人が多いなと思いました。

しかも写真に写る時は腰に手をあてたりスタイルよく見える様にモデルみたいなポーズつくるんで、ラテンにいた時に感心しました。Facebookには胸を寄せて上から撮るようなセクシーな自撮りが多い。日本人はそこまでポーズやきめ顔つくれないんで、私はもっとセクシーなポーズしろと写真撮る時に言われた事あります。

 

コロンビア人達から私は「なぜクラブに行くのに12㎝ヒールはかないの?」とか「ネイルサロンには2週間に一回は行くべき」とか「週末でかけるときはもっとメイク濃くすべき」とか「だめだめ。フィエスタにはミニスカートはくべき。ミニスカート一緒に買いに行こう」とかたくさんダメだし食らいました。しかも「豊胸手術したら?」とまで言われて 泣。

コロンビアはおじさんだってネイルサロンにいったり、男性が透明マニュキアを塗る国ですからね。

 

服装にもつっこまれました。若い人だけならともかく、高齢者からも言われるんです。そんな色の服はだめとかダメだしされるだけじゃなくて、「その服どこで買ったの? 私もほしいから店教えて。いくらだった?」「そのネイルいいわね。どこの店でやったの?」と近所のおばさんにきかれたり。とにかく服装チェックが厳しい。

 

私が最初にコロンビアに行ったのは9年前で、その後も何年かおきにコロンビアにいます。昔会った人とひさしぶりに会ったら「あれ、ずいぶん~~になったね」といきなりネガティブな事をいわれてショック受けました。元気そうだね、とかじゃなくて。9年もたてば誰だって外見変わるでしょ。今度コロンビアに行ったらまたなんかいちいち言われるんだろうなと思うと戻るのがおっくうです。

私はコロンビアのサルサが好きだからコロンビアにいました。コロンビアによくいるのはダンスと音楽の為です。コロンビア人の外見重視と美意識の高さには正直へきえきします。外見重視すぎてついていけない。

 

 

で、日本とコロンビアの両国における美の基準を見比べてみましょう。

日本で人気、特に男性からモテるのは華奢でかわいいタイプだと思います。背は標準で身体はスリムで小顔で小尻。雑誌モデルとかもそうですよね。

でもラテンでは美人とはヒップが大きい人なんです。顔よりもヒップが重要。ヒップがどかーんと大きくて形がいい人がモテる。ただしミスコンに出る人はモデル体型なので(180㎝で48キロとか)細すぎる。実際にラテンアメリカでモテる人はヒップが大きい人です。そして次に胸が大きい人。つまり迫力のあるグラマラスなボディの人が美人。顔は二の次です。日本人は顔で美醜を判断するけど、ラテンでは体型で美醜を判断するのが違います。

 

前に私はブログにラテンの体型について記事書きました。こういう体型の人がモテます。

しかも南米では日系人でもこんな体型。

 

https://diafelizlatin.com/blog-entry-1154.html

 

 

人種的に日本人はスリムだし、中南米人は人種的にグラマラスボディが多いだろと思う人もいるでしょう。

ところが日本には南米の日系ブラジル人や日系ペルー人が住んでいて、まったく混血してない人達(血統的に日本人)も多いんだけど、彼らは日本人とは体型が違う人が多いと思います。男性は身体鍛えてるし女性は肉付きがいいしセクシー。南米の美の基準で育ってるからだと思います。だから人種ではなくて国による美の基準や価値観が関係あるんじゃないかと私はにらんでいます。

 

それに日本でスリムな体型が流行ったのは90年代の半ば以降です。ダイエットブームがもう四半世紀続いている。その前はグラマラスな体型が人気でした。90年代前半にパリコレなどのスーパーモデルが流行ったせいでダイエットブームがおきたんです。それでスリムが美という新しい美の基準が作られました。雑誌はダイエット特集組めば売れるし、塗れば脚が細くなるという美容液や洗えばやせるというせっけんも高額なのにバカ売れしました。

 

日本人女性はスリムな体型にするためになかには過激なダイエットをする人もいて、それにより摂食障害になったり(拒食症や過食症)、生理がとまったり健康を害する人もいます。

 

日本人がダイエットによって体型をスリムに保ってるように、ラテン女性のグラマラスな身体も自然ではない人達もいるんですよ。もちろん日本人に比べたら人種的にラテン女性の方が胸やヒップは大きいです。けどヒップを大きくするためにたんにたくさん食べて太ればいいというわけではないです。ウエストは細くてヒップが大きい、めりはりがありヒップも形よくないと美ではないのです。

そんなめりはりのあるグラマラスボディにするのは自然にはなかなかできない人達もいます。だからなかにはヒップパッドがついた補正下着をつけたり、ヒップパッドがついたジーンズも売ってます。パッドで大きく見せるわけですね。

 

ヒップパッドはこんな感じでシリコンだったりふわふわのだったりします。これはヒップパッドがついた補正下着。

 

コロンビアやブラジルでは、ヒップパッドがついたジーンズも売られています。コロンビアでも見ました。これはブラジルのヒップパッドつきジーンズです。

なかにはヒップを大きくする整形をする人達もいます。ラテンアメリカで一番人気なのがヒップを大きくする整形なんです。コロンビアは美容整形技術のレベルが高いので、北米からも整形しにやってくる人達がいるほどです。私もコロンビア人の若い女性でヒップの整形したコロンビア人を何人か知ってます。

ただし、美容整形、特に体の整形は手術中に事故がおきるリスクが高いです。コロンビアでは時々美容整形の手術中に亡くなる事故がおきてニュースになりますよ。

 

コロンビアでTVの司会して、前にこのブログで紹介したコロンビアの有名なモデルJessica Cediel。彼女が美容整形手術に失敗して死にかかったという告白をしてびっくりしました。もともときれいな人だったんですが、急に別人のように顔が変わったと思ってたんですね。それが実は整形手術の失敗だった。手術の失敗で死ぬところだったと。おそろしい。これがその整形手術失敗の告白ビデオ。

 

 

 

 

美の基準はメディアや美容業界がつくりあげたものだったり、男性が女性に求める理想の女性像だったりします。

ラテンのヒップが大きくて胸が大きい女性が美という基準もメディアや美容業界がビジネスで儲かる体型として扇動していたり、男性からが要求する女性像だと思います。

日本もやせろというプレッシャーや一重はダメというような傾向が強い。

おまえの外見じゃ流行にあわない、外見を変えろというプレッシャーは日本もラテンもどちらも強い。私は両方の地域にいたけどどっちも疲れます。

他の人が作った美の基準にふりまわされて自分の生まれつきのルックスを否定し、なかには命を落としてでもその美の価値感に必死で合わせようとする人たちもいます。

 

でも私はいろんな国に住んでみてわかりました。日本で美人と言われる人が他国でも美人といわれるかというとそうでもないんですよね。美の基準が違うからです。日本ではいまは小尻がスタイルいいといわれるけど、南米では小尻はスタイルが悪いと言われる。基準が違うからです。

時代によってもルックスの流行は変わります。だから流行の美の基準に合わせて過激なダイエットしたり、整形を重ねてたらきりがないんじゃないかと私は思います。だから自分は変えないんだけど。

 

 

そして世界の美の基準をつくりあげてるのがミスユニバースだといわれ、最近は世界中から批判されています。また、男性が決めた美の価値感で女性を縛ってるんじゃないかとも批判されています。

アメリカでは水着にするのは女性差別やセクハラだとしてミスアメリカのコンテストで水着審査をやらなくなりました。ミスコンをやる意味はなんなのか? おじさん審査員を喜ばせる為のものか? という疑問は各国からあがっています。

ファッションショーのモデルやミスコン出場者を180㎝で45キロに制限させてます。なかにはやせすぎで亡くなったモデルもいます。スーパーモデルやミスコンの出場者が世界の美の基準になってるので、一般人がマネしようと過激なダイエットをして死亡した事件もありました。だからフランスなどでは細すぎるモデルは使わないようにという指導もありました。ミスイギリスは国際コンテストまでに短期間で10キロ以上体重減らせと運営から言われて、ダイエットしてたら体調不良になりミスコンへの出場を辞退した件も数年前にありました。

 

ミスユニバースが世界の女性の美の基準をつくりあげて、ミスコンが美容業界やファッション業界やメディアと一緒に女性に外見を変えろ、もっと美容用品を買え、ダイエット特集の雑誌を買え、スリムに見える服を買え、とか煽ってビジネスしてるといわれています。

 

さて日本ではルッキズムに対する反論や批判が高まっています。

それは女性に対してだけではなく男性など性別を問わずにです。男性に対しても禿げとかデブとかキモいとか外見で嘲笑するのはあるし、美容業界などがかつらをつけろとか育毛剤買えとかやせろとかプレッシャーかけるので。

ラテンアメリカ各国でも、女性の人権を守れ、女性差別反対、女性への暴力反対を求める大規模なデモが各国でおきています。

ミスコンはそうした世界のムーブメントに逆らうものではないかと批判されてるんですけどね。

もうそろそろミスコンなくなるのかな、と思ったら今年も相変わらず続いてますね。。。

いつまであるんだろう???

 

ミスユニバースってベネズエラミスユニバースを養成する学校があるんですよ。ベネズエラが優勝6回も勝ち取ってるのはもともと美人国と評判が高いのもあるけど、養成学校がミスコンで勝つ人をつくりあげてるからです。コロンビアもそういう学校があるようです。日本もミスユニバースに出れる人をモデルの中から養成して訓練してます。だからミスユニバース見てるとモデルコンテストでもあり、人造人間みたいな気が。

 

たんに町で評判の美人を選ぶだけだったらいいのですが、ミスユニバースの出場者は人工的につくられたような人造美人ぽい人が多いし。職業が学生でも、実はプロモデルやってるという人が多いです。コロンビアはほぼプロモデルですね。だからモデル大会のようになってる。

それにミスユニバースを利用して女優やTV司会者になったり、政治家になったり、もしくは政治家の愛人になったり、自分がのしあがるために利用してる人も多い。だからベネズエラみたいに政府高官への性接待とかもでてくるわけですよ。

またベネズエラは去年か一昨年にスキャンダルがありました。ミスベネズエラの優勝者や候補者が政府の高官達に勝利とひきかえに性接待させられたというスキャンダルで。そういうのもうんざり。

 

社会活動したり一芸にひいでたり社会問題を提起するムーブメントをおこしたりした女性の中から「今年輝いてる女性」というので選ぶとかそういうコンテストでもいいような気が私はするんですけど。どうでしょうか?